18 / 20
⑥憧れの人
憧れの人
しおりを挟む
にひっ笑顔は俺だけのものだけどな……って俺どんだけ奏太のこと好きなんだよ、めっちゃ好きだ、早く告白して俺だけの物にすればよかった。
離れてからは悪夢ばっか見るし喧嘩にも負けるし、頼りなさすぎなところも風の噂で聞いただろうし本当に嫌だった。
「なぁなぁ瀧澤ってどうして小笠原と離れたんだ?」
おいおい、俺の嫌なところつくなよ。
「あーわかんね、気づいたら無視されてた」
「まじか、小笠原って基本みんなに対して優しいイメージで仲間思いな感じがしたから絶対にそれはないって思ってたのに、なんかちょっとイメージ崩れしちゃうな」
「あ、まぁ、そうだな」
「なぁなぁ、もしも小笠原が目の前にいたらどうする? やっぱ喧嘩する」
「あー一発殴るかも」
「理由も聞かずに?」
「まずは一発殴りたい」
理由を聞かずにだ、奏太は教えてくれるのだろうか、下手したらすぐに俺の元からいなくなりそうで怖い。
もう目を逸らされたり無視をされたりなんてことされたくない。
「瀧澤、お前小笠原いなくなったの結構痛いんだな」
「まぁな、ずっと一緒につるんでたし」
「どんくらい?」
「小学後半くらいかな、俺元々いじめられっ子でさ、奏太が助けてくれなかったら橋から落とされてたかもしれないし」
「へ、へぇいじめってそんな怖いこともするんだ」
「やばいやつは、まじで殺人レベルだからな」
「で、その時の救世主が小笠原奏太ってやつなんか、なんか良いな」
「ああ」
次の授業は移動教室だ、そろそろ本鈴もなるのに同姓同名の男は一人席に座っていた。
少しだるそうにしていたが俺には関係ない。
小鳥遊と合流し近くに座り本鈴が鳴った。
しかしその授業には来なかった。
授業が終わってクラスに戻ると彼はいなかった。
まさかな……。いじめか?
とも考えたが入学してまだ一週間しか経っていないのにもういじめが発生するのかなんて怖いことは考えたくもない。
俺に起きた小学生のいじめは橋から落とされるところだった。
もう昔の話だ、忘れろ……。
「あ、小笠原戻ってきた」
先生に事情を話していた。
「保健室行くときは誰かに伝えろよ」と聞こえたので具合が悪かったのであろう。
たしかに誰かに伝えろよとは思うけど友達もいないぼっちにそれは難しい課題ではないかと思ってしまう、だからといって俺が仲良くするのもなんかおかしいし、ていうか俺入学式の時の浮かれ気分を返してほしいくらいだ、まさか同姓同名がいるなんて思いもしないだろ。
席に戻るところを見ていたら足を引っかけられたのか派手に転んだ。
「うっ……」
「おい、大丈夫か」
「すみません……」
悪くないのに謝っちゃって、あそこのやつらだな、本当に人で遊ぶなんて頭おかしいだろ。
って自分か、助ける助けないにしろ、俺は今足を出したやつらを責めていない、その時点で同罪だ、この教室にいて今の瞬間を見たやつはみな同罪なのだ。
席に座り教科書を広げるも濡れていた。
あーもう斜め前の前の席にいるから視界にどうしても入ってしまう。
近かったら教科書見せてあげられたのに……。
それでも彼はその濡れた教科書を広げていた。
昼休みに入り学食に行かないかと小鳥遊に誘われ付いていく。
「お、俺今日は唐揚げ定食にしよっと」
「今日はって昨日も唐揚げ食ってなかったか?」
「いいの、俺の大好物なんだから」
「ふーん」
俺も唐揚げ定食にした。
だいたい普通に唐揚げって美味いから最高なんだよな。
続きは文学フリマ東京39にて!
離れてからは悪夢ばっか見るし喧嘩にも負けるし、頼りなさすぎなところも風の噂で聞いただろうし本当に嫌だった。
「なぁなぁ瀧澤ってどうして小笠原と離れたんだ?」
おいおい、俺の嫌なところつくなよ。
「あーわかんね、気づいたら無視されてた」
「まじか、小笠原って基本みんなに対して優しいイメージで仲間思いな感じがしたから絶対にそれはないって思ってたのに、なんかちょっとイメージ崩れしちゃうな」
「あ、まぁ、そうだな」
「なぁなぁ、もしも小笠原が目の前にいたらどうする? やっぱ喧嘩する」
「あー一発殴るかも」
「理由も聞かずに?」
「まずは一発殴りたい」
理由を聞かずにだ、奏太は教えてくれるのだろうか、下手したらすぐに俺の元からいなくなりそうで怖い。
もう目を逸らされたり無視をされたりなんてことされたくない。
「瀧澤、お前小笠原いなくなったの結構痛いんだな」
「まぁな、ずっと一緒につるんでたし」
「どんくらい?」
「小学後半くらいかな、俺元々いじめられっ子でさ、奏太が助けてくれなかったら橋から落とされてたかもしれないし」
「へ、へぇいじめってそんな怖いこともするんだ」
「やばいやつは、まじで殺人レベルだからな」
「で、その時の救世主が小笠原奏太ってやつなんか、なんか良いな」
「ああ」
次の授業は移動教室だ、そろそろ本鈴もなるのに同姓同名の男は一人席に座っていた。
少しだるそうにしていたが俺には関係ない。
小鳥遊と合流し近くに座り本鈴が鳴った。
しかしその授業には来なかった。
授業が終わってクラスに戻ると彼はいなかった。
まさかな……。いじめか?
