27 / 204
第1章
1-27独特な人と大家族の長女
しおりを挟む
去年の文化祭で宣伝するためSNSに投稿する動画撮影した時、僕は油井を深く知った。
美術部の油井は作成過程を撮影する僕たちの日程や見映えなどを考慮しつつ、不足なく作品を制作した。この撮影はまず嫌がられると部活の先輩には言われていたけど、油井は進んで協力してくれたのはとても助かった。
この時は幸恵さんと手分けして撮影したから、幸恵さんと油井とでお互いをあまり知らないはず。
教室に入る前の油井に話しかけることができた。今回は新城の時と違って個人的なことは言う必要もないから、場所を移すことなく話を切り出した。
「今週の土曜日に今遊園地でやってる脱出ゲームに行けないかと思って」
「また唐突だね。いいよ」
幸恵さん同様の即答だ。
「唐突なのにいいのね」
「何時集合?」
「十時頃に現地に着きたいんだけど、いいかな」
「分かった。じゃあよろしく」
それだけ言って教室の中へと入る――ところを僕は肩を掴んで止めた。
「いやもうちょっと色々聴かなくていいの!?」
幸恵さんでも話は聴いてくれたよ!?
「何か必要なものでもあるのかな?」
「確かに。特に無……いや料金はいらないってことぐらいは覚えておいて? 飲食は別だけど」
危ない。“必要なもの”ではないからその通りだと思いかけてた。
「気を遣わなくても良い。そのくらい払う」
幾らかかっても行くつもりだったから訊かなかったってことね……。
「いや、家族で行けなくなって余ったものだから」
「そうか。ならありがたく」
こちらを向いて頭を下げ、去ろうとする――ところをまた僕は止める。
「誰と行くとかはいいの!?」
「君島と君島が誘う人だろう。なら問題無い」
美術部の油井は作成過程を撮影する僕たちの日程や見映えなどを考慮しつつ、不足なく作品を制作した。この撮影はまず嫌がられると部活の先輩には言われていたけど、油井は進んで協力してくれたのはとても助かった。
この時は幸恵さんと手分けして撮影したから、幸恵さんと油井とでお互いをあまり知らないはず。
教室に入る前の油井に話しかけることができた。今回は新城の時と違って個人的なことは言う必要もないから、場所を移すことなく話を切り出した。
「今週の土曜日に今遊園地でやってる脱出ゲームに行けないかと思って」
「また唐突だね。いいよ」
幸恵さん同様の即答だ。
「唐突なのにいいのね」
「何時集合?」
「十時頃に現地に着きたいんだけど、いいかな」
「分かった。じゃあよろしく」
それだけ言って教室の中へと入る――ところを僕は肩を掴んで止めた。
「いやもうちょっと色々聴かなくていいの!?」
幸恵さんでも話は聴いてくれたよ!?
「何か必要なものでもあるのかな?」
「確かに。特に無……いや料金はいらないってことぐらいは覚えておいて? 飲食は別だけど」
危ない。“必要なもの”ではないからその通りだと思いかけてた。
「気を遣わなくても良い。そのくらい払う」
幾らかかっても行くつもりだったから訊かなかったってことね……。
「いや、家族で行けなくなって余ったものだから」
「そうか。ならありがたく」
こちらを向いて頭を下げ、去ろうとする――ところをまた僕は止める。
「誰と行くとかはいいの!?」
「君島と君島が誘う人だろう。なら問題無い」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる