僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ

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第1章

1-49体育祭の下見

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 今日の部活は機材設置箇所の下見だ。

「去年と同じなんだよね」

「うん。一年のみんなで設置したり実行委員会の人に訊かれても説明したりできるようにしてほしいんだ。よろしくね!」

「この紙、見ながらでもいいですよね?」

 一年の内一人、飯塚さんが部員全員に配られた紙を掲げて訊いた。

「もちろん。分かりづらくない?」

「いやいや! 分かり易すぎてこれからの下見いらないぐらいです!」

「良かった~。作り直した甲斐あったよ」

 やっぱり幸恵さんは頼りになるな~と思っていた僕に幸恵さんが目を向けてきた。

「下見いらないって。帰る?」

「いや見て回りましょうよ。放課後の設置箇所の様子知っておいた方がいいですって」

 頼りになるけど突拍子のないことを言う、それが幸恵さん。
 まず向かったのは校庭競技用のカメラ配置個所のうち、校庭ではなく二年の教室が並ぶ三階。

「ここから撮影なんですね」

「よくテレビの中継である俯瞰視点の映像が撮れるんだよ」

「倍率は前から使われているものにすればいいんだけど、ぼやけないようにするのが結構大変だから気を付けてね」

「あと、落とさないようにね。これ高いから……」

「大丈夫だと思いますよ!? 窓に括り付けるんじゃなくて三脚で立てて設置しますから!」

 みんなちょっと怯えちゃったじゃないですか……。
 もちろん校庭からも撮影を行う。

「得点の瞬間を撮らなきゃなんですよね?」

「まあ、できる限りで良いから」

「サッカーは走るんですよね!?」

「うん、できる限りボールに食いついて欲しい……」

「あとボール当てられたり突進されたりしないでね。壊れかねないから……」

「やっぱりその心配なんですか!? でもそれに関してもできる限り避けてとしか言いようがないんですけどね!……大丈夫。そうそう無いから」

 やはりみんなを怯えさせてしまった……。

「お、体育祭の撮影部隊か?」
 テニスコートから新城の声。

「ああ、どうも」

「二年の撮影は誰が担当?」

「実行委員の人もいるけど、映像部からは一年の三人だよ」

「そうか、じゃあ当日よろしくね」

「あっ、はいっ!」「お願いしますっ!」「任せてください!」

 急に元気だねぇ。この人本当人気だわ。
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