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五章 少年アレク
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翌日私達は東の地へと向けて旅立つ。しばらく歩いていると旅慣れしていない私とアオイちゃんを気遣い森の中で休憩することとなった。
「とても綺麗な森ね。こんなところにいると帝王に世界が恐怖に陥れられている事なんか忘れてしまいそう」
「そうだね。この森の中は本当に穏やかで、何で旅をしているのか忘れてしまいそうなくらい心が落ち着くね」
川のせせらぎを聞きながら微笑み話すアオイちゃんに私も同意して頷く。
しかし背後へと振り返ればいつでもアオイちゃんを守れるようにとハヤトさん達が側に仕えていて、その向こうでは武器を持ち待機している兵士達の姿がある。
どんなに穏やかな時間が流れようとも帝王を倒すという戦いを忘れてはいけないのだと、私に言い聞かせているかのようだ。
「結局前の村でもレナを元の世界に戻す方法は見つからなかったわね。……こんな危険な旅に同行するよりも早く元の世界に戻った方が安全なのに、ごめんね」
「アオイちゃんが謝る事ないよ。それに何もできないかもしれないけど私もアオイちゃん達の助けになりたい。だからもう少しだけ一緒にいさせて」
「レナ……」
申し訳ないと言って謝る彼女へと私は首を振ってそう志願する。その言葉にどう答えようかと困った顔をするアオイちゃん。別に彼女を困らせたいわけではない。だけどこのまま帰るなんてことできない。だから……
「アオイちゃん達に出会わなければ今頃私は死んでいたかもしれない。だからここにいられる間は、アオイちゃん達の助けになりたいの。だからこのまま私だけ帰れないよ。アオイちゃん達が無事に世界に平和をもたらすのを見届けたいの。だから、アオイちゃん。私を側において」
「レナ。分かった、レナがそこまで言うなら。私ね、レナを危険な目に合わせたくなくてだから早く元の世界に帰してあげられるならそれが一番いいと思っていたの。だけどレナはそれじゃあ心配で仕方ないんだよね。だからこの旅が終わるまで一緒に付いてきて。そして全てが終わったら帰す方法を見つけてちゃんと元の世界に帰してあげるからね」
私の言葉に真剣な眼差しで語って頷くアオイちゃん。
「わがままを聞いてくれて有り難う」
「わがままなんて思ってないよ。レナにそこまで思ってもらえてるって知れて嬉しい」
無理なお願いだって分かっているし、とてもわがままであることも知っているだからそう言ったのに、彼女はそう話して柔らかく微笑んだ。
それから休憩を終えた私達は旅を再開する。目指すは四天王の一人最年少の少年アイクさんが治める東の地。ゲーム通りならばそこで重要人物との出会いがあるはず。
だけどこの前みたいにゲームと違う流れが出てきたらその時は私じゃどうすることもできないかもしれない。なんて不安に思う心に悩みながら私はアオイちゃん達について必死に歩いていった。
私達が東の地へと向けて旅を続けていると国境の山の中であの人と出会う。
「姫様お待ちしてましたよ」
「トウヤ。貴様何しに来た」
傷だらけでよろよろとした動きで木の陰から現れたトウヤさんにキリトさんが刃を向けながら尋ねる。
「そう警戒するな。おれはもうお前達の敵ではないのだから……」
「怪我しているみたいだけど、それどうしたの?」
困ったように笑いかすれた声で話す彼へとアオイちゃんが聞いた。
「南の領主マグダムが死んだのはおれの責任だと帝王様に言われて、殺されそうになったのです。それで命からがら逃げだしてきたというわけです」
彼女へと丁寧な口調で説明するトウヤさん。たしか姫であるアオイちゃんに対しての敬意だって説明書に書いてあったな。それと本心を隠すために相手に悟られないようにするときも敬語を使うのよね。
