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12/1開催!〈文学フリマ東京39〉試し読み
第9作品「そのドアをあけてはいけない」
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❁あらすじ
稲福真木はストーカーに悩まされる日々、そんな中親友の宗像和典と一緒に怪談ライブを聞きに行くことになった。想像以上に怖くなり泊まらせてとせがんだ。
しかし体に違和感を覚えた。
そしてポストには新しいメッセージが書かれていた。「昨日の君可愛かったよ」と一瞬にしてストーカーの犯人が分かった。
他の友人宅にも泊まり違和感がないかを確かめる。
和のことを信用しているからこそ疑いたくはなかったが
怖くなり離れることを選ぶ……。
❁試し読み 10ページ
僕の名前は稲福真木大学一年生。
ひとり暮らしを始めドキドキの入学式が終わりもうすぐ夏がきます、夏がくるんだけど……。
どうやら僕はストーカー被害にあっているよう。
ポストには溢れんばかりの手紙やチラシ、ピンポンダッシュのようなこと、時折非通知からは「はぁ……はぁ……」と荒い息の電話がかかってきたり、本当に日々怖くて学校に行けなくなる。
そんな中親友の宗像和典が近くに引っ越しをしてきて大学まで一緒に登校してくれると約束をしてくれた。
本当に優しくて頼りになる。
ストーカー被害のことも話すと力になるよと言ってくれました、でも和かずが好きな怪談話を一緒に聞きに行くことになったのも今回からの話しなの。
「おい、なに落ち込んでるんだ」
そう言ってくる僕よりも背の高い和は楽しそうにはしゃいでいた。
「だって……。僕言ったよね、ストーカー被害にあっているって」
「うん、だから対策として他の人のストーカー被害を聞いてみればなにか分かるんじゃないか?」
「そんな……その話しが怖かったら夜眠れないよ」と駄々をこねても無駄で会場についてしまった。
「怪談ライブ初めて来たけど明るいもんだね」
「そりゃー始まってないからな、いいぜしがみついてきても」
和はにひっと笑っていた、なんとも頼もしい。
仕方ない、頼りにしてるよ。
指定の席に座り、開演を待つ。
『えーではこれから話すのはとあるストーカー被害にあった女性の話になります、皆様ごゆっくりとお過ごしください』
そういうと部屋が暗くなり和の袖を握った。
はぁー怖い……。もう帰りたい……。
『そこで女の人は悲鳴を上げるのです、ですが女の人の後ろには誰もいません、悲鳴で逃げてしまったのかそれとも……女の人は後ろを振り向くと見知った顔の男が立ってい……』
「いぎっ……」思わず声を出してしまった。
和の袖ではなく腕にしがみついて身を寄せてしまう。
「ちょっしー」僕は首をぶんぶん振るしかなかった。
『失礼、男が立っていてなにやら振り構えているではありませんか、女の人は驚いて逃げようとするも頭に衝撃が走り目の前が暗くなります……』そう言った後部屋が明るくなり『十分間の休憩を挟みます』とアナウンスが流れた。
「はぁー、真木大丈夫か?」
僕の体はガクガクと震え和に助けを求めていた。
「駄目そうだな、んじゃぁ帰るか」
「へ? だっていいの結末は?」
「真木知ってるか、結末を知っているのと知らないとでは恐怖度って違うんだよ」
「え、そうなの? ……じゃぁ最後まで聞く」
「偉い、偉い」
頭を撫でられたが僕はふと「トイレに行きたい」と告げる。
「おう、行ってこい、あと五分くらいしかないけど」
「た……立てない……」
「お……まじか、なら俺と一緒に行くか」
『全員お揃いのようですね、それでは早いですが再開します』
そう司会者が言うと部屋が暗くなった。
「もうちょい我慢できる?」
これは仕方ないので「うん」と返した。
『では後半……女の人は見知った顔の男に頭を殴られそのまま車に乗せられました、そして廃屋につくと体にむしゃぶりつきました、それも獣のように食いつくのです、これは人ではなかったのです、ではどうして車に乗せられたのでしょうか?……』
