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ライゼン通りの錬金術師さん4 ~光と闇の王国~

エピローグ

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 リリアがギルを連れて旅だって行ってから数日が経った頃。

「う~ん。最近大分寒くなったわね。雪でも降るのかしら」

「おはようございます」

大きな伸びをしてかじかむ朝の光を浴びていると誰かに声をかけられる。

「あら、ハンスさん」

「ソフィーに耳寄りな情報を持ってきましたよ。これでこの工房も益々繁盛するに違いない……ちょっと、聞いてますか」

ハンスが話し始めた言葉にまたかと思い苦笑をする彼女の様子に彼が慌てて声をかけた。

「聞いてますよ。商売の話でしょ」

「そうです。何とこの私ついに商人ギルドマスターの称号を手に入れたのです。ついに露店ではなくお店を持てるようになったのですよ。そこでソフィーの錬金術で作ったアイテムをお店に並べておけばこの工房の宣伝になると思いましてね」

ソフィアの言葉に彼が大きく頷くとつらつらと語り始める。

「へ~。ハンスついにあの荷馬車から卒業するんだ」

「そうなのですよ。ついに噴水広場にお店を……ん、ポルト君いつの間に?」

「耳寄りな情報を持ってきたって辺りからいたよ」

第三者の声にハンスが下を見やり尋ねた。聞かれたポルトが欠伸をしながら答える。

「それで、ハンス。お姉さんのお店の宣伝になるって言うけどその利益は自分のものにするとかじゃないよね」

「ソフィーには良くして頂いていますけれど商売に関しては私情を挟みませんので売り上げの半分はお店の運営に使わせて頂きます。これが最初の条件です」

彼の言葉にハンスがズレてもいないモノクルをくいっとあげて答えた。

「やっぱり。ソフィー断っちゃいなよ。こっちに入ってくるお金なんてそんなにないよ」

「ちょ、ちょっと待って下さい! 最初の条件と言いましたでしょう。つまり、ソフィーとの御話し合いの結果では一割まで引き下げてもいいのですよ」

ポルトがソフィアを見上げて話すので彼が慌てて待ったをかける。

「つまり、お姉さんとの友好関係次第って事?」

「そ、そうなりますね。私も鬼ではありませんので」

彼の言葉にハンスが恥ずかしそうに頬を赤らめながら頷く。

「ソフィー。ちょっと良い。おいら思ったんだけどお姉さんが上目遣いで「ハンスさんお願い。安くして~」って頼めばいちころだと思うよ」

「利益の話よね? どうして殺すみたいな言い方するの?」

耳打ちしてきたポルトの言葉に彼女は不思議そうに首をかしげる。

「まぁ、いいからやってみてよ。それで一割引きまで引き下げてもらえたらこっちとしても商売になるし」

「分かったわ。……ハンスさんお願いがあるの。半分より安くしてもらえないかしら」

「ぅ!?」

言われた通り上目遣いを意識しながら頼んでみるとハンスが衝撃を受け固まった。

「ハ、ハンスさん大丈夫? 顔が真っ赤よ」

「~~っぅ。そ、そこまで言うなら一割引きまで引き下げてあげましょう! では、今日はこれで失礼します」

耳まで真っ赤になった彼の様子に驚いてソフィアは慌てる。ハンスが我に返ると捲し立てるように言ってから帰って行った。

「ど、如何したのかしら?」

「本当にお姉さんは鈍いなぁ~。これじゃ隊長もハンスも苦労させられっぱなしだよね」

自分は何かやらかしてしまったのだろうかと慌てる彼女を見ながらポルトが溜息を零す。

「兎に角、一割引きまで引き下げてもらえて良かったね。それならこっちにも利益があるしさ」

「え、えぇ。そうね」

こうしてハンスのお店に品物を委託することが出来るようになった。物が売れたらそこから一割引かれた額が工房の利益となる。

一つの終わりと新しい始まり。次はどんな出会いがソフィアに待ち受けているのだろうか。

====

あとがき

 これにて錬金術師さん4~光と闇の王国~は完結に御座います。ようやくアイアンゴーレム事件の隠されていた部分を暴露できて作者はほっと一息ついております。お針子さん、冒険者さん、錬金術師さんを全てご拝読下さいました読者様にはこれでアイアンゴーレム事件&解決編の全貌が明らかになり交錯していた物語が繫がりスッキリされていましたら幸いです。次はお針子さん6でお会いいたしましょう。ここまでご拝読下さり誠に有難う御座いました。
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