ライゼン通りの錬金術師さん～錬金術工房はじめます～

ライゼン通りの錬金術師さん５ ～黒の集団の襲来～

プロローグ

　鳥のさえずりが聞こえる暖かな陽気の朝。ソフィアは看板をクローズからオープンに変えると笑顔で頷く。

「今日もいい天気。よし、頑張るわよ」

「お姉さん。お店のお掃除終わったよ」

「有難う」

ポルトの声に答えると彼がじっと彼女の顔を見る。

「？」

「ねぇ、お姉さん。リリア今頃ギルと一緒にどこかで旅を続けているんだよね」

「そうね。贖罪の旅だって言っていたからザハルがあったザールブルグ王国へと向かっているのかもしれないわね」

不思議に思っているとポルトがそう言って来た。それにソフィアも小さく笑いながら答える。

「リリア早く戻ってこないかな～」

「いつ戻って来てもいいようにリリアのお店を常に綺麗にしておきましょうね」

「うん」

彼の言葉に彼女もそうねといいたげに微笑み話す。

「おいらリリアのお店の掃除をしてくるよ」

「……リリア。また会える日まで私達この工房で待っているからね」

ポルトが言うとリリアのお店へと向かう。その後ろ姿を見送ると青空へと視線を移し笑顔で呟いた。

こうしてリリアがいない工房での生活がまた始まりを迎えたのである。