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第3章

3-28悩みの理由

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「そうだ、冴羅さんのこと伝えてなかったね」

「動画見ました。引き込まれました。特に冴羅ちゃんと宮国さんの戦いには。二人とも楽しそうで……どうして別府さんなんでしょう。前までの私はお互いの気持ちが分かるなんてよく言えたものです」
 最後はため息混じりだった。

「よ、よく分かりました」

「あ……すみません。君島さんから見てどうでしたか?」

「あの二人はあの関わり方が一番合っていると思うよ。遠ざけ合うんじゃなくて。冴羅さんがもし別府と、それかまた別の人といることにしても、そこは変えない方が良いって思った」

「あくまで友人として……そうでした。元々私たちでそう決めていたんです。でも難しくて、距離を置くことばかりを考えすぎていたのかもしれません。私はただ話さないようにするだけで良いですけど、凛紗ちゃんは悩んで当然ですよね」

「うん。でも、どう関われば良いのか考えていたというのは理由の一つでしかないと思う」

、ですか?」
 凛紗さんが顔をこちらに向けて訊く。

「その理由だけじゃ説明がつかない点があるように思えて。例えば別府との付き合いとか」

「それも距離を置くためにしたことじゃ……」

「付き合い始めたのはそうだと思う。でも……ちょっと言いづらいけど、一緒にいるところを見ると夏休み僕といた時の方がもう少し楽しそうだったというか」

「な、なるほど! でも確かに私も人との接し方が変わってきているような気がしていましたし……あと靴を履く時左足からになってたり返事が少し遅かったり作るお弁当の茶色さが減ってたりすることも」

「後の方の三つ凛紗さんも気付いてたんだ……。分からないけどもしかするとそういうのとか、宮国との関わり方、それ以外の人との接し方、色々なことの根幹になる理由があるように思う」

 僕が話し終わった後、凛紗さんはゆっくり僕から視線を外した。
「どんな理由なんでしょうね……。今の冴羅ちゃんを理解して、受け入れてあげたいですけど、前の冴羅ちゃんも私は好きなんですよね。少し冷たいところもあって、冗談が好きで、その冗談の後で安心させるように笑うところが」

 僕は思わず笑ってしまった。
「へ、変ですか?」

「ううん。僕が知っている冴羅さんだな~ってのと、それを思い起こさせる言葉を選べるほど好きなんだって思って。うん。今後も冴羅さんには気を配るよ」

「ありがとうございます!」
 凛紗さんは立ち止まって僕に向かって頭を下げた。
「それから……幸恵ちゃんも」

「もちろん」
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