「信頼していた帝王様に殺されそうになり、もはやおれには何処にも行く場所がありません。そこで、姫様達の手助けをしたいと思いこうして頭を下げに参りました。姫、どうかこの罪深きおれを許し、貴女の側においてはくれませんでしょうか?」
「そんなやつの言うことなんか聞く必要ない。嘘をついてるかもしれないからな」
「そうだ。こいつはかつて王やおれ達の同胞を何人も殺した。そんなやつの言うことなど信じられん。このままここで斬り捨ててその罪を償ってもらわねば」
彼の言葉にユキ君がきつい口調で言うとキリトさんも同感だといいたげに言い放つ。
「二人とも待って! トウヤさんは命からがら帝王の下から逃げてきたんだよ。この怪我はどう見たって本当に酷いじゃない。このまま放ってはおけないよ。だから私はトウヤさんの事を信じる。だから私達と一緒に帝王を倒しに行きましょう」
「アオイ、何言ってるんだよ。こいつのせいでお前は危険な目に合ってるんだぞ。それなのにこんな奴を信じるのか」
「アオイは知らぬかもしれないが、この男は信頼を平気で裏切り我が国を滅ぼす密偵として送り込まれた帝国側の人間だ。そんなやつを信頼するなど言語道断。こいつを側に置けばいずれ君に牙を向ける。今ここで斬り捨てるのが一番だ」
アオイちゃんが止めるとトウヤさんへと向き直り笑顔で話す。それにユキ君とキリトさんが抗議の声をあげた。
「まあまあ二人の気持ちも分からないではありませんが、この辺りに帝国の兵士が潜んでいる様子もないですし、トウヤからは敵意を感じません。ですから彼の言葉を信じてもいいでしょう」
「ハヤト。お前まで何を言い出す。こいつがしてきたことを忘れたというのか?」
ハヤトさんも軽く諫めるように言うとそれにキリトさんが怒る。
「忘れてなんていませんよ。ですが、味方は多い方が良いですし。トウヤが味方になってくれたら帝国側の情報も得られるし良いと思いますよ」
「キリト殿とユキ殿の気持ちもわかりますが、姫様が決めた事に口出しするのはいかがなものかと思います。僕は姫様がそれでいいとおっしゃるのであれば、姫様の意見に賛成です」
彼は小さく笑うと真面目な顔でそう話した。そこに今まで黙って話を聞いていたイカリ君が声をあげる。
「……勝手にしろ。それでなにかあってもおれは知らんぞ」
「アオイがどうしても譲らないって言うんなら仕方ない。……だけど俺はまだお前のこと疑ってるからな。アオイに何かしてみろただじゃおかねえ」
ついにキリトさんとユキ君が折れた。これによりトウヤさんが仲間に加わることとなる。
「肝に免じておこう。それより我が姫……おれのした罪は免れることも許されることもないでしょ。ですがいましばらくの間は貴女の役にたつためにお側にお仕えすることをお許しくださり有難く思っております。この忌まわしき力が貴女の助けとなるのならば、今はただ貴女のためにこの力を存分に使うことを誓いましょう」
「トウヤさん。これからよろしくね」
膝をつき忠誠を誓う騎士の様に頭を深々と垂れ下げて敬礼する彼にアオイちゃんが優しく笑いかけた。
こうしてトウヤさんが仲間となり私達の旅は続く。
「東の地へと向かうならばそこを治めている領主であり、帝王を守る四天王のうちの一人アイクと彼の主導員であり教育係のシェシルこの二人を何とかしなければなりませんが、今の我が軍の力では四天王の二人に太刀打ちできるとは思えません。ですからこの地の開放は今はあきらめ、まずは西の地を治める領主ヴォルトスを倒しその地を開放することが先決かと思われます」
「四天王が領主だなんてどうしてまた四天王が領主になったの」
「四天王のうちの一人であるアイクはまだ14歳という若き少年でしてね。いろいろと経験が必要と判断した教育係のシェシルが帝王に話をして東の地を治める領主として経験を積ませているとおれは聞いてます」
