僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ

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第2章

2-46到着後:女子たちの合流 ☆

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「どう? ソナくん」
 そう言って卯月さんが見せつけたのは白のビキニだった。小柄だから大胆さが際立つ、とは思ったがパレオを巻いて落ち着いた感じもあるのが卯月さんらしい。

 それにしても……
「本当に大学生の子がいる女性ですか……?」

「えー? へへへ~」

「旦那さんにも写真で見せてあげたら良いと思いますよ」

「うん! そうする!」

「……あたしには何も無いわけ?」

 そう木庭に文句を言う草壁は、首の後ろで紐を引く形状の水着……無いわけじゃないのに持ち上げているのが良いと思いました。木庭! 本当なんか言ってやれよ!

「いや、一緒に買いに行ったから今更……」
 そこまで言ったが、ちゃんと見て、口をもごもごさせて目を逸らしていた。やっぱり何も言わなくていいや。

 そして、そもそも大きい西沖さんは、フレアタイプの水着を突っ張らせていた。

「ゆったり揺れる感じが君には似合うな」
 油井はそんな感想を伝えていた。

 何がだ。

「いいよね。お店入ってすぐ目に着いたんだよね~」

「なるほど。飲食店とかも外したことがないのだろうな」

「うん。最初周りに止められるけど」

 相変わらずのこの二人らしい会話だ……。

「私は……どう? 変じゃないかしら」

 僕と宮国の前に出て冴羅さんが見せた。首元まであるような水着だ。相変わらず大人っぽい。
 しかし、すぐ近くに凛紗さんがいる中、どう反応すればいいんだ?

「ああ、綺麗だ。いつもとはまた違って」
 そんなこと堂々と言い放つなんてさっきまでとはえらい違いだ。

「かっこいいぐらいだよ」
 ……我ながらなんて間抜けな感想だ。

「……それは少し威圧的ということかしら」

 しかも心配させてしまった。

「そうじゃなくて……」
 よく見て、よく考えろ!
「その、上手く活かしているってこと。下手に全部抑え込むより良いよ」

 冴羅さんは不安が晴れ、微笑んでくれた。
「ふふっ。ありがとう。凛紗、行きましょうか」

「あ、はい」

 あ、凛紗さんのことまだ見てない……と思って窺ったけど、本人は特に気にしていないらしかった。良かった。
 その凛紗さんの水着は、お腹が露になったタンクトップ型だ。……ハーフパンツでも脚を出し過ぎたと言っていたのに?

「凛紗さん。今日は泳ぎやすいのを選んだんですか」
 気になって、呼び止めて訊いた。

「あ、その、実はスクール水着を持って来たのですが、えっと……合わなくて、今買ったんです」

 別に太ってはいないいないけど?と思っていると、凛紗さんが腹部を隠すように抱えたことで、合わなくなったであろうそれに気付いた。

「大きいですよね」

 大きい。幸恵さんほどではないけど、確かに大きい部類だ。これまで全然気付かなかった。着痩せするってこと?
 そんな僕が見ている様子を凛紗さんに見られていた。

「あ、ごめ……」「変な気」「起こさないよ!?」
 その目をよく見るとどこか物欲しげで慌てた。

「みんなで買ったんだ?」
 後ろから宮国の声がした。

「はい!」

「良かった。素敵なのがあって」

「あ……はい。みなさん選ぶのが上手なおかげです」

「凛紗、私たちと一緒に来ない?」
 凛紗さんが話し終わってから草壁が声をかけた。

「え? でも姉が……」

「大丈夫。今話してきたところ」
 向こうでは幸恵さんと油井が冴羅さんと話していた。

「それなら、お願いします」

 図らずも、作戦の第一段階を完了していた。

 ところで。
「すごく……良かった」
 宮国は左胸を押さえながらそう呟いていた。
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