177 / 204
第3章
3-53対抗相手の言葉 ☆
しおりを挟む
「……負けた、と」
凛紗は君島の言葉に痛がる顔を見せた。
「ええ。勝負にもなってなかったのよ」
彼は何か言いかけて口を閉じた。
「良いわよ。何を言ってもらっても」
「余計なことだとしても?」
「今更気にしなくて良いわよ」
「それなら……。幸恵さんと冴羅さんの話をしたことがあって。そこでたまに恐いと思う時があったと言っていて。今思えば冴羅さんの意識を幸恵さんは感じ取っていたんだと思う」
「そう。本当に敵わないわ。それともやっぱり分かりやすいのかしら?」
「それからもう一つ、言っていたことがあって……」
「何?」
「理想のお姉さん、と。凛紗さんのことが羨ましいとも」
「……ふふっ。何それ。幸恵も立派な姉じゃない」
「だからこそなんだろうね」
僅か、本当に僅かだけれど、幸恵に及ばないと思わせることができたのかしらね。
「冴羅ちゃん……」
か細い声だった凛紗の方を向くと、今にも泣き出しそうだった。
「何? 大丈夫?」
「生徒会は辞めるんですか? それだけじゃないです。今後どうするんですか!?」
「こんな個人的なことで辞めないわ。たとえ幸恵の方が相応しいとしても、副生徒会長になったのは私よ。それ以外も元通り……元って言っても難しいけれど、ありのままでいるわ」
「冴羅ちゃん……!」
そう言って抱き着いてきた。
「感極まり過ぎよ。ありがとう、君島。聴いてくれて」
言われた当人はまた驚いた顔を見せた。
「いや、感謝するのはこっちの方だよ。本心は分からずじまいになるとばかり思っていたし、赤の他人の僕に話すなんて覚悟の要ることだと思うから」
「そうね……」
頷く君島。
「けれどこんな話を真剣に聴いてくれるでしょ?」
「それは……もちろん」
「今のこと、幸恵にも話すわ。それで謝る」
「うん。……じゃあ、また何かあったら」「君島さん!」
君島は振り返ろうとして凛紗の呼び掛けに立ち止まった。
「一緒に心配してくれたりちゃんと冴羅ちゃんのことを見ていてくれたり、本当にありがとうございます!」
「大したことはできなかったけど、役に立てたなら良かった。戻るね。草壁リーダーに怒られちゃいそうなんで」
「ありがとう」「ありがとうございます」
私たちは頭を下げた。
君島を見送りながら凛紗に話した。
「本当に私たち、何度君島に助けられるのかしらね」
「はい。君島さんは断るでしょうけど、やっぱり何か返してあげたいです」
凛紗は君島の言葉に痛がる顔を見せた。
「ええ。勝負にもなってなかったのよ」
彼は何か言いかけて口を閉じた。
「良いわよ。何を言ってもらっても」
「余計なことだとしても?」
「今更気にしなくて良いわよ」
「それなら……。幸恵さんと冴羅さんの話をしたことがあって。そこでたまに恐いと思う時があったと言っていて。今思えば冴羅さんの意識を幸恵さんは感じ取っていたんだと思う」
「そう。本当に敵わないわ。それともやっぱり分かりやすいのかしら?」
「それからもう一つ、言っていたことがあって……」
「何?」
「理想のお姉さん、と。凛紗さんのことが羨ましいとも」
「……ふふっ。何それ。幸恵も立派な姉じゃない」
「だからこそなんだろうね」
僅か、本当に僅かだけれど、幸恵に及ばないと思わせることができたのかしらね。
「冴羅ちゃん……」
か細い声だった凛紗の方を向くと、今にも泣き出しそうだった。
「何? 大丈夫?」
「生徒会は辞めるんですか? それだけじゃないです。今後どうするんですか!?」
「こんな個人的なことで辞めないわ。たとえ幸恵の方が相応しいとしても、副生徒会長になったのは私よ。それ以外も元通り……元って言っても難しいけれど、ありのままでいるわ」
「冴羅ちゃん……!」
そう言って抱き着いてきた。
「感極まり過ぎよ。ありがとう、君島。聴いてくれて」
言われた当人はまた驚いた顔を見せた。
「いや、感謝するのはこっちの方だよ。本心は分からずじまいになるとばかり思っていたし、赤の他人の僕に話すなんて覚悟の要ることだと思うから」
「そうね……」
頷く君島。
「けれどこんな話を真剣に聴いてくれるでしょ?」
「それは……もちろん」
「今のこと、幸恵にも話すわ。それで謝る」
「うん。……じゃあ、また何かあったら」「君島さん!」
君島は振り返ろうとして凛紗の呼び掛けに立ち止まった。
「一緒に心配してくれたりちゃんと冴羅ちゃんのことを見ていてくれたり、本当にありがとうございます!」
「大したことはできなかったけど、役に立てたなら良かった。戻るね。草壁リーダーに怒られちゃいそうなんで」
「ありがとう」「ありがとうございます」
私たちは頭を下げた。
君島を見送りながら凛紗に話した。
「本当に私たち、何度君島に助けられるのかしらね」
「はい。君島さんは断るでしょうけど、やっぱり何か返してあげたいです」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる