僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ

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第2章

2-27作戦会議

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「え?」
 四人の声が重なった。

「お店お休みにするんですか?」

「うん。たまにはそんなのもいいかな~って」

「良いと思います! 一緒に行きたいです!」

「櫓、結構前から計画してた?」

「まあ、な」

 僕の問いかけに意味ありげな目を配った。どうやら僕のためだったらしい。

「私が声を掛けたのはここにいる五人と、西沖、油井、深町姉妹と宮国だ」

「え? それってもしかして……」

 何も言わずに新城と木庭も櫓に目を向けた。

「君島の夏休みのことはある程度知っている。だからこの機会を君たちの目的のためにも活かしてもらえればと思ってね」

 ?という顔を向けたら脇腹をどつかれた。強いよ……。

「ええ!? なんで!? 君島が言ったの!?」

「い、いや」

 先に櫓に話したとは言いづらいし、そこから今までは本当に話していないし……。

「すげぇな。情報屋って呼ばれるだけあるな」
 全く新城の言う通りだ。

「いやそれもそうだが。なあ。宮国を呼ぶってことはそいつが姉妹の言うくだんの相手ってことだよな?」

 訊かれた櫓はなぜか固まった。
「(ビジネスチャンス……)」

 小声でそんな言葉が聞こえて、顔を覗き込むと勢いよく足を踏まれた。痛いよ……。

「そうだ。君島は何も聞かなかったのか?」

「う、うん。うまく誤魔化されてたからね……ははは」

 最後に日取りとトークグループ――参加者全員が使う表向きと僕の事情を知る内実の二種類。いずれにも櫓は不参加。――が伝えられて、櫓は帰った。

 残った僕らは注文の品が届いた後、引き続き作戦会議となった。

「なんかノリで決めちゃったけど、よく考えなくても一緒に行ったらバレるんじゃね?」

「いつかは明かすんだろ? そのいつかがその日じゃ駄目か?」

「そうなったらなったでもいいけど、良い機会だから宮国と冴羅さん、宮国と凛紗さんとでいる状態にしたいと思う。そうなると冴羅さんと凛紗さんには出来る限り離れてもらって、僕と宮国が入れ換わるようになるからバレないと思ってたんだけど」

「俺それ全っ然うまくいく気がしねぇけど?」

「大丈夫だよ。だってあたしたちは六人いるんだもん」

「大丈夫と言える根拠になっていないが、知恵を寄せ合うしか無いのは確かだな」

「あれ? 二人ともその宮国くんと会話しているところを見て良い感じって思ったんじゃなかったっけ。じゃあ君島に対してもそう思わせることにならない?」

「見事に掌の返すじゃん……。でもその通りなんだよね。だからその日を乗り越えたとしても次会った時はさすが厳しいと思ってる。なんなら帰りの車ですらどうなるか……」

「プールの次なら……」
 新城が考えながら発言する。
「お祭りとかか? さっき聴いた日より後だし、絶対行くことになるだろうし」

「バラす状況も決まったな。……修羅場だろうな。覚悟しとけよ」

 木庭が冷や汗をかかせるようなことを言う。

「卯月さんに許可が取れればだが、話し合うならここが良い。当日は屋体を出すからこのホールは無人になる」

「分かった。僕から相談してみるよ。……ここまで順調に決まるとは思ってもみなかったよ。付き合わせて申し訳ないけど、本当に助かるよ。ありがとう」
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