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第3章

3-42生徒会長の日暮れに ☆

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 文化祭一日目も終わりが近付いて来た。

 生徒会の現在の役割は二つ。
 一つは学校案内を兼ねたクイズラリーを催すこと。もう一つは落とし物や迷子などのトラブル対応に実行委員会と連携して当たること。
 基本はクイズラリーの景品受け渡しだ。西沖さんの案から着想を得た温泉一回無料券はなかなか好評のようだ。
 トラブルはそこまで多いわけでもなく、重大な場合は教員が対応するので気楽なものだ。

 私は現在生徒会室で待機しつつ、ぽつぽつとやってくるクイズラリーの回答者に対応していた。
 ……それなのになんで僕は肩肘張っているんだろう。こんなんだから迷子の子を怖がらせたりするんだ。すぐにその子を安心させた冴羅を見習いたい。

「はぁ……」
 無意識にため息を吐いていた。

 あれから、冴羅や凛紗のことを考えると落ち込む。今のはただ一人の人として彼女を捉えていただけ。頭ではそう分かっているのに、どこかで未練がましいと自身を攻めてしまう。

「宮国さん!」

「うわっ! ど、どう……」

 言いかけて咳払いした。危ない、素が出るところだった。

「どうかしたのか?」

「宮国さんのクラスで――」

 私は教室へ急ぐ。
 今は冴羅が二年四組にいるはずだ。対応できないとなると、いや……
「挑戦者様の勝利です。おめでとうございます。ポーカー最強の深町に対して五勝達成です……」
 勝てないとなると厄介だ。

 予め用意しておいた台詞は信じがたいと言わんばかりの読まれ方だった。呆気にとられる者、慌てる者、ただ笑うしかなくなった者。どうやら騒ぎが広まっていたようで他の組や学年の見物人もいた。
 相手は市内でも有名なヤンキーの類い。輪をかけて面倒だ。
 相手に一礼した冴羅は、私のところに来てまた頭を下げた。

「ごめんなさい。こんなことになってしまって」

 ここに来るまでに聴いた話によると、この挑戦者は最初に冴羅が五敗した場合、彼女がポーカー最強を名乗ること、ならびに二年四組の文化祭での活動の停止を求めたそうだ。

「どうして冴羅があんな厄介な客の要求を聞き入れたんだ?」
 この話を聴いて最初に浮かんだ疑問だった。

「……単に慢心ね。私は上手いことに過度の自信を持って、しかも一勝でもできればいいと思ってしまったのがいけなかったの。ほとんど運頼みのはずなのにね」
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