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第1章
1-47キャベツと体育祭の予定
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「今から部活かな?」
後ろから呼びかける油井を振り返った。油井からは不意に声をかけられることがよくあった。
「うん。今週来週と毎日活動するよ」
「もう体育祭か」
「上級生は二人しかいないから結構大変で」
「二対三だったな? 大丈夫。一人に半身かければ足りる」
励ましが独特だ。
あれから少し経ったから幸恵さんとどうなのか確かめたいけど、見る限りいつも通りだし、野暮とも思うし……。
そんなこんなで僕たちはコンピューター室の前まで来ていた。先に来ていた幸恵さんが僕たちに気付く。
「あ、来た来た。ちょっと調理室に来てもらっていいかな? 福成くんも来る?」
僕たちが調理室に着くと幸恵さんが鍵を開け、冷蔵庫へと向かった。冷蔵庫なり特別教室なりは許可さえ取れれば使わせてもらえるし、その許可も簡単に取れる。自由というか柔軟な校風だ。とんでもないもの入れられたりしないのだろか。
入っていた。
とんでもない、量が。
野菜室に詰め込まれたキャベツがそこにあった。
「これこの間言ったキャベツなんだけど」
「あれ、一玉二玉って言ってなかったっけ?」
僕は数に圧倒されて苦笑いしながら訊いた。
「うん、今日、いっぱい持たされてね……」
幸恵さんもすっごい苦笑いだった。気使ってくれただけじゃなかったんですね。
「これは不良か」
その一つを回し見ていた油井が訊く。
「そうそう。農家の親戚から送ってもらったものなんだよね。もったいないからね。でも今年は特に多くて」
「なるほど。じゃ、一つ貰おうかな」
「うん。ぜひ持ってって」
「一つと言わず二つ三つ……」
油井は真顔で僕を見た。
体育祭は今週木曜日が開催予定日で、金曜日が予備日となっている。それに対し映像部は流動する可能性がある予定に対して臨機応変に撮影を行い、試験期間を挟んだ翌々週金曜日の昼休憩に各教室のテレビで放映することになっている。そのために先月から実行委員会との協議を行ってきた。
今日の活動としては委員会や映像部などが集まっての最終打ち合わせだ。明後日の天気は曇りのち雨、降水確率五〇%。いつものことで、許される限り校庭競技を行う予定だ。
部内での確認はそこそこに解散したのち、幸恵さんが僕を手招きした。
「前からちょっと思ってたんだけど、福成くん、私に合う度にどこか悩んでる感じがしてて」
「え、さっきも?」
「うん。でもあんな感じが普通なのかな」
「一応訊いてみるよ。ありがとう、教えてくれて」
僕の返答を聴いて幸恵さんは安堵していた。先日までの草壁のことが頭を過ぎる。そこまででなくても、こんなに思ってくれる幸恵さんに対して油井に何か懸念があるなら、早めに取り除きたいところだ。
後ろから呼びかける油井を振り返った。油井からは不意に声をかけられることがよくあった。
「うん。今週来週と毎日活動するよ」
「もう体育祭か」
「上級生は二人しかいないから結構大変で」
「二対三だったな? 大丈夫。一人に半身かければ足りる」
励ましが独特だ。
あれから少し経ったから幸恵さんとどうなのか確かめたいけど、見る限りいつも通りだし、野暮とも思うし……。
そんなこんなで僕たちはコンピューター室の前まで来ていた。先に来ていた幸恵さんが僕たちに気付く。
「あ、来た来た。ちょっと調理室に来てもらっていいかな? 福成くんも来る?」
僕たちが調理室に着くと幸恵さんが鍵を開け、冷蔵庫へと向かった。冷蔵庫なり特別教室なりは許可さえ取れれば使わせてもらえるし、その許可も簡単に取れる。自由というか柔軟な校風だ。とんでもないもの入れられたりしないのだろか。
入っていた。
とんでもない、量が。
野菜室に詰め込まれたキャベツがそこにあった。
「これこの間言ったキャベツなんだけど」
「あれ、一玉二玉って言ってなかったっけ?」
僕は数に圧倒されて苦笑いしながら訊いた。
「うん、今日、いっぱい持たされてね……」
幸恵さんもすっごい苦笑いだった。気使ってくれただけじゃなかったんですね。
「これは不良か」
その一つを回し見ていた油井が訊く。
「そうそう。農家の親戚から送ってもらったものなんだよね。もったいないからね。でも今年は特に多くて」
「なるほど。じゃ、一つ貰おうかな」
「うん。ぜひ持ってって」
「一つと言わず二つ三つ……」
油井は真顔で僕を見た。
体育祭は今週木曜日が開催予定日で、金曜日が予備日となっている。それに対し映像部は流動する可能性がある予定に対して臨機応変に撮影を行い、試験期間を挟んだ翌々週金曜日の昼休憩に各教室のテレビで放映することになっている。そのために先月から実行委員会との協議を行ってきた。
今日の活動としては委員会や映像部などが集まっての最終打ち合わせだ。明後日の天気は曇りのち雨、降水確率五〇%。いつものことで、許される限り校庭競技を行う予定だ。
部内での確認はそこそこに解散したのち、幸恵さんが僕を手招きした。
「前からちょっと思ってたんだけど、福成くん、私に合う度にどこか悩んでる感じがしてて」
「え、さっきも?」
「うん。でもあんな感じが普通なのかな」
「一応訊いてみるよ。ありがとう、教えてくれて」
僕の返答を聴いて幸恵さんは安堵していた。先日までの草壁のことが頭を過ぎる。そこまででなくても、こんなに思ってくれる幸恵さんに対して油井に何か懸念があるなら、早めに取り除きたいところだ。
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