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月宮雫、16歳。片思いこじらせ中。
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桜並木を眺めながら今日も憂鬱な気持ちで学校へと向かう。
高校2年になってから2週間。クラスは変わったばかりだけど、友達はまだ出来ない。
自分を地味に演出する三つ編みとクラスの誰よりも長い丈のスカートを揺らしながら、ため息をつく。
今日も昨日と同じような日になる、そんな予感がしている。それでも、一つだけ楽しみはある。
「おはよう、月宮さん」
「さ、朝倉くん! おはよう….…」
彼はいつものように爽やかな笑顔で私に挨拶をする。
「早いんだね?」
「う、うん……」
初めて出来た好きな人・朝倉湊くん。私、月宮雫は朝倉くんにずっと片思いをしている。
「あっ、髪に……」
「へ?」
「桜の花びらついてたよ」
朝倉くんは私の髪についてた桜の花びらを取ってくれた。
「あ、ありがと……」
今日こそはたくさん話がしたい……!
「朝倉く……」
私が言いかけた瞬間、いきなり誰かに突き飛ばされた。
「おはよう、湊!」
「おはよー!」
クラスの女子グループ5人組が朝倉くんの元へ。クラスで一番可愛くて華がある森沢かれんさん率いるグループだ。
「あっれー? 月宮さんいたんだ? 影薄くて気付かなかった」
「す、すみません……」
グループの中心メンバーである森沢さんは朝倉くんとは中学からずっと一緒らしく、やたらと朝倉くんと親しげ。付き合ってはないらしいけど。
「かれん、ぶつかったんだから謝れよ」
「はーい。ごめんね? 月宮さん」
「だ、大丈夫です! 先に行きますね」
私は逃げるようにその場から走り去る。
彼女達がいる限り、私は朝倉くんとお近付きになるなんて出来ない。
私は知っている。森沢さんみたいな人達は私みたいに地味で根暗な女が朝倉くんに近付いたりなんかしたら敵意を剥き出すと。
小学生の時に仲良くしていた子からはぶられて以来、私は人の目にやたらと敏感になっていた。
朝倉くんはクラスで孤立している私にすらいつも優しくしてくれる。だけど、叶いっこない。
朝倉くんに合うのは森沢さんみたいな子。
分かってはいるけど……。
「はい、では皆さん! 校外学習の班を決めてくださいねー!」
今日の学校は憂鬱なイベントが待ち構えていた。1時間目からホームルームで、5月に行う校外学習の班決めだ。
もちろんクラスに友人のいない私は余る。
校外学習の日だけ休んじゃえば良いかと決断した時だった。
森沢さん達と話をしていた朝倉くんが話を止め、私の元へとやって来た。
「月宮さん、同じ班にならない?」
「えっ……」
朝倉くんは優しく微笑む。その表情に私の心臓が跳ね上がる。
だけど、すぐに森沢さんが駆けつけて来た。
「ちょっと! 湊はうちらと同じ班でしょ?」
「メンバー1人増えるくらい良いだろ。月宮さんとも仲良くしたいし、俺」
「5人までだよ? 班」
「先生に相談するよ。かれんだって俺と同じで月宮さんとあまり話した事無いだろ? きっと仲良くなれるよ。それに、人数多い方が良いし」
朝倉くんは森沢さんを説得する。だけど、森沢さんが納得する筈もない。
「月宮さんだって困るよね? 急に誘われても……」
「あ、あの……私は……」
「何? はっきり言って。よく聞こえ無いんだけど」
森沢さんが強い口調で私に話しかけて来た為、私は怯んでしまう。遠回しに邪魔だと言わんばかりの話し方だ。
「わ、私は校外学習……行きません」
つい咄嗟に出てしまった。
「だってさ! 湊」
「月宮さん、どうして……」
「もう良いじゃん、湊! 無理に誘ったら可哀想だって」
「山田達んとこ戻ろ?」
残念な顔をする朝倉くんに申し訳ないと思いながらもやっぱり行きます、同じ班になりましょうとは言えないまま。
私は意気地無しだ……。
休み時間はイヤフォンをしながら勉強し、昼休みは人の来ない屋上で昼食を食べると、お気に入りの本を読む。
毎日ぼっちらしい学校生活の繰り返し。
そんな学校生活を送っているのは小4の時からだ。ずっとずっと変わらない、そう私は思っていた。
学校が終わると、お気に入りの少女漫画の発売日だった事を思い出し、私は書店へ立ち寄った。学校の近くにある商店街にある小さな書店を私は気に入ってよく利用している。
お気に入りの少女漫画のコーナーへ向かって歩いていると、占いコーナーの看板が目に入った。
恋をしているとどうして人はこんなにも占いやおまじないに惹かれてしまうのだろうか。
「貴方の願いがきっと叶うおまじない100……」
占いコーナーで気になるタイトルの本を見つけた私は一冊手に取ってみる。
紫色のカバーで厚さは辞書と何ら変わりない。いかにも胡散臭いけれど、私には判断能力がこの時低下していた。
朝倉くんが挨拶してくれて、校外学習に誘ってくれて本当に嬉しかったのに……何も出来なかった。森沢さん達に遠慮してアプローチなんて出来なくてずっとずっと見ているまま。
本当はこのままは嫌……。
「物は試し……だよね?」
私はその怪しげなおまじないの本を持ってレジへ向かった。本来目的であった少女漫画を買う事を忘れて。
高校2年になってから2週間。クラスは変わったばかりだけど、友達はまだ出来ない。
自分を地味に演出する三つ編みとクラスの誰よりも長い丈のスカートを揺らしながら、ため息をつく。
今日も昨日と同じような日になる、そんな予感がしている。それでも、一つだけ楽しみはある。
「おはよう、月宮さん」
「さ、朝倉くん! おはよう….…」
彼はいつものように爽やかな笑顔で私に挨拶をする。
「早いんだね?」
「う、うん……」
初めて出来た好きな人・朝倉湊くん。私、月宮雫は朝倉くんにずっと片思いをしている。
「あっ、髪に……」
「へ?」
「桜の花びらついてたよ」
朝倉くんは私の髪についてた桜の花びらを取ってくれた。
「あ、ありがと……」
今日こそはたくさん話がしたい……!