トウヤさんの言葉にアオイちゃんが不思議に思い尋ねる。それに彼が答えると彼女も納得した様子で頷いた。
トウヤさんの助言の下私達は東の地を通り抜けて西の地へと向かうこととなる。
しかし一度は領主の館がある町へと向かわないといけないため何事もなく無事に通り抜けられるかが心配された。
とにかく心配していても仕方がないので何とかなると信じて私達は旅を続ける。
私達が東の地へとやってきて領主の館がある町まで向かう途中の棚田のあたりに差し掛かると前方から銀色の髪の少年が歩いてきた。
「お姉さん達どこにいくの?」
「え、えっと。東の地に向かっているのよ」
笑顔で話しかけてきた少年にアオイちゃんがまさか声をかけられるとは思っていなかったようで驚くもちゃんと答える。
顔つきや髪の色それに服装から見て帝王が支配してから移り住んできた帝都側に住む少年のようだが私は彼の顔に見覚えがあった。
「ぼくもちょうど町に向かう途中だったんだ。ねえ、お姉さん達よかったらぼくが町まで案内するよ」
「どうする?」
「ここで下手に断っては怪しまれますし、それにこの辺に住んでいる少年なら一緒に行動した方のが色々と安全かと思われますよ」
笑顔で提案してくる少年の言葉にアオイちゃんが私達の方へと振り返り尋ねる。それにトウヤさんがそう言った。
「それじゃあお願いするわ」
「ぼくはアレクっていうんだ。お姉さんは?」
少年の方へと振り返り笑顔で頼む彼女へと彼が名乗り尋ねる。
「私はアオイよ。アレクよろしくね」
「アオイか、透き通るような素敵な名前だね。よろしく。それじゃあ案内するよ」
それにアオイちゃんが答えると少年が笑顔で言うと先に歩き道案内を始める。
(やっぱりアレクってアレクシル君のことよね。ゲームで見た通りの流れになってる。って事はこの後はストーリー通りに領主である四天王の二人にばったり出くわしちゃうのかな?)
内心で考え事をしながら前を進むアオイちゃん達について歩く。
「ぼくはね世界中を旅している途中なんだ。アオイ達も見たところ旅人みたいだけど、やっぱり領主様に挨拶しに行くの」
「え、う、うん。この地を通らせてもらうんだもの挨拶しておかないと失礼になっちゃうものね」
アレク君が話しかけてきたのでアオイちゃんはとりあえず話を合わせて頷く。
「そうなんだ。だけどいま領主様達はいないよ。なんでも帝王様から招集がかかって今は帝国に行ってしまっているらしいんだ」
「そうなの」
次に彼が話した言葉に彼女は驚いたが少しだけほっとした顔をする。
「領主に会わずしてここを通り過ぎることになりますね」
「それならそのほうがいいんじゃないのか。領主に会えばいろいろとめんどうになりそうだしな」
イカリ君の言葉にユキ君がそう言って安堵した。それからしばらく歩くと町の門が見えてくる。
「待て、貴様等そこで何をしている」
「帝王様からこちらに反乱軍が来ているって聞いて急いで戻ってきたんだけど、君達が反乱軍?」
町の中へと入ろうとすると背後から声をかけられ振り返る。すると青色の短髪の少年と緑の髪を一本にまとめた男性が立っていた。
「オレ達は旅の者で、西の地へと向かう途中でして、この地へと通りかかっただけです」
「大勢の兵士を引き連れてか?」
穏やかな口調で話しやり過ごそうとするハヤトさんの言葉に男性が鋭い口調で尋ねる。
「それは……」
「この人達は旅芸人の一座で、あっちの兵士さん達は一座を護衛する傭兵さん達だよ」
「「!?」」
アオイちゃんが困った顔でどうしようかと言葉を考えているとアレク君が口を開き二人の前へと出る。彼の顔を見たとたん彼等は驚く。
「この地を通らせてもらうために領主様に挨拶に行こうとしていたんだけど、領主様が自ら来てくれてよかったね」
「へ? それじゃあこの人が東の地を治める領主様なの」
アレク君がにこりと笑い言った言葉にアオイちゃんが驚いて少年を見詰めた。
「うん、そうですよね。アイク様。それにアイク様の部下のシェシル様?」
