僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ

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第2章

2-49昼食前:店長と店員と常連

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「あ、いたいた。そろそろお昼にする?」
 卯月さんが近寄ってきて声を掛けてくれた。

「そうですね」

「あとミラちゃんたちだけなんだけど」

「多分向こうですよ」

「姉たちはもう呼んだのですか」

「うん。なんかすごい気迫で特訓してたね」

 草壁たちも合流し、六人で更衣室に向かう途中のこと。

「ソナくんとリサちゃん、良い感じなんじゃない?」

 この卯月さんの発言で、僕たちに緊張が走った。
 卯月さんに細かい事情は話していなかったこと忘れていた。

「(うん、俺たちにもそう見えた)」

「(深入りしてないか? 交際のふりだったと思ったが?)」

「(別に……うらやましいとかじゃないから)」

 事情を知っていても同じだった。一人微妙に方向違う気もしたけど。

「(やっぱり、そうなのかな……)」
 僕は萎れてそのぐらいしか返せなかった。

「ま、まあ? 店長は詳しく知らないだろうけど、私が倒れた時に助けてくれるぐらいにはあたしとも良い仲だけどね?」

「――あ……そうなんですね」

 凛紗さんは呆気に取られていた。よくあることかのように例を挙げてくれるのは今すごくありがたいけど何勝ち誇ったような顔しているんです?

「そうそう。勉強でもそれ以外でも色々と助けてもらってるんだから!」

 途端に凛紗さんの顔つきが明るくなっていった。

「そうなんですね。私もです。短い間ながらも色々と教えてもらったり助けてもらったりしていて。とても優しいです」

 草壁が今度は涙目で僕を見た。あと男二人からめちゃくちゃ睨まれた。

「あ~、そっか。トモちゃんにも優しいもんね。リサちゃん……とミラちゃんに限ったことじゃなかったね」

 卯月さんが草壁の眼力に圧された……。
 卯月さんは突然出てきたトモちゃん(櫓智香)について凛紗さんに軽く説明していた。

 その間に、僕は刺すような視線を感じた。
 新城でも木庭でもない。
 後ろを見ても……誰もいなかった。

「どうした? 遂に他人からもガン飛ばされるようになった?」

「そこまで? いやでも誰もいなかったし気のせいだよ」

けられてんのか?」

「え? 私はここにいますよ?」

「尾行と言えばだけどもういいって」



 レストランに着いた。ここではカレーやラーメンなどの食事や、ポテトやからあげなどの軽食が頼めるようだ。価格も手頃で、映画のチケットを二回買ったりとかここの入館料も払ったりとか細かい出費のあった身には助かる。

 問題は、ここでの席位置は考えていなかったこと。
 お互い気を遣いつつ席を選んだ結果……丸型のテーブルを囲う三脚に、僕は宮国、新城と合い席した。僕の正面と右手とに先ほどのグループと大体同じ顔触れで別れた。卯月さんは一脚追加してリュヌの人たちで揃っている。そして僕たちの席から深町姉妹は一番遠くにされている。
 良い配置だと思う。丸一日考える必要はなかった。
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