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第4章
4-18コールインスコール ☆
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僕たちが乗るタクシーはアメリカンビレッジの駐車場に到着した。少し遅れて横にもタクシーが停まった。降りてきたのは新城たちだ。
各々が運転士さんに感謝を述べた後、二班で一緒に行動することにできた。草壁は落ち着かない様子だった。
「おお、すげぇ。遊園地みたいじゃん」
新城の言う通り、異国情緒のある建物が建ち並んでいる様子は壮観で、立ち入るだけでも料金を取れそうなほどだった。そういったテーマパークと違うのは、これらのほとんどが店として経営されている点。
ここを時間まで見て回ろうと、建物の一つに入って少し経ったところ……。
「あ、君島くん。降ってきたみたい」
清家さんが寄ってきて言った。
「ついに来ちゃったか。分かった、すぐ集めてホテルに戻ろう」
まずは草壁に電話をかけた。
しばらく呼び出し音が鳴り、声が聴こえた。
「おかけになった電話は、電波の届かない――」
草壁ではなく、予め用意されたアナウンスの声が。
「清家さん、草壁に繋がらなかったよ……」
◇
電池、切れたーー!
まじか確かに使ったわバッテリーも無いし! ……どうしよう。探すか、待つか、かな。いや~どっち?
本当に雨すごいじゃん。
……寂しい。
いやいやだめだめ! よし! 探す! まずは入った所に
「いた」
馴染みのある声が聞こえて振り返った。
思った通り優哉だった。
「今何をしようとしていた?」
「え? みんなを探そうとしてた!」
「胸張って言うな。余計なことしないでくれ。迷惑だから」
「う……。じゃあそう言う優哉はなんでここにいるの!?」
「君島から、集合場所に行く途中で美頼を見つけたら連れてくるように言われたから」
「やっぱり電話かけてきてたか……。ま、まあ、大丈夫だよね!」
「俺が知るか。行くぞ」
優哉はうちの横を通り過ぎていった。こっちには見向きもせず真っ直ぐに。
急いで振り返った。
そして、
咄嗟に、
優哉の腕を掴んでいた。
なんでそんなことをしたのか自分でも分からなかった。
なんだろうこれ。怖い? 寂しい? 辛い? 苦しい?……何か違う。前にも似たようなことがあったような気もする。でもいつのこと?
え……? 涙が出るほど……? ちょっと待って優哉振り返っちゃう!
「どうした?」
良かった。優哉が振り返りきる前に拭えた。……と思う。
……あ、今質問されたんだった。えーと……
「バッテリー!……貸してくれる?」
「分かった」
それから君島や新城くんたちが見えたらすぐに謝って、運転士さんに言われて買っておいた合羽を着てすぐにホテルに戻った。
各々が運転士さんに感謝を述べた後、二班で一緒に行動することにできた。草壁は落ち着かない様子だった。
「おお、すげぇ。遊園地みたいじゃん」
新城の言う通り、異国情緒のある建物が建ち並んでいる様子は壮観で、立ち入るだけでも料金を取れそうなほどだった。そういったテーマパークと違うのは、これらのほとんどが店として経営されている点。
ここを時間まで見て回ろうと、建物の一つに入って少し経ったところ……。
「あ、君島くん。降ってきたみたい」
清家さんが寄ってきて言った。
「ついに来ちゃったか。分かった、すぐ集めてホテルに戻ろう」
まずは草壁に電話をかけた。
しばらく呼び出し音が鳴り、声が聴こえた。
「おかけになった電話は、電波の届かない――」
草壁ではなく、予め用意されたアナウンスの声が。
「清家さん、草壁に繋がらなかったよ……」
◇
電池、切れたーー!
まじか確かに使ったわバッテリーも無いし! ……どうしよう。探すか、待つか、かな。いや~どっち?
本当に雨すごいじゃん。
……寂しい。
いやいやだめだめ! よし! 探す! まずは入った所に
「いた」
馴染みのある声が聞こえて振り返った。
思った通り優哉だった。
「今何をしようとしていた?」
「え? みんなを探そうとしてた!」
「胸張って言うな。余計なことしないでくれ。迷惑だから」
「う……。じゃあそう言う優哉はなんでここにいるの!?」
「君島から、集合場所に行く途中で美頼を見つけたら連れてくるように言われたから」
「やっぱり電話かけてきてたか……。ま、まあ、大丈夫だよね!」
「俺が知るか。行くぞ」
優哉はうちの横を通り過ぎていった。こっちには見向きもせず真っ直ぐに。
急いで振り返った。
そして、
咄嗟に、
優哉の腕を掴んでいた。
なんでそんなことをしたのか自分でも分からなかった。
なんだろうこれ。怖い? 寂しい? 辛い? 苦しい?……何か違う。前にも似たようなことがあったような気もする。でもいつのこと?
え……? 涙が出るほど……? ちょっと待って優哉振り返っちゃう!
「どうした?」
良かった。優哉が振り返りきる前に拭えた。……と思う。
……あ、今質問されたんだった。えーと……
「バッテリー!……貸してくれる?」
「分かった」
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