「そっか、お姉さん達旅芸人の一座だったんだね。ごめんね、変な疑い持っちゃって。ボクはアイク。この東の地を帝王様から任されている領主だよ。こっちはボクの主導員兼世話係のシェシル」
「……」
彼がそうだと頷くと笑顔で尋ねる。それにアイクさんが旅芸人の一座だと信じてくれて謝ると自己紹介した。シェシルさんは何事か言いたげな顔で黙っている。
確かゲーム通りだとシェシルさんは王子様がここにいることに驚くも、アレク君には何か深い考えがおありなのだろうと思い今回はアオイちゃん達の事見逃してくれるのよね。
そしてそれとは対照的に純粋で信じ込みやすいタイプのアイクさんは王子の言葉に納得して、アオイちゃん達の事を本当に旅芸人の一座だと思ってて西の地へと旅する彼女達の事を心配してくれる。
なぜならそこの地を治める領主ヴォルトスさんのやり方が好きじゃなくてアイクさんは嫌悪感を抱いているから。
「でもこれから西の地へと向かうならその地を治めている領主には気を付けてね。あいつ結構ひどい奴だから。どうして帝王様はあんな奴を野放しになんかしてるのか……」
「アイク。帝王様のお考えに口出しなど恥を知りなさい」
アイクさんが険しい表情で言った言葉にシェシルさんが諫める。
「だって、あいつのやり方ボク好きじゃないもん。お姉さん達急いでるみたいだから今回はあきらめるけど、今度会う時は是非芸を見せてね」
「は、はい」
それに不服気に唇を尖らせ抗議すると今度は笑顔になりアオイちゃん達へと話す。彼女はそれに返事をしながらも正体がバレなくてよかったと安堵する。
「それじゃあ、ね」
「……」
アイクさんが笑顔で手を振ると町の中へと入っていく。私達を一瞥してからシェシルさんも後について行った。
「ぼくもそろそろ行かないと。アオイ、道中気を付けてね」
「うん。アレクここまで案内してくれて有り難う」
アレク君が言うとアオイちゃんもお礼を言って立ち去っていく背中を見送る。
「……何とかやり過ごせましたね。アレクに感謝しないと」
「だが、ここにこれ以上留まるのは危険だ。直ぐにこの町から離れた方が良いだろう」
「そうですね。アレク殿のおかげで一度は難を逃れましたが、あのシェシルという男はまだ僕達の事を疑っているようでしたし、あの者が姫様の正体に気付く前にこの地を離れた方がよろしいでしょう」
ハヤトさんが言うとキリトさんとイカリ君がそれぞれ口を開き話す。私達は急ぎ町を抜けると西の地へと続く細い道を歩いていった。
「とても綺麗な森ね。こんなところにいると帝王に世界が恐怖に陥れられている事なんか忘れてしまいそう」
「そうだね。この森の中は本当に穏やかで、何で旅をしているのか忘れてしまいそうなくらい心が落ち着くね」
川のせせらぎを聞きながら微笑み話すアオイちゃんに私も同意して頷く。
しかし背後へと振り返ればいつでもアオイちゃんを守れるようにとハヤトさん達が側に仕えていて、その向こうでは武器を持ち待機している兵士達の姿がある。
どんなに穏やかな時間が流れようとも帝王を倒すという戦いを忘れてはいけないのだと、私に言い聞かせているかのようだ。
「結局前の村でもレナを元の世界に戻す方法は見つからなかったわね。……こんな危険な旅に同行するよりも早く元の世界に戻った方が安全なのに、ごめんね」
「アオイちゃんが謝る事ないよ。それに何もできないかもしれないけど私もアオイちゃん達の助けになりたい。だからもう少しだけ一緒にいさせて」
「レナ……」
申し訳ないと言って謝る彼女へと私は首を振ってそう志願する。その言葉にどう答えようかと困った顔をするアオイちゃん。別に彼女を困らせたいわけではない。だけどこのまま帰るなんてことできない。だから……
「アオイちゃん達に出会わなければ今頃私は死んでいたかもしれない。だからここにいられる間は、アオイちゃん達の助けになりたいの。だからこのまま私だけ帰れないよ。アオイちゃん達が無事に世界に平和をもたらすのを見届けたいの。だから、アオイちゃん。私を側において」
