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第3章

3-9危うい善意 ☆

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 昼休みになって探してみる。
 本当に五組から離れた所に冴羅さんがいた。
 そういえば「私も注意する」って言ってたけどそういうこと? 「五組を見たけれど」って周辺じゃなくて教室内?

 放課後は生徒会室周辺へ。
 今度は凛紗さんを見つけた。
 本気で心配や善意なんだろうな……。
 あと別府と宮国、疑ってごめんなさい。



 僕は撮影しておいた二人の写真を送った。
 見られてから随分とあって、電話がかかってきた。

「はい。君島です」

「深町冴羅です……」
「深町凛紗です……」

「本当にごめんなさい……」
「すみませんでした……。もう尾行なんてしません」
 交互に申し訳なさそうな声が聴こえた。

「善意とかだとは分かるけど、また同じことになりかねなかったと思う」

「そうね……。私たちは何度君島をこんなことに巻き込むのかしらね……」

「いや、前にも似たようなこと言ったけど、それでいいよ。焦らないでいいし、僕なら頼ってもらっていいから」

「ありがとうございます。でも、君島さんに助けてもらってばかりではいられません!」
「そうよね。頑張らないといけないわ! お礼もすべきね!」
「それが君島さんのためにもなりますよね!?」

「二人とも?」

「なにかしら?」「なんでしょう?」

「今既に危うかったよ」

「……難しいわね」
「そうですね……」

 僕のため、か……。
 二人に言おうかどうか迷っていたけど、伝えよう。

「二人の動向に気付いたのは、僕じゃないんだ」

「どういうこと?」

「気付いたのは宮国なんだ。僕は教えてもらって写真を撮っただけ」

「なら感じた視線は私たちがお互いに向けていたものだけでは……ないと言えなくても、こんなことをしている私が言う権利はないわね。ごめんなさい」

 冴羅さんは途中までは詰め寄るような言い方だった。僕に対してもそういうことはあったけど、今のはまるで宮国を相手にしている時のようだった。

「自分でも盗み見るようなことはしてないって言ってたよ」

「そうよね。しないわね」

 僕は震える程驚いた。よく理解している、そんな表現だけでは足りないと感じた。

「ありがとう、教えてくれて。それでも、君島が動いてくれたことも確かよ」

 電話を切ってしばらくの間、何も手に着かなかった。
 二人は今どんな心中でどんな表情でどんな会話を交わしているだろう。

 伝えない方が良かったのだろうか。
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