「朝倉く……」
私が言いかけた瞬間、いきなり誰かに突き飛ばされた。
「おはよう、湊!」
「おはよー!」
クラスの女子グループ5人組が朝倉くんの元へ。クラスで一番可愛くて華がある森沢かれんさん率いるグループだ。
「あっれー? 月宮さんいたんだ? 影薄くて気付かなかった」
「す、すみません……」
グループの中心メンバーである森沢さんは朝倉くんとは中学からずっと一緒らしく、やたらと朝倉くんと親しげ。付き合ってはないらしいけど。
「かれん、ぶつかったんだから謝れよ」
「はーい。ごめんね? 月宮さん」
「だ、大丈夫です! 先に行きますね」
私は逃げるようにその場から走り去る。
彼女達がいる限り、私は朝倉くんとお近付きになるなんて出来ない。
私は知っている。森沢さんみたいな人達は私みたいに地味で根暗な女が朝倉くんに近付いたりなんかしたら敵意を剥き出すと。
小学生の時に仲良くしていた子からはぶられて以来、私は人の目にやたらと敏感になっていた。
朝倉くんはクラスで孤立している私にすらいつも優しくしてくれる。だけど、叶いっこない。
朝倉くんに合うのは森沢さんみたいな子。
分かってはいるけど……。
「はい、では皆さん! 校外学習の班を決めてくださいねー!」
今日の学校は憂鬱なイベントが待ち構えていた。1時間目からホームルームで、5月に行う校外学習の班決めだ。
もちろんクラスに友人のいない私は余る。
校外学習の日だけ休んじゃえば良いかと決断した時だった。
森沢さん達と話をしていた朝倉くんが話を止め、私の元へとやって来た。
「月宮さん、同じ班にならない?」
「えっ……」
朝倉くんは優しく微笑む。その表情に私の心臓が跳ね上がる。
だけど、すぐに森沢さんが駆けつけて来た。
「ちょっと! 湊はうちらと同じ班でしょ?」
「メンバー1人増えるくらい良いだろ。月宮さんとも仲良くしたいし、俺」
「5人までだよ? 班」
「先生に相談するよ。かれんだって俺と同じで月宮さんとあまり話した事無いだろ? きっと仲良くなれるよ。それに、人数多い方が良いし」
朝倉くんは森沢さんを説得する。だけど、森沢さんが納得する筈もない。
「月宮さんだって困るよね? 急に誘われても……」
「あ、あの……私は……」
「何? はっきり言って。よく聞こえ無いんだけど」
森沢さんが強い口調で私に話しかけて来た為、私は怯んでしまう。遠回しに邪魔だと言わんばかりの話し方だ。
「わ、私は校外学習……行きません」
つい咄嗟に出てしまった。
「だってさ! 湊」
「月宮さん、どうして……」
「もう良いじゃん、湊! 無理に誘ったら可哀想だって」
「山田達んとこ戻ろ?」
残念な顔をする朝倉くんに申し訳ないと思いながらもやっぱり行きます、同じ班になりましょうとは言えないまま。
私は意気地無しだ……。
休み時間はイヤフォンをしながら勉強し、昼休みは人の来ない屋上で昼食を食べると、お気に入りの本を読む。
毎日ぼっちらしい学校生活の繰り返し。
そんな学校生活を送っているのは小4の時からだ。ずっとずっと変わらない、そう私は思っていた。
学校が終わると、お気に入りの少女漫画の発売日だった事を思い出し、私は書店へ立ち寄った。学校の近くにある商店街にある小さな書店を私は気に入ってよく利用している。
お気に入りの少女漫画のコーナーへ向かって歩いていると、占いコーナーの看板が目に入った。
恋をしているとどうして人はこんなにも占いやおまじないに惹かれてしまうのだろうか。
「貴方の願いがきっと叶うおまじない100……」
占いコーナーで気になるタイトルの本を見つけた私は一冊手に取ってみる。
紫色のカバーで厚さは辞書と何ら変わりない。いかにも胡散臭いけれど、私には判断能力がこの時低下していた。
朝倉くんが挨拶してくれて、校外学習に誘ってくれて本当に嬉しかったのに……何も出来なかった。森沢さん達に遠慮してアプローチなんて出来なくてずっとずっと見ているまま。
本当はこのままは嫌……。
「物は試し……だよね?」
私はその怪しげなおまじないの本を持ってレジへ向かった。本来目的であった少女漫画を買う事を忘れて。
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