「レナ。分かった、レナがそこまで言うなら。私ね、レナを危険な目に合わせたくなくてだから早く元の世界に帰してあげられるならそれが一番いいと思っていたの。だけどレナはそれじゃあ心配で仕方ないんだよね。だからこの旅が終わるまで一緒に付いてきて。そして全てが終わったら帰す方法を見つけてちゃんと元の世界に帰してあげるからね」
私の言葉に真剣な眼差しで語って頷くアオイちゃん。
「わがままを聞いてくれて有り難う」
「わがままなんて思ってないよ。レナにそこまで思ってもらえてるって知れて嬉しい」
無理なお願いだって分かっているし、とてもわがままであることも知っているだからそう言ったのに、彼女はそう話して柔らかく微笑んだ。
それから休憩を終えた私達は旅を再開する。目指すは四天王の一人最年少の少年アイクさんが治める東の地。ゲーム通りならばそこで重要人物との出会いがあるはず。
だけどこの前みたいにゲームと違う流れが出てきたらその時は私じゃどうすることもできないかもしれない。なんて不安に思う心に悩みながら私はアオイちゃん達について必死に歩いていった。
私達が東の地へと向けて旅を続けていると国境の山の中であの人と出会う。
「姫様お待ちしてましたよ」
「トウヤ。貴様何しに来た」
傷だらけでよろよろとした動きで木の陰から現れたトウヤさんにキリトさんが刃を向けながら尋ねる。
「そう警戒するな。おれはもうお前達の敵ではないのだから……」
「怪我しているみたいだけど、それどうしたの?」
困ったように笑いかすれた声で話す彼へとアオイちゃんが聞いた。
「南の領主マグダムが死んだのはおれの責任だと帝王様に言われて、殺されそうになったのです。それで命からがら逃げだしてきたというわけです」
彼女へと丁寧な口調で説明するトウヤさん。たしか姫であるアオイちゃんに対しての敬意だって説明書に書いてあったな。それと本心を隠すために相手に悟られないようにするときも敬語を使うのよね。
「信頼していた帝王様に殺されそうになり、もはやおれには何処にも行く場所がありません。そこで、姫様達の手助けをしたいと思いこうして頭を下げに参りました。姫、どうかこの罪深きおれを許し、貴女の側においてはくれませんでしょうか?」
「そんなやつの言うことなんか聞く必要ない。嘘をついてるかもしれないからな」
「そうだ。こいつはかつて王やおれ達の同胞を何人も殺した。そんなやつの言うことなど信じられん。このままここで斬り捨ててその罪を償ってもらわねば」
彼の言葉にユキ君がきつい口調で言うとキリトさんも同感だといいたげに言い放つ。
「二人とも待って! トウヤさんは命からがら帝王の下から逃げてきたんだよ。この怪我はどう見たって本当に酷いじゃない。このまま放ってはおけないよ。だから私はトウヤさんの事を信じる。だから私達と一緒に帝王を倒しに行きましょう」
「アオイ、何言ってるんだよ。こいつのせいでお前は危険な目に合ってるんだぞ。それなのにこんな奴を信じるのか」
「アオイは知らぬかもしれないが、この男は信頼を平気で裏切り我が国を滅ぼす密偵として送り込まれた帝国側の人間だ。そんなやつを信頼するなど言語道断。こいつを側に置けばいずれ君に牙を向ける。今ここで斬り捨てるのが一番だ」
アオイちゃんが止めるとトウヤさんへと向き直り笑顔で話す。それにユキ君とキリトさんが抗議の声をあげた。
「まあまあ二人の気持ちも分からないではありませんが、この辺りに帝国の兵士が潜んでいる様子もないですし、トウヤからは敵意を感じません。ですから彼の言葉を信じてもいいでしょう」
「ハヤト。お前まで何を言い出す。こいつがしてきたことを忘れたというのか?」
ハヤトさんも軽く諫めるように言うとそれにキリトさんが怒る。