講演が終わり僕たちは帰路につく。
「いやーまさかオチが共犯がいたからだったとはなぁ、なんかホラーっていうよりもよくある殺人事件の話しみたいだったなぁ、なぁ真木」
「うひっ!? ぼ……僕は怖かったよ」
「ああ、そう、ならいいけど……」
家が近くで良かった、これで電車降りてマンションまで一人だったら僕は走って帰っていたと思う。
未だに和の腕にがっしりと掴んでしまっている。
「なぁ今夜一人で眠れそう?」
「へっ……むぅりぃ……」
「だよな……俺んちくるか?」
「行く!! あ、でも課題あるから僕んちよっていい?」
「おう! もちろん」
和は一緒に僕の家まで来て外で待っていてくれた。
「結構課題出てるね」
「うん、なんか内納ないの先生の授業、毎週課題出すらしくて、それ先輩に聞いたの履修登録出してからだったからさ……。鬼畜すぎて辛い……」
「そっか、分かんないとこあったら聞いてね」
「ありがとう!! 本当に和は優しい」
マンションの廊下で歩きながら話していると物音が聞こえた。
いやいやいやいや、気のせい、気のせい。と思い和の家へと向かった。
もう見慣れた部屋に僕は上がり込む、そしてすとんと定位置に座ると
「なぁ、さっき真木の家から出た時物音しなかったか?」
「へ? いやいやいや気のせいだよ、僕聞いてないし」
そう焦りながら言うと
「お前、本当は怖いんだろ……くくくっ」と笑っていた。
「うぅぅ……和の意地悪……」
「お風呂入れるか?」
「うぐっ……ばっか!!」
となんともまぁ子どもの喧嘩のように和の掌の上で遊ばれているようです。
「んじゃぁ先に俺風呂入るから課題とか準備しておきな」
「べーだ」
和のことをしっしと手を振り見送った。
はぁーもう僕そこまで怖くないもん……。
課題をテーブルに出し広げた。
今時ワードの提出ではなく紙媒体って内野先生古すぎる……。
まぁでもおじいちゃん先生だし、仕方ないのかもしれない。授業取る人そもそも少なかったし……。
シャーペンを動かし課題をこなしていると窓側からカリカリと音がした。
「ん?」
いやいやいや違うって絶対に……。
僕は座ったまま動けないでいた、でももしそのカリカリの音がゆ……幽霊だったら??
そもそもここ五階だしそれはありえないか……。
ん? 幽霊に五階とか関係ないか……。
じゃぁなんだろ、人間? の可能性は低いし、動物とかの可能性のほうが大きいか。
僕は意を決して窓の傍まで行き、カーテンを捲った。
外を見ると赤い掌の形をした痕が窓にあった。
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
僕は驚きドタドタと走って風呂場に駆け込んだ。
そして抱きつく。
「おわぁ!? びっくりしたどした??」
「ひぐっ……和……幽霊…」
「はぁ?」
和は髪の毛を洗っていて両腕を上にあげていた。
僕よりも背の高い和のお腹あたりを強く抱きしめる。
「ってちょい! お前服着たままじゃん」
「うぅっだって……」
「ちょい待ち、脱ぐか? それ寝間着だったんじゃないのか?」
「うっ……ごめ」
がっしりと僕は和にしがみついて離れようとしないので和は戸惑っていた。
「はぁー仕方ないな……はい、ばんざーい」
泡がついた手で僕の服を脱がし裸になった。
状況をちゃんと把握した僕は今自分がどういう状況かを見て……。
「へ? 変態!!」と和に告げた。
「いや、変態ってどっちがだよ、風呂場に来た真木のほうが変態だろ、てかなに一緒に入りたかったのなら言ってくれればよかったのに」
にひっと笑った和に僕はどうしようもない気持ちになったが落ち着き。
「ごめん」と伝え軽く体にお湯をかけ湯船につかった。
「まったくだよ、意地張ってると本当にお化けくるかもな」
そうまた追い打ちをかけてきた和、そういえば一緒にお風呂入るのも久々かもしれない。小さい頃……といっても中学生くらいだけど。
