僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ

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第1章

1-13女子の部員と親しくなった時のこと

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「幸恵さんと知り合ったのは同じように去年、映像部に入ったときだね」

 入部したてのころは必要最低限の会話のみ。つまり草壁よりは話していたことになるかな。
 でもある日、子ども園で偶然会ったことがきっかけになったのかもしれない。家族のこととか、今日あったこととか、お互いのことを話すようになった。『幸恵さん』と呼ぶようになったのも会話するようになって名前で呼んでほしいと言われたからだ。

 先輩が抜けて会話も増えたと思う。おかげで幸恵さんがどんな人かが分かるようにはなった。
 子ども園まで一緒に行くようなって、自然と妹さんとも仲良くなっていってるよ。

「何で知り合ったかもはっきりしてるし、あまり代わり映えのない過ごし方してきてるから、取り立てて話すことはないね」

「その子ども園であったとき何があったんだ?」

「え、そのこと? いや、ほとんど覚えてないし、覚えていることが櫓の興味を引くようなこととは思えないし」

「覚えていることでもいいから話せ」
 櫓は睨みを効かせた。
「はいすみません説明いたします」

 確か帰り道で僕の先を幸恵さんが歩いていたんだ。やがて入っていったのが子ども園だった。
 僕は子ども園の門の前に差し掛かって、なんとなく子ども園の方を見たら幸恵さんとばっちり目が合ってしまった。
 それで幸恵さんから声をかけられた。
 僕は気まずさと同時に驚きも感じた。幸恵さんは僕と関わり合いになりたくないと思っていたものだから。
 僕と幸恵さんは初めて世間話のようなことを一言二言話した。僕は面白みもないことを言っていたと思う。

 そこで、幸恵さんと手を繋いでいた女の子――幸恵さんの妹さんがぼーっとしているのに気付いた。
 僕は妹さんに目線を合わせるためにしゃがんだ。

「今お姉さんと同じ高校に通ってる、君島って言います。ごめんね、お姉さんと一緒のところ邪魔しちゃって。これで帰るから」

 相変わらずぼーっと僕を見ていた。

「なんだこいつって思ってただろうな~。それであとは別れただけだけど」

「そうか。君と彼女たちのことは分かった。まあ、どちらの話も役に立ちそうに無いな」

「話し損ですよ……。でも考えていただけるんですか」

「ああ。できれば君に考えてもらいたいところだが全く期待できないからな」

「それは……すみません」
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