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第2章

2-17大切だと思える人たち ☆

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「幸恵、このどっちかの日にしようかと思うんだけど」

「ん? うん。分かった。いつでも大丈夫って言ってたけど二人に訊いてみるね」

 お父さんは既に二人を家に呼ぶ日取りを決めていた。
 お母さんは既にそわそわしていた。

「あの……本当に呼ぶの?」

「うん。なんで?」

「いや~、まあ、男の子一人ならまだ分かるよ。二人も呼んじゃうのかな~って」

「ん? 予算のこと? それはもうお父さん自らお小遣いを切ります」

「それは……助かるけど。どうしたの?」

 私はお母さんを手招きしながら近寄って、耳を貸してもらった。

「(その……ね、今は二人のこと、大切だから。だからこそ、私の家族のこと知ってほしくて)」
 言葉を選びながら言ったけど……恥ずかしい。

「そっかあ~! じゃあまた来てもらえるように頑張ってもらいたいね!」

「え? あ、はい。頑張ります」

 お母さんは二人に言ったんだと思うよ、お父さん。お母さんも気が早いよね。
 でも、奏向くんがそのために来ることは無いかな。
 私たちの部屋に入って、昨日の協議の時のことを思い出す。

 冴羅ちゃんが今までに見たことの無い様子だった。老若男女問わず、時に優しく時に厳しい態度を取るところしか見たことが無かったのに。何度考えても、あれはやっぱり。
 素敵だと思う。いつもは冴羅ちゃんが引っ張るけど、ふとした時に立ち止まったら奏向くんが背中を押す、そんな関係になりそうで。
 でも、二人は面と向かって喋ることも、私に話すこともなかった。おおっぴらにしてほしいわけじゃないけど、何か引っ掛かるものを感じて……。
 訊いてもいいのか分からない。私はずれているから。今ある関係に水を差して、酷ければ壊してしまうかもしれない。それなら、何もしないで話してくれるまで待った方がいい。

 ――思い詰めたりとか負担をかけたくなくて、どういう風に相談するか、それともしないか考えたんだよね――
 福成くんの言葉を思い出す。
 私に相談すれば進路を決める糸口を掴めるかもしれない、なんて頼ってくれていた。
 でも、それもまた私のずれのせいなのか、二の足を踏ませてもいた。
 結局奏向くんが間を取り持ってくれなければ、福成くんは悩んだまま、私も違和感をそのままにしていたと思う。

 だからといって今度は福成くんに相談すれば良いわけではないと思う。
 もし冴羅ちゃんと奏向くんが何か抱えているなら、そして私が力になれるなら。

 できることは?
 ……そうだ。話を聴きたいという意思を私から示すのは? そうすれば、ただ何もしないより話しやすいんじゃないかな。

 ………………。
 なんだろう。
 何か忘れている気がする。
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