「忘れてなんていませんよ。ですが、味方は多い方が良いですし。トウヤが味方になってくれたら帝国側の情報も得られるし良いと思いますよ」
「キリト殿とユキ殿の気持ちもわかりますが、姫様が決めた事に口出しするのはいかがなものかと思います。僕は姫様がそれでいいとおっしゃるのであれば、姫様の意見に賛成です」
彼は小さく笑うと真面目な顔でそう話した。そこに今まで黙って話を聞いていたイカリ君が声をあげる。
「……勝手にしろ。それでなにかあってもおれは知らんぞ」
「アオイがどうしても譲らないって言うんなら仕方ない。……だけど俺はまだお前のこと疑ってるからな。アオイに何かしてみろただじゃおかねえ」
ついにキリトさんとユキ君が折れた。これによりトウヤさんが仲間に加わることとなる。
「肝に免じておこう。それより我が姫……おれのした罪は免れることも許されることもないでしょ。ですがいましばらくの間は貴女の役にたつためにお側にお仕えすることをお許しくださり有難く思っております。この忌まわしき力が貴女の助けとなるのならば、今はただ貴女のためにこの力を存分に使うことを誓いましょう」
「トウヤさん。これからよろしくね」
膝をつき忠誠を誓う騎士の様に頭を深々と垂れ下げて敬礼する彼にアオイちゃんが優しく笑いかけた。
こうしてトウヤさんが仲間となり私達の旅は続く。
「東の地へと向かうならばそこを治めている領主であり、帝王を守る四天王のうちの一人アイクと彼の主導員であり教育係のシェシルこの二人を何とかしなければなりませんが、今の我が軍の力では四天王の二人に太刀打ちできるとは思えません。ですからこの地の開放は今はあきらめ、まずは西の地を治める領主ヴォルトスを倒しその地を開放することが先決かと思われます」
「四天王が領主だなんてどうしてまた四天王が領主になったの」
「四天王のうちの一人であるアイクはまだ14歳という若き少年でしてね。いろいろと経験が必要と判断した教育係のシェシルが帝王に話をして東の地を治める領主として経験を積ませているとおれは聞いてます」
トウヤさんの言葉にアオイちゃんが不思議に思い尋ねる。それに彼が答えると彼女も納得した様子で頷いた。
トウヤさんの助言の下私達は東の地を通り抜けて西の地へと向かうこととなる。
しかし一度は領主の館がある町へと向かわないといけないため何事もなく無事に通り抜けられるかが心配された。
とにかく心配していても仕方がないので何とかなると信じて私達は旅を続ける。
私達が東の地へとやってきて領主の館がある町まで向かう途中の棚田のあたりに差し掛かると前方から銀色の髪の少年が歩いてきた。
「お姉さん達どこにいくの?」
「え、えっと。東の地に向かっているのよ」
笑顔で話しかけてきた少年にアオイちゃんがまさか声をかけられるとは思っていなかったようで驚くもちゃんと答える。
顔つきや髪の色それに服装から見て帝王が支配してから移り住んできた帝都側に住む少年のようだが私は彼の顔に見覚えがあった。
「ぼくもちょうど町に向かう途中だったんだ。ねえ、お姉さん達よかったらぼくが町まで案内するよ」
「どうする?」
「ここで下手に断っては怪しまれますし、それにこの辺に住んでいる少年なら一緒に行動した方のが色々と安全かと思われますよ」
笑顔で提案してくる少年の言葉にアオイちゃんが私達の方へと振り返り尋ねる。それにトウヤさんがそう言った。
「それじゃあお願いするわ」
「ぼくはアレクっていうんだ。お姉さんは?」
少年の方へと振り返り笑顔で頼む彼女へと彼が名乗り尋ねる。
「私はアオイよ。アレクよろしくね」
「アオイか、透き通るような素敵な名前だね。よろしく。それじゃあ案内するよ」
それにアオイちゃんが答えると少年が笑顔で言うと先に歩き道案内を始める。
(やっぱりアレクってアレクシル君のことよね。ゲームで見た通りの流れになってる。って事はこの後はストーリー通りに領主である四天王の二人にばったり出くわしちゃうのかな?)
