僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ

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第2章

2-51午後:会長、副会長 ☆

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 昼食後、僕は冴羅さんたちと、宮国は凛紗さんたちと行った。
 僕と冴羅さんは幸恵さんと油井から離れ、一緒にベンチに座った。

「はあ……午前中はごめんなさい。妹の様子はどうだったかしら」

「泳ぎが苦手と言ってはいましたけど、楽しそうでしたよ」

「……そう。午後からはより楽しいと良いわ」

「そうだね。……凛紗さんと宮国はどんな関係なの?」

 櫓に訊けば大方は分かるだろうけど、冴羅さんの口から聴いてみたくなった。

「元々は同じ中学校に通っていたのよ。でも一年の頃から知り合いというわけではなくて。三年になって私を含めて同じ組で席も近くになって、三人でよく話すようになったのよ」

「話すって、さっきみたいな?」

「あんな風になることなんてほとんどないわよ! 確かに少しはあったけれど……。まあ、でもだからこそかもしれないわね、私より妹の方と気兼ねなく話す仲になってくれたの。その上……」
 冴羅さんは言葉を途切れさせ、考え込み、意を決したように頷き、また話を続けた。

「君島には伝えるけれど、妹は体が弱くて保健室登校することもあったのよ。それを彼は出来る限り会いにいってくれて。妹も喜んでいたわ。そこまでしてくれる人なんてそうはいないのに、どうして否定するのかしらね」

「……冴羅さんは宮国のことをどう見ているの?」

「生徒会の会長よ」
 冴羅さんは迷いなく答えた。

「そのまんまですけど……」

「それは今結果としてそうなっているだけよ。自ら動いて、自ずと人が集まって、自然と先導して。中学三年の時、彼は学級委員で私は生徒会の書記だったけれど、その時の会長より相応しいと思ったものよ」

「そういうこと。もしかして直接伝えたりしたとか?」

「どうだったかしらね。向いているとは思うけれど、彼が会長になったことが本当にみんなのためになるとは限らないもの」

「宮国に何か気に入らないことでも?」

「確かにあるわね」

 その言葉を真剣に言ったと思ったら、すぐにいたずらっぽく笑った。
「なんてね。そういう個人的なことではなくて、私たちが生徒会としてできることを生徒会みんなで模索する必要があるという意味よ」

「冴羅さん、生徒会副会長ですね」

「そのままじゃない」

 二人して笑った。
 これまで関わりがあまり無かったから勝手に無愛想なのかと思っていた。
 もし文化祭で同じ目的の下で活動をしたとしても、これ程までにいろいろな表情を見ることができただろうか。
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