僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ

文字の大きさ
上 下
188 / 281
第4章

4-1遠い目の男子の悩みと止める僕 ☆

しおりを挟む
 新城しんじょうは悩んでいるらしい。
 数学の授業で教室を移動したところ、先に遠い目で席に座っていた。
 まあ、そうなるかもしれないな。幸恵ゆきえさんのいきさつをこれまで見てきて、自分に思うところ

草壁くさかべちゃん、なんで二組じゃないんだろう」
 新城は焦点を僕に合わせ、微笑しながら呟いた。

「……前に似たようなことを木庭きばと草壁にも言われたよ。急に何?」

「修学旅行だよ。班が」「あ、聴きたくない」「なんで!?」

「いや新城の班の話じゃないの? 面倒なことが起こったからそう言うんでしょ」

「起こってねえって」「本人はそう言うものだよね」

「それに俺のことじゃない。草壁ちゃんと木庭を同じ班できたって話だよ」

「あ~……。そうだね」

 草壁と木庭との関係が修復してから四か月ほど。なんだかんだ楽しそうではあるけど、決め手に欠けるといった感じだった。……僕としては促しているつもりなんだけどな。
 そんな状況だから、修学旅行を一緒に過ごせたら打開できるのではないかと思うのも無理はない。

「はぁ。君島きみじま、余計なことしていないだろうな」

「うん。愚痴は聴いてあげてるけど」

「ちゃんと余計じゃねえか! それ『本当の悩みを話せるのは君島しかいないな~』ってなるやつじゃん!」

「え? そういうのって愚痴聴く側が妄想することで結局は実らないんじゃないの?」「そんなこともねえって」

「まあまあ、最後は木庭のこと立てているから大丈夫だって。そっちと違ってどうしても顔を合わせるんだからね?」

「いや、俺だって最近も土曜にリュヌ行ってるから」

「…………何してんの!? 僕は草壁のいる日避けてるんだからね!?」

「見たくなっちまうんだよあの二人を! それにコーヒー一杯だけだから許してくれよ!」

「二人とも」

 僕たちは硬直した。

「賑やかだな」
 そこにいたのは油井だった。

 木庭は、まだいなかった。

「……別の組なのは変えられないから、木庭の班の動向を見ながら僕の班は行動するよ」

「なんで俺の班の動向を見るんだ?」

「どういう意味? 僕は木庭と」「俺と木庭が同じ班なんだって。ん? まさかお前……」

「ああ……うん。草壁と同じ班。動きやすくできると思ってのことだから!」

「……そうか」



「え? なんかあった? まだ時間あるのに珍しく静かじゃん?」大原おおはらが訊いた。

「さあ? さっきまで賑やかだったが、座り直したきりそのままだな」油井ゆいが応えた。

「怖っ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」 俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。 学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。 その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。 少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。 ……どうやら彼は鈍感なようです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【作者より】 九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。 また、R15は保険です。 毎朝20時投稿! 【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

乗り換え ~結婚したい明子の打算~

G3M
恋愛
 吉田明子は職場の後輩の四谷正敏に自分のアパートへの荷物運びを頼む。アパートの部屋で二人は肉体関係を持つ。その後、残業のたびに明子は正敏を情事に誘うようになる。ある日、明子は正敏に結婚してほしいと頼みむのだが断られてしまう。それから明子がとった解決策 は……。 <登場人物> 四谷正敏・・・・主人公、工場勤務の会社員 吉田明子・・・・正敏の職場の先輩 山本達也・・・・明子の同期 松本・・・・・・正敏と明子の上司、課長 山川・・・・・・正敏と明子の上司

処理中です...