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ライゼン通りのお針子さん6 ~春色の青春物語~
番外編 悩める青年
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これはアイリスから夏祭りの日にミュゥリアムの舞を一緒に見に行こうと誘われた日の出来事である。
「はぁ~」
「よう悩める青年。溜息なんてついて如何した?」
軍事演習中だというのに身が入らない様子のキースへとレイヴィンが尋ねる。
「あ、これはレイヴィン隊長。ジャスティン隊長にディッドさんも。演習中に失礼しました。それから僕はもう青年と呼べる歳ではないですよ」
「俺からしてみたらお前なんて赤子同然だぜ?」
彼が申し訳なさそうにしながら話すと隊長がへらへら笑って答えた。
「またまた。レイヴィン隊長の方が若いじゃないですか」
「あ~。っとそれは置いておいて。で、如何したんだ?」
からかわれていると思っているキースの言葉にディッドが慌てて声をかける。
「いえ、別に……」
「ちょっと休憩に入る。って事で溜息の理由は何だ」
あきらかに様子がおかしい彼の事を心配してレイヴィンが休憩の指示を出すと再度尋ねた。
「実はアイリスから夏祭りの日に踊り子のミュゥリアムさんの舞台を一緒に見に行こうと誘われたんです」
「へ~。良かったじゃないか。それってデートのお誘いだろう」
キースの言葉にディッドが笑顔で話す。
「デ、デートだなんてそんな。僕達はそんな関係ではないですよ」
「い~じゃないの。夏祭りの夜に二人で舞台を見るなんて。だけどその後の雰囲気が大事だぞ。そうだな花火が綺麗に見れる東の塔にでも誘ってだな。で、いいムードになったところでドンと告白」
「こ、告白!?」
慌てて答える彼へとレイヴィンもニヤニヤ笑いながら伝授する。
「こういうのは勢いが大事だからな。頑張れよ」
「応援してるぞ」
隊長が言うとディッドもニヤニヤ笑いながら続く。
「ほら、ジャスティンも何か言葉かけてやれよ」
「そ、そうだな。恋愛などした事がないからきちんとアドバイスできるか分からないが……まず相手に失礼のないように言動に気を付けて――」
「はい、ジャスティンの言葉は気にせずに勢いだいいな」
レイヴィンの言葉にジャスティンが生真面目なアドバイスを話し始めた途端それを遮るように隊長が言った。
「で、でも東の塔は立ち入り禁止の区間では」
「俺が許す。レオ様には俺から伝えておくからさ。だから大丈夫だ」
「オレもそっちに人が行かないようにしておいてあげるからさ」
キースの言葉にレイヴィンが言うとディッドも笑顔のまま言う。
「私も応援している。まぁ、頑張れ」
「う、う~。隊長達にそう言われると失敗できないじゃないですか」
ジャスティンの言葉に彼が緊張のあまり変な汗を流しながら呟いた。
そうして夏祭りの夜レイヴィンのアドバイス通りにアイリスに告白したのであった。
「はぁ~」
「よう悩める青年。溜息なんてついて如何した?」
軍事演習中だというのに身が入らない様子のキースへとレイヴィンが尋ねる。
「あ、これはレイヴィン隊長。ジャスティン隊長にディッドさんも。演習中に失礼しました。それから僕はもう青年と呼べる歳ではないですよ」
「俺からしてみたらお前なんて赤子同然だぜ?」
彼が申し訳なさそうにしながら話すと隊長がへらへら笑って答えた。
「またまた。レイヴィン隊長の方が若いじゃないですか」
「あ~。っとそれは置いておいて。で、如何したんだ?」
からかわれていると思っているキースの言葉にディッドが慌てて声をかける。
「いえ、別に……」
「ちょっと休憩に入る。って事で溜息の理由は何だ」
あきらかに様子がおかしい彼の事を心配してレイヴィンが休憩の指示を出すと再度尋ねた。
「実はアイリスから夏祭りの日に踊り子のミュゥリアムさんの舞台を一緒に見に行こうと誘われたんです」
「へ~。良かったじゃないか。それってデートのお誘いだろう」
キースの言葉にディッドが笑顔で話す。
「デ、デートだなんてそんな。僕達はそんな関係ではないですよ」
「い~じゃないの。夏祭りの夜に二人で舞台を見るなんて。だけどその後の雰囲気が大事だぞ。そうだな花火が綺麗に見れる東の塔にでも誘ってだな。で、いいムードになったところでドンと告白」
「こ、告白!?」
慌てて答える彼へとレイヴィンもニヤニヤ笑いながら伝授する。
「こういうのは勢いが大事だからな。頑張れよ」
「応援してるぞ」
隊長が言うとディッドもニヤニヤ笑いながら続く。
「ほら、ジャスティンも何か言葉かけてやれよ」
「そ、そうだな。恋愛などした事がないからきちんとアドバイスできるか分からないが……まず相手に失礼のないように言動に気を付けて――」
「はい、ジャスティンの言葉は気にせずに勢いだいいな」
レイヴィンの言葉にジャスティンが生真面目なアドバイスを話し始めた途端それを遮るように隊長が言った。
「で、でも東の塔は立ち入り禁止の区間では」
「俺が許す。レオ様には俺から伝えておくからさ。だから大丈夫だ」
「オレもそっちに人が行かないようにしておいてあげるからさ」
キースの言葉にレイヴィンが言うとディッドも笑顔のまま言う。
「私も応援している。まぁ、頑張れ」
「う、う~。隊長達にそう言われると失敗できないじゃないですか」
ジャスティンの言葉に彼が緊張のあまり変な汗を流しながら呟いた。
そうして夏祭りの夜レイヴィンのアドバイス通りにアイリスに告白したのであった。
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