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第3章

3-5部長と副部長の撮影案

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 文化祭は十月第三週の土日、二日間開催される。それに向けた広報に僕たち映像部が関わる。
 その広報について、前回の会議で決まっていたことがあった。

 まずは動画内容。四種類あり、
 一つ目が既に夏休み前に公開している、開催予告。
 二つ目が駅からの順路や教室の配置などのアクセス案内。
 三つ目が実行委員会や各部・各組の準備中の様子。
 四つ目がコンセプトムービー。これは僕たち映像部や実行委員会、生徒会がスローガンに合わせて内容を考え撮影する動画だ。頭を悩ませるものの視聴者や来校者に好評を貰える象徴的な動画だ。

 次に公開時期。順路が開催一週間前、教室案内は雰囲気も伝えるために開催前日、準備の様子は開催二週間前から順次、コンセプトムービーは内容に合わせて、となった。

 そして二回目となる本日の会議はそのコンセプトムービーが議題の中心とされ、まずは個々に考えてそれを持ち寄るということになっていた。

「……何も思い付かなかったです……」

「え? そうなの? どうする?」

 会議直前になって僕は幸恵さんに正直に打ち明けた。
 言い訳になるけど考える時間はありませんでした……。

 前回ではスローガンも決まっていた。“湧謳舞心(ゆうおうまいしん)”。渋高生側がまっしぐらに楽しませ、参加した全員が自然と楽しくなるようにとの思いを込めたそうだ。……これ全部取っ替えちゃってるけど良いの? 元の熟語分からなくなってない?とか引っ掛かっていました。もうそんなことはどうでもいい。今は動画の案だ。

「どうしましょ……。幸恵さんは考えてあるんですね」

「うん。あ、二つも持ち合わせてないよ?」

「それで良いんです。本来一人一個なんだから」

 ……やっぱり、これしか。

「歌って踊る……」

 僕の意見で黒板に正の字が完成した。

「すみません。本当に思いつきませんでした……」

うたまいが入っていればこうなるのも当然だよな!」
 進行の別府は溌剌と言い放った。

 実はさっきからそのことで会議はざわついている。
(五人目か)(私も思いついてた)(これ確定?)(え、嫌だやりたくない)(俺は掌の上で踊らされているからいつも通りだな)
 風当たりは強そうだ。あと最後の奴なんなんです?

 続いて幸恵さんが指名された。

「湧くにかけて温泉作りなんてどうでしょう?」

 視線が集まった。主に男子の。
 見たいよね。良く分かるよ。
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