修学旅行とか……。
続きは文学フリマ東京39にて……。
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稲福真木はストーカーに悩まされる日々、そんな中親友の宗像和典と一緒に怪談ライブを聞きに行くことになった。想像以上に怖くなり泊まらせてとせがんだ。
しかし体に違和感を覚えた。
そしてポストには新しいメッセージが書かれていた。「昨日の君可愛かったよ」と一瞬にしてストーカーの犯人が分かった。
他の友人宅にも泊まり違和感がないかを確かめる。
和のことを信用しているからこそ疑いたくはなかったが
怖くなり離れることを選ぶ……。
❁試し読み 10ページ
僕の名前は稲福真木大学一年生。
ひとり暮らしを始めドキドキの入学式が終わりもうすぐ夏がきます、夏がくるんだけど……。
どうやら僕はストーカー被害にあっているよう。
ポストには溢れんばかりの手紙やチラシ、ピンポンダッシュのようなこと、時折非通知からは「はぁ……はぁ……」と荒い息の電話がかかってきたり、本当に日々怖くて学校に行けなくなる。
そんな中親友の宗像和典が近くに引っ越しをしてきて大学まで一緒に登校してくれると約束をしてくれた。
本当に優しくて頼りになる。
ストーカー被害のことも話すと力になるよと言ってくれました、でも和かずが好きな怪談話を一緒に聞きに行くことになったのも今回からの話しなの。
「おい、なに落ち込んでるんだ」
そう言ってくる僕よりも背の高い和は楽しそうにはしゃいでいた。
「だって……。僕言ったよね、ストーカー被害にあっているって」
「うん、だから対策として他の人のストーカー被害を聞いてみればなにか分かるんじゃないか?」
「そんな……その話しが怖かったら夜眠れないよ」と駄々をこねても無駄で会場についてしまった。
「怪談ライブ初めて来たけど明るいもんだね」
「そりゃー始まってないからな、いいぜしがみついてきても」
和はにひっと笑っていた、なんとも頼もしい。
仕方ない、頼りにしてるよ。
指定の席に座り、開演を待つ。
『えーではこれから話すのはとあるストーカー被害にあった女性の話になります、皆様ごゆっくりとお過ごしください』
そういうと部屋が暗くなり和の袖を握った。
はぁー怖い……。もう帰りたい……。
『そこで女の人は悲鳴を上げるのです、ですが女の人の後ろには誰もいません、悲鳴で逃げてしまったのかそれとも……女の人は後ろを振り向くと見知った顔の男が立ってい……』
「いぎっ……」思わず声を出してしまった。
和の袖ではなく腕にしがみついて身を寄せてしまう。
「ちょっしー」僕は首をぶんぶん振るしかなかった。
『失礼、男が立っていてなにやら振り構えているではありませんか、女の人は驚いて逃げようとするも頭に衝撃が走り目の前が暗くなります……』そう言った後部屋が明るくなり『十分間の休憩を挟みます』とアナウンスが流れた。
「はぁー、真木大丈夫か?」
僕の体はガクガクと震え和に助けを求めていた。
「駄目そうだな、んじゃぁ帰るか」
「へ? だっていいの結末は?」
「真木知ってるか、結末を知っているのと知らないとでは恐怖度って違うんだよ」
「え、そうなの? ……じゃぁ最後まで聞く」
「偉い、偉い」
頭を撫でられたが僕はふと「トイレに行きたい」と告げる。
「おう、行ってこい、あと五分くらいしかないけど」
「た……立てない……」
「お……まじか、なら俺と一緒に行くか」
『全員お揃いのようですね、それでは早いですが再開します』
そう司会者が言うと部屋が暗くなった。
「もうちょい我慢できる?」
これは仕方ないので「うん」と返した。
『では後半……女の人は見知った顔の男に頭を殴られそのまま車に乗せられました、そして廃屋につくと体にむしゃぶりつきました、それも獣のように食いつくのです、これは人ではなかったのです、ではどうして車に乗せられたのでしょうか?……』
講演が終わり僕たちは帰路につく。
「いやーまさかオチが共犯がいたからだったとはなぁ、なんかホラーっていうよりもよくある殺人事件の話しみたいだったなぁ、なぁ真木」
「うひっ!? ぼ……僕は怖かったよ」
「ああ、そう、ならいいけど……」
家が近くで良かった、これで電車降りてマンションまで一人だったら僕は走って帰っていたと思う。
未だに和の腕にがっしりと掴んでしまっている。
「なぁ今夜一人で眠れそう?」
「へっ……むぅりぃ……」
「だよな……俺んちくるか?」
「行く!! あ、でも課題あるから僕んちよっていい?」
「おう! もちろん」
和は一緒に僕の家まで来て外で待っていてくれた。
「結構課題出てるね」
「うん、なんか内納ないの先生の授業、毎週課題出すらしくて、それ先輩に聞いたの履修登録出してからだったからさ……。鬼畜すぎて辛い……」
「そっか、分かんないとこあったら聞いてね」
「ありがとう!! 本当に和は優しい」
マンションの廊下で歩きながら話していると物音が聞こえた。
いやいやいやいや、気のせい、気のせい。と思い和の家へと向かった。
もう見慣れた部屋に僕は上がり込む、そしてすとんと定位置に座ると
「なぁ、さっき真木の家から出た時物音しなかったか?」
「へ? いやいやいや気のせいだよ、僕聞いてないし」
そう焦りながら言うと
「お前、本当は怖いんだろ……くくくっ」と笑っていた。
「うぅぅ……和の意地悪……」
「お風呂入れるか?」
「うぐっ……ばっか!!」
となんともまぁ子どもの喧嘩のように和の掌の上で遊ばれているようです。
「んじゃぁ先に俺風呂入るから課題とか準備しておきな」
「べーだ」
和のことをしっしと手を振り見送った。
はぁーもう僕そこまで怖くないもん……。
課題をテーブルに出し広げた。
今時ワードの提出ではなく紙媒体って内野先生古すぎる……。
まぁでもおじいちゃん先生だし、仕方ないのかもしれない。授業取る人そもそも少なかったし……。
シャーペンを動かし課題をこなしていると窓側からカリカリと音がした。
「ん?」
いやいやいや違うって絶対に……。
僕は座ったまま動けないでいた、でももしそのカリカリの音がゆ……幽霊だったら??
そもそもここ五階だしそれはありえないか……。
ん? 幽霊に五階とか関係ないか……。
じゃぁなんだろ、人間? の可能性は低いし、動物とかの可能性のほうが大きいか。
僕は意を決して窓の傍まで行き、カーテンを捲った。
外を見ると赤い掌の形をした痕が窓にあった。
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
僕は驚きドタドタと走って風呂場に駆け込んだ。
そして抱きつく。
「おわぁ!? びっくりしたどした??」
「ひぐっ……和……幽霊…」
「はぁ?」
和は髪の毛を洗っていて両腕を上にあげていた。
僕よりも背の高い和のお腹あたりを強く抱きしめる。
「ってちょい! お前服着たままじゃん」
「うぅっだって……」
「ちょい待ち、脱ぐか? それ寝間着だったんじゃないのか?」
「うっ……ごめ」
がっしりと僕は和にしがみついて離れようとしないので和は戸惑っていた。
「はぁー仕方ないな……はい、ばんざーい」
泡がついた手で僕の服を脱がし裸になった。
状況をちゃんと把握した僕は今自分がどういう状況かを見て……。
「へ? 変態!!」と和に告げた。
「いや、変態ってどっちがだよ、風呂場に来た真木のほうが変態だろ、てかなに一緒に入りたかったのなら言ってくれればよかったのに」
にひっと笑った和に僕はどうしようもない気持ちになったが落ち着き。
「ごめん」と伝え軽く体にお湯をかけ湯船につかった。
「まったくだよ、意地張ってると本当にお化けくるかもな」
そうまた追い打ちをかけてきた和、そういえば一緒にお風呂入るのも久々かもしれない。小さい頃……といっても中学生くらいだけど。
修学旅行とか……。
続きは文学フリマ東京39にて……。
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