僕(じゃない人)が幸せにします。

暇魷フミユキ

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第1章

1-11結局のところ ☆

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「モン……そう? 全然どんなのか知らないけど?」

「君島なら調べることぐらい簡単でしょ」

「なんでそんなこと調べなくちゃ……あれ、そもそもなんでそんな賞取ろうとしてるんだろう……」

「うちは……君島が金賞勝ち取れると思って」

「勝ち取る? それって競争するものなの? まず僕は何と戦っているんだろう? 何のために戦うの?」
 大混乱。

「だからモ……なんか違う気がする。あれ、なんだっけ? うちも分からなくなってきた」
 草壁も混乱している!

「あの、ごめん。なんか訳分かんないこと言ってた。だがら勝ちとか賞とかいいから!」

「もう戦わなくていいんだ……いやなんの話? なんなの唐突のモンドセレクション」

「ぷっ……あははっ!」
 草壁は込み上げるように笑い出した。まさに破顔って感じだ。

 ちなみに後で分かったのが、モンドセレクションは競争するものでは無いらしい。あと金賞は上から二番目である。僕結局調べてるね。
 ちょっとは落ち着いたところで話題を戻す。

「『僕が』とかでも『勝とう』とかでもないんだって。完璧な人が良いのか、それとも何か一つでも満たしていればいいのかってことを草壁に訊きたかったんだよ」

「なんでうちに?」

「その、一意見として」

「ふ~ん……」
 草壁はなんの気も無さそうに聞き流した。それでいて、どこか残念に思っていそうだった。

「えっと、どういうところが良いなって思うかってこと?」

「そうそう」

 僕の返答を聴いて、唸りながら黒板の方を向いた。
 それから、草壁は小さく囁いた。

「別に……困ったときに助けてくれる、とか」

 顔は前を向いているくせに、瞳はちゃんとこっちを向いていて。耳も頬も今まで見たことがないくらい真っ赤で。
 僕は戸惑うとともに、改めて思った。
 こんな草壁だからこそ、しっかり、幸せになれると思える人と一緒にいてほしい、と。
 しばらく黙って見るだけになってしまった僕は、何とか次の言葉をひねり出そうとした。
 でも、それを妨げるように草壁は続けた。

「それから! 当然見た目もかっこいい方がいい!」

 やっぱり勝つ術は無かった。

「結局完璧?」

「当然でしょ!?」

「一応訊くけど、どんな見た目がよろしいのでしょうか?」

「その……新城くんみたいな人! なんでそこに座ってるのが新城くんじゃないんだろってずっと思ってるんだから!」
 僕の席を指差しながら言う。

「あ……分かりました」

 かくして草壁の好みを知ることができた。
 新城、あったよ、次。
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