内心で考え事をしながら前を進むアオイちゃん達について歩く。
「ぼくはね世界中を旅している途中なんだ。アオイ達も見たところ旅人みたいだけど、やっぱり領主様に挨拶しに行くの」
「え、う、うん。この地を通らせてもらうんだもの挨拶しておかないと失礼になっちゃうものね」
アレク君が話しかけてきたのでアオイちゃんはとりあえず話を合わせて頷く。
「そうなんだ。だけどいま領主様達はいないよ。なんでも帝王様から招集がかかって今は帝国に行ってしまっているらしいんだ」
「そうなの」
次に彼が話した言葉に彼女は驚いたが少しだけほっとした顔をする。
「領主に会わずしてここを通り過ぎることになりますね」
「それならそのほうがいいんじゃないのか。領主に会えばいろいろとめんどうになりそうだしな」
イカリ君の言葉にユキ君がそう言って安堵した。それからしばらく歩くと町の門が見えてくる。
「待て、貴様等そこで何をしている」
「帝王様からこちらに反乱軍が来ているって聞いて急いで戻ってきたんだけど、君達が反乱軍?」
町の中へと入ろうとすると背後から声をかけられ振り返る。すると青色の短髪の少年と緑の髪を一本にまとめた男性が立っていた。
「オレ達は旅の者で、西の地へと向かう途中でして、この地へと通りかかっただけです」
「大勢の兵士を引き連れてか?」
穏やかな口調で話しやり過ごそうとするハヤトさんの言葉に男性が鋭い口調で尋ねる。
「それは……」
「この人達は旅芸人の一座で、あっちの兵士さん達は一座を護衛する傭兵さん達だよ」
「「!?」」
アオイちゃんが困った顔でどうしようかと言葉を考えているとアレク君が口を開き二人の前へと出る。彼の顔を見たとたん彼等は驚く。
「この地を通らせてもらうために領主様に挨拶に行こうとしていたんだけど、領主様が自ら来てくれてよかったね」
「へ? それじゃあこの人が東の地を治める領主様なの」
アレク君がにこりと笑い言った言葉にアオイちゃんが驚いて少年を見詰めた。
「うん、そうですよね。アイク様。それにアイク様の部下のシェシル様?」
「そっか、お姉さん達旅芸人の一座だったんだね。ごめんね、変な疑い持っちゃって。ボクはアイク。この東の地を帝王様から任されている領主だよ。こっちはボクの主導員兼世話係のシェシル」
「……」
彼がそうだと頷くと笑顔で尋ねる。それにアイクさんが旅芸人の一座だと信じてくれて謝ると自己紹介した。シェシルさんは何事か言いたげな顔で黙っている。
確かゲーム通りだとシェシルさんは王子様がここにいることに驚くも、アレク君には何か深い考えがおありなのだろうと思い今回はアオイちゃん達の事見逃してくれるのよね。
そしてそれとは対照的に純粋で信じ込みやすいタイプのアイクさんは王子の言葉に納得して、アオイちゃん達の事を本当に旅芸人の一座だと思ってて西の地へと旅する彼女達の事を心配してくれる。
なぜならそこの地を治める領主ヴォルトスさんのやり方が好きじゃなくてアイクさんは嫌悪感を抱いているから。
「でもこれから西の地へと向かうならその地を治めている領主には気を付けてね。あいつ結構ひどい奴だから。どうして帝王様はあんな奴を野放しになんかしてるのか……」
「アイク。帝王様のお考えに口出しなど恥を知りなさい」
アイクさんが険しい表情で言った言葉にシェシルさんが諫める。
「だって、あいつのやり方ボク好きじゃないもん。お姉さん達急いでるみたいだから今回はあきらめるけど、今度会う時は是非芸を見せてね」
「は、はい」
それに不服気に唇を尖らせ抗議すると今度は笑顔になりアオイちゃん達へと話す。彼女はそれに返事をしながらも正体がバレなくてよかったと安堵する。
「それじゃあ、ね」
「……」
アイクさんが笑顔で手を振ると町の中へと入っていく。私達を一瞥してからシェシルさんも後について行った。
「ぼくもそろそろ行かないと。アオイ、道中気を付けてね」
「うん。アレクここまで案内してくれて有り難う」
