200 / 273
第4章
4-13四択
しおりを挟む
映像部は今までの行事と同様に修学旅行も撮影し、動画を制作する。
ただし特に準備はなく、僕と幸恵さん、それから協力していただける先生方がその場その場で撮影する。編集も記録映像として校内に放送するだけのもので、そこまで凝ったものにする必要はないから気が楽だ。
改めて考えると、文化祭宣伝動画は量が膨大だし公開するものだから凝る必要はあるしでかなり苦労したな……。
「奏向くんたちの班は修学旅行どこに行くことにしたの?」
今は部内で情報の共有をしているところだ。
「中部南部だよ」
「へ~。なんでそれに?」
「草壁が市場を見たくて、あと衣装のデザイナーを目指している清家さんも沖縄独特の服装を見られたらってことで」
「なるほど。奏向くんは何か希望していたの?」
質問攻めだ。
「まあ、うん。北部中部と中部南部」
「それ選んだ理由も訊いていい?」
さらに質問。なんというか、どこか焦ってる?
「えっと、草壁には飲食関係のもの、清家さんには衣装関係のものを見てほしかったからだよ」
「そうなんだ」
……終わった?
「あ、ごめん続けざまに。その、選ぶのに時間がかかっちゃったからどうしたのか訊いてみたくて」
「そういうこと。まあそんなものかもね。僕の組もみんな大体どれも良いとか言ってたから」
「そうなんだ。まあ四択だし、全部良いからね」
「それはそうだね」
ん? 四択? 行き先は五択のはず。一つは考えないことにしたってことかな。
……いや、まさかとは思うけど、焦っているような質問攻めも併せて考えると、進路のことだったり……?
「あれ、今私四択って言った? 五択だよね」
なんだ言い間違いか。
「五択五択! 五択だから! あと私の班は住ルートに行くから!」
今までにない慌てっぷり! 絶対修学旅行とは違うことだ!
◇
誤魔化せたかな……。決められたら伝えることにしたのに、今伝わったら困らせるだけだよね。
でも、一つにするどころか増えちゃったからなぁ……。
調べて見つけたのは、宇宙考古学や天文考古学のような考古学寄りと銀河考古学のような天文学寄り。考古学寄りは日本で研究できる所はなさそうだから今の時点では一纏めにしてはいる。
ただこれらの考古学と天文学の両方に関連する学問は、それだけ考古学や天文学そのものとの違いがある。だからこの二つも切り捨てられないし……。
それで奏向くんの選び方が参考になるかと思ったんだけど、奏向くんは奏向くんだった。
でも、そうだよね。“誰か”のために。それが私の一番の目標だったよね。
……それとも、今回の奏向くんが同じ班の人のことを考えていたように、その“誰か”は具体的な方が良かったりして。
ただし特に準備はなく、僕と幸恵さん、それから協力していただける先生方がその場その場で撮影する。編集も記録映像として校内に放送するだけのもので、そこまで凝ったものにする必要はないから気が楽だ。
改めて考えると、文化祭宣伝動画は量が膨大だし公開するものだから凝る必要はあるしでかなり苦労したな……。
「奏向くんたちの班は修学旅行どこに行くことにしたの?」
今は部内で情報の共有をしているところだ。
「中部南部だよ」
「へ~。なんでそれに?」
「草壁が市場を見たくて、あと衣装のデザイナーを目指している清家さんも沖縄独特の服装を見られたらってことで」
「なるほど。奏向くんは何か希望していたの?」
質問攻めだ。
「まあ、うん。北部中部と中部南部」
「それ選んだ理由も訊いていい?」
さらに質問。なんというか、どこか焦ってる?
「えっと、草壁には飲食関係のもの、清家さんには衣装関係のものを見てほしかったからだよ」
「そうなんだ」
……終わった?
「あ、ごめん続けざまに。その、選ぶのに時間がかかっちゃったからどうしたのか訊いてみたくて」
「そういうこと。まあそんなものかもね。僕の組もみんな大体どれも良いとか言ってたから」
「そうなんだ。まあ四択だし、全部良いからね」
「それはそうだね」
ん? 四択? 行き先は五択のはず。一つは考えないことにしたってことかな。
……いや、まさかとは思うけど、焦っているような質問攻めも併せて考えると、進路のことだったり……?
「あれ、今私四択って言った? 五択だよね」
なんだ言い間違いか。
「五択五択! 五択だから! あと私の班は住ルートに行くから!」
今までにない慌てっぷり! 絶対修学旅行とは違うことだ!
◇
誤魔化せたかな……。決められたら伝えることにしたのに、今伝わったら困らせるだけだよね。
でも、一つにするどころか増えちゃったからなぁ……。
調べて見つけたのは、宇宙考古学や天文考古学のような考古学寄りと銀河考古学のような天文学寄り。考古学寄りは日本で研究できる所はなさそうだから今の時点では一纏めにしてはいる。
ただこれらの考古学と天文学の両方に関連する学問は、それだけ考古学や天文学そのものとの違いがある。だからこの二つも切り捨てられないし……。
それで奏向くんの選び方が参考になるかと思ったんだけど、奏向くんは奏向くんだった。
でも、そうだよね。“誰か”のために。それが私の一番の目標だったよね。
……それとも、今回の奏向くんが同じ班の人のことを考えていたように、その“誰か”は具体的な方が良かったりして。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~
メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」
俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。
学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。
その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。
少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。
……どうやら彼は鈍感なようです。
――――――――――――――――――――――――――――――
【作者より】
九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。
また、R15は保険です。
毎朝20時投稿!
【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
.
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編3が完結しました!(2024.8.29)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる