予約がとれない男娼

枝浬菰

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柚は冷めてる

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赤面して今日すごくよかったと安堵していると部屋がノックされ1人の男が入ってきた。

「はぁはぁ……柚くん……はぁはぁ……見つけた」
!?

え、どうして今日は無しになったんじゃないの??


男はゆらりと近づいてきて襲ってきた。
「ひっ!!?」

いきなり挿入して激しく抱く。

「やっ」

「嫌じゃないだろ!!」
ぐっと首に力をこめた。

「うっ」
器用に出し入れもしてくるし……息が……。
「くっ」

腕で抵抗するものの首にかかる力が強すぎて抵抗もできなくなると首から手が離れキスをしてきた。

「んっ」
どちらにしても苦しいままだ。

鼻でどうにか呼吸すると
鼻を掴んできた。

「うっ……うっ」

口で呼吸ができる瞬間が少なすぎて体が揺れ始めた。

ガクガクと震え男は満足したのか仰向けから四つん這いの体勢にして激しく打ち付けてきた。
急に空気が入ってきてむせただけで男は喜んでいた。

「もっと、もっとだ!! もっと締め付けろ!!!」

前屈みで咳き込んでいると尻を叩いてきた。
バチンと部屋に響いた。

「ああっ……はぁはぁ」
「くそっ足りない……足りない……柚がもっとほしい」
ぞくっと身の危険を感じた。

髪の毛を掴まれ上半身を起き上がらせた。

「いっ」

乳首指を添わせぎゅっと掴みあげると
「その調子だ」と男は言ってきた。


「あー絞まる」
男は満足したのか1回目の射精をした。
そしてまた腰を激しく振って中をかき混ぜ後ろから首を絞めてきた。
「うっ……」

ごくりと唾を飲み込み耳元に顔を近づけこう呟く。

「さっきはいい思いしたんだろ? でもあれは柚じゃない、そうだろ?」
……。認めたくないけどそうだ、その通りだ。

さっきのがイレギュラーなだけ僕はこういう扱いをされたほうが……。


涙が零れ落ちた。
嫌だ……。
僕はもっと自由に生きたい。

でも……。

「ああ? なに泣いてるんだ、泣くんならもっといい鳴き声聞かせろよ」

「ああん」

「そうだ、その調子だ」

違う……これは本当の柚じゃない。 柚はもっと冷めてる。

ふっと気配を変えると男はにやっと笑い。

「嬲られるお人形さんだね」
目の前に見えたのは拳だった。

鼻から血が出ようとも目の上にたんこぶができようとも男は殴るのをやめなかった。
「けほ……はぁはぁ……」
体動かない、大勢にやられた時よりキツいや。


何回中出しされたんだろう。
虚ろな目で部屋を見ると男の姿はなかった。

もぞっと動いているのはなんだろう。


「動かなくていいよ」
この声は蒼真さんかな。

「……」
声出ないや。


「弥生さんもう少しでくるから」
そんな言葉も遠くで聞こえた。





次の日は午後から授業が入っていたから教室で鈴山くんと瀬尾くんを待つ。
さすがにこの姿驚かせちゃうよね。

頭包帯して眼帯してその上マスクもしてる。
あまり声は出ない。

他の生徒からも「大丈夫か?」と心配された。
こくりと頷いて手を振る。


「木島ってDV彼氏いるらしいよ」と後ろの席から聞こえた。
「でもやりすぎじゃね?」

「おっす! ってうわぁ!?」
「うるさい、鈴 ……柚月どうしたの?」


慌てた様子の2人がこちらに来た。

「ゲホ……激しくされちゃって……」
「激しくされたのレベルがもう違うぞ」
「別れろよ、そんなやつとは」

「うん……でも好きだから」

「えっとどっちが悪いの?」
「んー僕かな……」
「てか何したらそこまでなんの?」

「んーそれはちょっと言えない」
「俺の柚月がぁぁああ」と泣き始めた頃に先生が入ってきた。

そして鈴山くんと同じ反応をした。
「熱はないのか?」
「ゲホ……大丈夫です」

「そうか、無理するなよ」
「はい」

今日は先輩に会わなくてよかった、多分2人以上に心配されそうだ。

……

ってなに考えてるんだろう。別に特別でもなんでもないのに……。


だって僕はもう……。
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