アレク君が言うとアオイちゃんもお礼を言って立ち去っていく背中を見送る。
「……何とかやり過ごせましたね。アレクに感謝しないと」
「だが、ここにこれ以上留まるのは危険だ。直ぐにこの町から離れた方が良いだろう」
「そうですね。アレク殿のおかげで一度は難を逃れましたが、あのシェシルという男はまだ僕達の事を疑っているようでしたし、あの者が姫様の正体に気付く前にこの地を離れた方がよろしいでしょう」
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二人の関係は主従か、あるいはもう友達? 王女と護衛騎士が織りなすズレた友情劇は、思わぬ方向に進んでいく。果たしてノクティアは普通の友達を作ることができるのか?
孤独な王女が友情を求める氷と闇のファンタジー・コメディ、開幕!
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人外が差別される貧民街で盗みをして生計をたてていた少年ロボ。
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怪我を負ったロボは他に行く当てもないので、仕方がなくアーロンの家に居候する事になった。
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魔法の才能があったロボは、アーロンの弟子となり、魔法の使い方も学んでいく。
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人よりも長い時を生きるエルフであるアーロンは、今まで何百年も今と同じように手の届く範囲の孤児を引き取り、育てていたらしく、アーロンの元を離れ暮らしている子供たちは沢山いる。
時折手土産を持って家を訪れるアーロンの子供たちは、今現在の自分の生活を楽しそうに語り、アーロンへの感謝の念を述べて帰っていった。
明日を生きるので精一杯の日常を送っていたロボは、自分の未来なんて考える余裕がなかったのだが、自分と似たような境遇だった子供たちが、いきいきとした表情をしているのを見て、自身の将来の事を考え始めた。
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KAKIDAMISHI -The Ultimate Karate Battle-
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1894年、東洋の島国・琉球王国が沖縄県となった明治時代――
後の世で「空手」や「琉球古武術」と呼ばれることとなる武術は、琉球語で「ティー(手)」と呼ばれていた。
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誇り高き武人たちは、時代に翻弄されながらも戦い続ける。
拳と思いが交錯する空手アクション歴史小説、ここに誕生!
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空手道、琉球空手、沖縄空手、琉球古武道、剛柔流、上地流、小林流、少林寺流、少林流、松林流、和道流、松濤館流、糸東流、東恩流、劉衛流、極真会館、大山道場、芦原会館、正道会館、白蓮会館、国際FSA拳真館、大道塾空道
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
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この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
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