とも考えたが入学してまだ一週間しか経っていないのにもういじめが発生するのかなんて怖いことは考えたくもない。
俺に起きた小学生のいじめは橋から落とされるところだった。
もう昔の話だ、忘れろ……。
「あ、小笠原戻ってきた」
先生に事情を話していた。
「保健室行くときは誰かに伝えろよ」と聞こえたので具合が悪かったのであろう。
たしかに誰かに伝えろよとは思うけど友達もいないぼっちにそれは難しい課題ではないかと思ってしまう、だからといって俺が仲良くするのもなんかおかしいし、ていうか俺入学式の時の浮かれ気分を返してほしいくらいだ、まさか同姓同名がいるなんて思いもしないだろ。
席に戻るところを見ていたら足を引っかけられたのか派手に転んだ。
「うっ……」
「おい、大丈夫か」
「すみません……」
悪くないのに謝っちゃって、あそこのやつらだな、本当に人で遊ぶなんて頭おかしいだろ。
って自分か、助ける助けないにしろ、俺は今足を出したやつらを責めていない、その時点で同罪だ、この教室にいて今の瞬間を見たやつはみな同罪なのだ。
席に座り教科書を広げるも濡れていた。
あーもう斜め前の前の席にいるから視界にどうしても入ってしまう。
近かったら教科書見せてあげられたのに……。
それでも彼はその濡れた教科書を広げていた。
昼休みに入り学食に行かないかと小鳥遊に誘われ付いていく。
「お、俺今日は唐揚げ定食にしよっと」
「今日はって昨日も唐揚げ食ってなかったか?」
「いいの、俺の大好物なんだから」
「ふーん」
俺も唐揚げ定食にした。
だいたい普通に唐揚げって美味いから最高なんだよな。
続きは文学フリマ東京39にて!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
今更あなたから嫉妬したなんて言われたくありません。
梅雨の人
恋愛
幼き頃に婚約したエルザと王太子ルーカス。
将来を語り合い寄り添い続けた二人は、いつしか互いに気持ちを通わせあい、夫婦になれる日を心から楽しみにしていた。
すべてが順調に行き、二人の婚姻式があと少しという所で、突然現れた聖女とルーカスが急接近していく。
そしてついに聖女と一線を越えてしまったルーカスは責任をとる為、浮気相手の聖女を王太子妃として娶ることになってしまった。
一方エルザは婚約破棄が王に認められず、王太子妃の代わりに執務に公務をこなすために第二王太子妃にされてしまう。
エルザを妻として娶ることを心待ちにしていたルーカスだったが、王太子妃である聖女の束嫉妬が激しくエルザを蔑ろにしてしまう。
心無い周囲の声にただ一人耐え続けるエルザのもとに、側近として現れたダグラス。
ダグラスのおかげで次第に笑顔を取り戻すエルザと、二人を見て嫉妬にかられるルーカス。
そんなルーカスに対してエルザは言い放った。
不貞の末に妻二人も娶ったあなたに------今更嫉妬したなんて言われたくはありません。
ヘタレ淫魔は変態小説家に偏愛される
須藤うどん
BL
精神年齢が幼児で、かつ自分は不出来だというコンプレックスの塊のためすぐいじける淫魔のリケは、小学生男子にすら勝てない。
寝ぐらにしていた公園で纏っていたボロきれを悪ガキたちにめくられ、もっとエロいパンツを履けと紐パン着用を強要されたのち、恐怖にえぐえぐ泣きじゃくるみっともない姿に萎えられて捨て置かれ、へたりこんで泣き続けているところを、優男風の三十路のお兄さん・簪 苑生(かんざし そのお)に優しくされたリケは苑生の雄としての優秀さを淫魔の本能で嗅ぎつけ、ぐちょぐちょに濡れてしまい……?
もう二度と、愛さない
蜜迦
恋愛
エルベ侯爵家のリリティスは、婚約者であるレティエ皇太子に長年想いを寄せていた。
しかし、彼の側にはいつも伯爵令嬢クロエの姿があった。
クロエを疎ましく思いながらも必死に耐え続ける日々。
そんなある日、クロエから「謝罪がしたい」と記された手紙が届いて──
1週間の恋人契約
七海さくら/浅海咲也(同一人物)
BL
小日向 葵 (こひなた あおい)、高校2年生。
高校でなぜか『クイーン』とあだ名されるオレだが、同じく『プリンス』と呼ばれる桐生 悠晴 (きりゅう ゆうせい)と期間限定の恋人契約を結ぶことになった。
※ 初出が2021年なので、内容は2021年のカレンダーに合わせてあります。
【完結】私の婚約者は、親友の婚約者に恋してる。
山葵
恋愛
私の婚約者のグリード様には好きな人がいる。
その方は、グリード様の親友、ギルス様の婚約者のナリーシャ様。
2人を見詰め辛そうな顔をするグリード様を私は見ていた。
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
私のバラ色ではない人生
野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。
だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。
そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。
ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。
だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、
既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。
ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。
友達のその先
ねこみ
BL
「俺なんかお前でしか勃たなくなったみたい」
友人から言われ試しにえちなことをするDKの話。乳首責めあまりない挿入なし。
誤字脱字は安定にあります。脳内変換しつつ優しい目で見守ってくれると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる