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第4章

4-13四択

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 映像部は今までの行事と同様に修学旅行も撮影し、動画を制作する。

 ただし特に準備はなく、僕と幸恵さん、それから協力していただける先生方がその場その場で撮影する。編集も記録映像として校内に放送するだけのもので、そこまで凝ったものにする必要はないから気が楽だ。
 改めて考えると、文化祭宣伝動画は量が膨大だし公開するものだから凝る必要はあるしでかなり苦労したな……。

「奏向くんたちの班は修学旅行どこに行くことにしたの?」

 今は部内で情報の共有をしているところだ。

「中部南部だよ」

「へ~。なんでそれに?」

「草壁が市場を見たくて、あと衣装のデザイナーを目指している清家さんも沖縄独特の服装を見られたらってことで」

「なるほど。奏向くんは何か希望していたの?」

 質問攻めだ。
「まあ、うん。北部中部と中部南部」

「それ選んだ理由も訊いていい?」

 さらに質問。なんというか、どこか焦ってる?
「えっと、草壁には飲食関係のもの、清家さんには衣装関係のものを見てほしかったからだよ」

「そうなんだ」

 ……終わった?

「あ、ごめん続けざまに。その、選ぶのに時間がかかっちゃったからどうしたのか訊いてみたくて」

「そういうこと。まあそんなものかもね。僕の組もみんな大体どれも良いとか言ってたから」

「そうなんだ。まあ四択・・だし、全部良いからね」

「それはそうだね」

 ん? 四択? 行き先は五択のはず。一つは考えないことにしたってことかな。
 ……いや、まさかとは思うけど、焦っているような質問攻めも併せて考えると、進路のことだったり……?

「あれ、今私四択って言った? 五択だよね」

 なんだ言い間違いか。

「五択五択! 五択だから! あと私の班は住ルートに行くから!」

 今までにない慌てっぷり! 絶対修学旅行とは違うことだ!



 誤魔化せたかな……。決められたら伝えることにしたのに、今伝わったら困らせるだけだよね。

 でも、一つにするどころか増えちゃったからなぁ……。
 調べて見つけたのは、宇宙考古学や天文考古学のような考古学寄りと銀河考古学のような天文学寄り。考古学寄りは日本で研究できる所はなさそうだから今の時点では一纏めにしてはいる。
 ただこれらの考古学と天文学の両方に関連する学問は、それだけ考古学や天文学そのものとの違いがある。だからこの二つも切り捨てられないし……。

 それで奏向くんの選び方が参考になるかと思ったんだけど、奏向くんは奏向くんだった。

 でも、そうだよね。“誰か”のために。それが私の一番の目標だったよね。
 ……それとも、今回の奏向くんが同じ班の人のことを考えていたように、その“誰か”は具体的な方が良かったりして。
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