冷酷魔法騎士と見習い学士

枝浬菰

文字の大きさ
上 下
57 / 90
ドゥーラ王国

競技大会~剣術大会④~

しおりを挟む
「って言ってほしいか?」
「は?」

すっと立ち上がった俺はアオの困惑した表情を見ていた。

会場もどよめきが隠せない。

「トリックは簡単だな、試合前に俺に触れ呪いをその人形にかける、そして火の玉魔法で気を紛らわせておいて呪いが完成したかのように思わせる、そうだろ?」

「ぐっお前いったい何者だ?」
「通りすがりの魔法国出身のものですとでも今は言っておこうか」

「は?」

「アオ先輩魔法ではなく剣で戦いましょうよ」
剣を構え煽る。

「いいだろ、俺は貴族騎士の子息だぞ」
「はい、ぜひ手合わせ願いたいです」
とさらに涼しげな表情で言う。

「少し黙らせようか」

シュっと走りこちらに向かってきた。
ガキーンと剣が重なる音が響いた。

〈おおっと!! これは剣術大会らしい!!〉

「いい構えだな」
「どうも」

「俺を怒らせたこと後悔させてやるからな!!」
「はい」

----------------------------
ドコドコドコドコ
土が盛り上がる音が聞こえる。
----------------------------
王室

「あの剣術捌きまるでルイス様を見ているようだな」
「たしかに、しなやかで美しい」

「でもまぁまさかドゥーラ王国にいらっしゃるわけないな」
「ハハハっ」
----------------------------
なんだこやついくら打ち込んでもビクともしない、腕力だけでここまでなるのに一体どれくらいの時間が必要なんだ?

シルヴィーの目の色は黒いたって普通の魔力を秘めている、でもアルゴ様に魔力の鍛え方を教えていたということは瞳以外になにか解決策があるということか?

「おいよそ見してていいのか?」
ゾクっと思った瞬間俺は後ろに投げ飛ばされていた。

、こいつには、と誰かの声が聞こえる。
大けがをする前に棄権をしたほうがいいのではないか

「き……棄権します」と手をあげた。

会場がどよめく中
「逃げるのか?」

逃げる? そうだ俺はこいつからこの場所から

「あきれたそれでも魔法学院の生徒会長か、見損なう生徒も多いんじゃないか?」

「……お前に何がわかる」
「わかりますよ、俺も似たような立場だったので」
「は?」

「強い相手を求めるのと裏腹に周りは弱いものが多いそんな時の自分の心境はつらい」
「うっ」
なんでそんなこと知って、もしかして魔法国の学院でもシルヴィーは成績優秀者だったのか?


〈えっと、アオは棄権するのかな?〉
「いえ、間違えました」

〈よかった、試合続行してください〉

俺は立ち上がりシルヴィーに向き合う。
そうだ、俺が求めていた者、やっと強者に巡り合えた。

なのに俺は自ら逃げようとしていた。
そんなの絶対に後で後悔する。


剣を構え一息つく。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

赤き翼の万能屋―万能少女と出来損ない死霊術師の共同生活―

文海マヤ
ファンタジー
「代わりのない物なんてない。この世は代替品と上位互換に溢れてる」  万能屋。  猫探しから家の掃除や店番、果ては護衛や汚れ仕事まで、あらゆるものの代わりとなることを生業とするもの。  そして、その中でも最強と名高い一人――万能屋【赤翼】リタ・ランプシェード。  生家を焼かれた死霊術師、ジェイ・スペクターは、そんな彼女の下を訪ね、こう依頼する。 「今月いっぱい――陸の月が終わるまででいいんだ。僕のことを、守ってはくれないだろうか」 そうして始まる、二人の奇妙な共同生活。 出来損ないの死霊術師と最強の万能屋が繰り広げる、本格ファンタジー。 なろうに先行投稿中。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

世界中にダンジョンが出来た。何故か俺の部屋にも出来た。

阿吽
ファンタジー
 クリスマスの夜……それは突然出現した。世界中あらゆる観光地に『扉』が現れる。それは荘厳で魅惑的で威圧的で……様々な恩恵を齎したそれは、かのファンタジー要素に欠かせない【ダンジョン】であった! ※カクヨムにて先行投稿中

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...