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第3章
3-13答えははっきりと ☆
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「……それで凛紗」
草壁が後ろを向きかけて再度凛紗さんの方に戻った。
「なんですか?」
「副会長が付き合い始めたって本当?」
もう一度青ざめていった。
「凛紗さん? 大丈夫?」
「ご、ごめん」
「いえ……」
深呼吸して落ち着いた。
「大丈夫です」
「なら良いけど……」
その後凛紗さんは冴羅さんから付き合い始めたと言われたこと、しかし別府の話をそれ以上はしなかったと話してくれた。
「そんなことある? なんか変じゃない?」
「前までなら話してもらえないのも分かりますけど、今は……」
「ありがとう、教えてくれて。会って確かめてみる」
草壁はそう言って安心させるように微笑んだ。
◇
登校してきている人たちの間を縫って出ると、凛紗さんの言った通り、外に冴羅さんがいた。
「あら、二人揃ってどうしたの?」
表情も口調もいつもと変わらなかった。
「…………」
草壁がここに来て押し黙ってしまった。
「ちょっとごめん」
僕は草壁と後ろを向いて小声で訊いた。
「(どうかした?)」
「(いや、いざ本人を前にすると……)」
「(今更乱暴なことしようとしていることに気付いた?)」
「ごめんなさい二人とも、用がないなら行ってもいいかしら」
少し冷たさを感じさせる声に振り返ると、怪訝そうな顔でこちらを見ていた。やっぱりいつも通りだ。
例え乱暴でも、今ここで取り下げる方が失礼になりそうだ。僕がちゃんと聴いておきたいのもあるけど。
「最近なんだけど、別府と何かあった?」
「ああ。ええ、付き合うことにしたわ」
僕は様子を伺いながら訊くつもりだったのに、冴羅さんは自らはっきりと言い切った。
「あ……。本当……なんだ。そっか」
草壁は何か抜けていくのを抑えているみたいだった。
「さっき別府から聴いて、冴羅さんからも聴いておきたかったんだ」
隣を横目に見ると結局放心状態になっていた。
話を繋ごう……。
「あ~、その、別府もホラー映画に連れていくの?」
「どうかしら。考えていないわ」
「き……」
放心していると思っていた隣から声が聞こえた。
……「き」?
「君島がいながらそんなことするの!?」
「どういうこと!?」
「……美頼。君島との関係は演技で、しかも夏休みの間だけよ。理解してくれていると思っていたのだけれど」
冴羅さんは唖然としながらも優しく諭してくれた。
「そういうこと?」
何か否定したいけど宮国の名前を出すのも違うから、擬似的に付き合っていたことを咄嗟に引き合いに出したってことか。……僕の方がお似合いだったとか言いたいわけじゃないよね?
「あ……ごめん。そうだった。えっと……お幸せに」
草壁はひきつった笑顔で手を振りながら後ずさりして戻っていった。挙動不審も甚だしい。
「……まあ、何か困ったことがあったら言って」
冴羅さんにはそう告げた。
まずは戻ろう。草壁が心配だ。
そう思って歩き出したけど、追い着く前に立ち止まった。
違和感があった。
実際はこんなものなのかもしれない。
先入観のせいかもしれない。
僕は振り返った。
これまで通り副生徒会長として働く冴羅さんが、遠くに見えた。
草壁が後ろを向きかけて再度凛紗さんの方に戻った。
「なんですか?」
「副会長が付き合い始めたって本当?」
もう一度青ざめていった。
「凛紗さん? 大丈夫?」
「ご、ごめん」
「いえ……」
深呼吸して落ち着いた。
「大丈夫です」
「なら良いけど……」
その後凛紗さんは冴羅さんから付き合い始めたと言われたこと、しかし別府の話をそれ以上はしなかったと話してくれた。
「そんなことある? なんか変じゃない?」
「前までなら話してもらえないのも分かりますけど、今は……」
「ありがとう、教えてくれて。会って確かめてみる」
草壁はそう言って安心させるように微笑んだ。
◇
登校してきている人たちの間を縫って出ると、凛紗さんの言った通り、外に冴羅さんがいた。
「あら、二人揃ってどうしたの?」
表情も口調もいつもと変わらなかった。
「…………」
草壁がここに来て押し黙ってしまった。
「ちょっとごめん」
僕は草壁と後ろを向いて小声で訊いた。
「(どうかした?)」
「(いや、いざ本人を前にすると……)」
「(今更乱暴なことしようとしていることに気付いた?)」
「ごめんなさい二人とも、用がないなら行ってもいいかしら」
少し冷たさを感じさせる声に振り返ると、怪訝そうな顔でこちらを見ていた。やっぱりいつも通りだ。
例え乱暴でも、今ここで取り下げる方が失礼になりそうだ。僕がちゃんと聴いておきたいのもあるけど。
「最近なんだけど、別府と何かあった?」
「ああ。ええ、付き合うことにしたわ」
僕は様子を伺いながら訊くつもりだったのに、冴羅さんは自らはっきりと言い切った。
「あ……。本当……なんだ。そっか」
草壁は何か抜けていくのを抑えているみたいだった。
「さっき別府から聴いて、冴羅さんからも聴いておきたかったんだ」
隣を横目に見ると結局放心状態になっていた。
話を繋ごう……。
「あ~、その、別府もホラー映画に連れていくの?」
「どうかしら。考えていないわ」
「き……」
放心していると思っていた隣から声が聞こえた。
……「き」?
「君島がいながらそんなことするの!?」
「どういうこと!?」
「……美頼。君島との関係は演技で、しかも夏休みの間だけよ。理解してくれていると思っていたのだけれど」
冴羅さんは唖然としながらも優しく諭してくれた。
「そういうこと?」
何か否定したいけど宮国の名前を出すのも違うから、擬似的に付き合っていたことを咄嗟に引き合いに出したってことか。……僕の方がお似合いだったとか言いたいわけじゃないよね?
「あ……ごめん。そうだった。えっと……お幸せに」
草壁はひきつった笑顔で手を振りながら後ずさりして戻っていった。挙動不審も甚だしい。
「……まあ、何か困ったことがあったら言って」
冴羅さんにはそう告げた。
まずは戻ろう。草壁が心配だ。
そう思って歩き出したけど、追い着く前に立ち止まった。
違和感があった。
実際はこんなものなのかもしれない。
先入観のせいかもしれない。
僕は振り返った。
これまで通り副生徒会長として働く冴羅さんが、遠くに見えた。
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