僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ

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第2章

2-30怖がる人と憧れる人

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 やっぱり凛紗さんと宮国との関係は冴羅さんの勘違いで、夏休みに会うような関係ですら無いってことか。

「今度プールで二人が一緒にいるところが見られるのよね。楽しみだわ」

 それが凛紗さんが宮国に会う現状唯一の予定なのだろう。

「プールの話は櫓から聴いたんだよね? 面識あったの?」

「ええ、まあ。声は掛けられたことがあるわ。噂は聴いていたから断ったけれど。だからどうして誘われたのか分からないのよね」

「僕が相談したからかな……」
 冴羅さんは横目に僕を睨み付けた。
「どうして?」
 その声色も冷たくなっていた。

「いや、あまりのことだったので」

「親しい間柄なのかしら」

「中学が同じで……すみません」

 謝罪を聴いてなのか、冴羅さんは何かに気付いたような表情を見せ、下を向いて肩を落とした。
「また問い詰めてしまったわね……」

「えっ?」

「ごめんなさい。せっかく遊びに行くのだから楽しくしようと思っていたのに。顔が怖いってよく言われるけれど、自覚は無いからどうすれば良いのか分からないの……」

「今は怒ってなかったの?」

「ただ質問しただけよ」

「それはすみません」

「もう謝らないでほしいわ……」

 ふと、幸恵さんが話していた冴羅さんのことを思い出す。

「じゃあ本当に幸恵さんは見抜いてたんだ」

「幸恵?」

「この間話したら冴羅さんを怖いと思うことはほとんど無いって言ってたよ」

「そうなの? まあ、そうかもしれないわね」

「幸恵さんに見抜けるなら僕に……は無理そうです……」

「期待してしまったじゃない……。そう思うのも分かるけれど」

「努力はしてみます!」

「人を見る目があるというか、鑑識眼があるというか。それで人を惹き付けて。憧れるわよね」

 どう答えれば良いか分からなかった。素直に言って良いのだろうか。
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