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第4章

4-11班行動の密談

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 沖縄での修学旅行における班行動は予め決められた五種類の中から選ぶことになる。
 行き先はそれぞれのテーマに沿った三か所と、途中に首里城、美ら海水族館ときて、最後に宿泊するホテル近くのアメリカンビレッジ。
 でも同じ種類を選んだ班が同じ順番で巡るわけではなく、学校の教員とタクシー会社や行き先とで混まないように取り決めているらしい。

「単純計算で百二十通り、制約があって減ったとしても十通りまでとかはないと思う」
 僕は新城とどの種類を選ぶことにするかを話し合っていた。新城が言うに密談だ。

「とは言え二班合同で案内を受けることもあるらしいし、同じの選ぶよな」

 そう問いかけられて僕は簡単には答えられなかった。

「どうした?」

「行き先は衣・食・住と北部中部と中部南部だったよね」

「これ教育機関として最初の三つは良いと思うけど最後の二つやっつけだよな?」

「ゆっくり色々観られるのが利点だよ」

「それはそうかもしれんけども。で、それが?」

「実は文化祭で衣装の下絵担当だった清家さんも同じ班なんだ」

「つまり衣になるかもしれないと」

「それが清家さん自身はそれじゃなくても良いらしくて……」

「え? ならいい……いや、駄目だな。その清家さんだって草壁ちゃんとあまり変わらないよな」
 新城は考え込む。

「そうなんだよね。実物は他のどこかで見られそうとか見られなくても良いとか言うけど、直接見るのは違うと思うし、そう考えると確実に見てほしいし」

「またなんで同じ班に?」

「文化祭で草壁と意気投合したからね」

「そういうことか。というか宍戸は?」

「そっちには衣を選んでほしいから別の班だって。ちなみに別府がいるよ」

「どっちでもいい情報ありがとう。いや~二人とも沖縄独特のに触れてほしいよな~」

「うん。そうなると場所で分けられたどっちかにしたいんだけど、これもまたさっき言った利点で人気だと思うし」

「組の中でそれぞれの行き先に二班ずつって決まりだったな。これはもうその場の流れに任せるしかないだろ。逆に五分の四が当たりって考えよう」

「さすがに強引じゃない? あとそれから、最後のアメリカンビレッジ、ここなら一緒に行動できそうだけどどうする」

「これも難しいよな~。それぞれの場所での滞在時間とタクシー運転手に依って到着時刻が変わると思うんだよ。無理に引っ張ったり長い時間待たせたりするのは他のメンバーにも悪いし、あの二人もそこまでされたくないだろうし。できる限りで良いか?」

「うん。連絡を取り合いながら考えるよ」

「当日落ち着かないんだろうな……」

「忘れててもいいよ。それはそれってことで」



「三人は本当にそれで良いのか?」
 班での行き先打ち合わせの際、木庭が食ルートに対して念を押した。

 ……なんで?
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