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12/1開催!〈文学フリマ東京39〉試し読み
第1作品「君の匂いは特別だ。」
しおりを挟む❁あらすじ
部活の先輩である、本郷先輩は一言で言うと「かっこいい」みんなの憧れの先輩だった。 少しのほほーんとした性格で声をかけるも相手にされないことのほうが多いため同級生の友達も少ないという。 そんな中保護猫活動している本郷先輩と後藤先輩。星島が猫に興味を持ち先輩と猫カフェに行くことになった。 そこでまさかの星島に猫吸い、いやいや人吸いをしてしまって……。
❁登場人物
×
❁試し読み 10ページ
僕の名前は星島祐平
ここ羽山はやま高校に通う、高校二年生だ。
僕たちには憧れの先輩がいる、本郷明人先輩だ。
彼は他の生徒とは違う不思議な力を感じる、それを感じる時はバスケ部の試合の時だ、奇麗なフォームと力強いダンクシュートは他校の生徒も先生もクギづけにしている、しかし彼には欠点があった。
それは他人に対して無干渉ということだ。
こればかりは彼の性格の問題なので誰がとやかく言うものではないが、僕は本郷先輩と親しくなりたい、ただそう思ったのだ。
バスケ部
先輩は欠伸をしていた。
今日も眠そうだ、彼はいつも眠たそうな顔をしている。
イケメンなのにと思う。
背も高いし顔は整っているし女子にはモテモテだし、羨ましい点ばかりだ。
それなのに僕はバスケ部といっても背は普通だし顔は……言いたくないけど女子よりだし、女子より男子からの告白が多いし……。
まるで先輩とは反対だ。
「次、二年生」
「はい」
試合が始まる、少しでも先輩の目に付くように動かないと先輩に少しでもお近づきになりたい、た、単純にバスケを上手くなりたいからで下心なんてない。
「祐平!!」
パスがまわってきた、キャッチしシュートに向かおうとするが目の前に来たのは長身の後藤だった。
すかさず脇を通り抜けようとするも大きな掌に止められてしまった。
ミスった、後ろに下がれば良かったと……。
焦らなくていい、試合は始まったばかりだ。と集中する。
試合は負けた。
「はぁ……はぁ…はぁ……」
「お疲れ」
「ありがとう」
同じクラスの福岡裕太だ、彼は補欠でタオルと水筒を持ってきてくれた。
「ねぇさっきの試合おしかったね、後少しで後藤から逃げられたのに」
「だよね、あそこは後ろにパスか引くべきだった」
思わず先輩を見つめてしまった。
「ねぇ、ずっと気になっていたんだけど祐平は本郷先輩のこと好きなの?」
「は?」
「違ったか、いつも見てる気がしたからさ」
「……見てたのは普通に先輩すごいなって思っただけ」
「あ、なるほど、でも先輩身長もあるしドリブルもシュートも上手いからなんか僕たちとは次元が違うよね」
「うん、でも努力もしてると思う、じゃないとあそこまではなれないよ」
「ほぉーそれはいい褒め言葉だな」
!?
「先輩、お疲れ様っす」
急に頭上に現われた後藤先輩に驚き立ち上がる。
「まぁ、座りたまえ後輩よ」
「あ、はい、ではお言葉に甘えて……」
今は全体的に休憩の時間だ。
「ここで一つ本郷に話を取り合ってもらいたいのなら猫を使え」
「猫? ですか」
「そうだ、あいつは大の猫好きだ」
「は、初耳です」
「まぁあいつすぐ消えるからな、で、裏庭に住み着いているノワールという黒猫のところになにやら通っているみたいだ、お前も本郷を知るとしたらそこからなんじゃないか?」
「そ、そうですね僕も裏庭に行ってみます」
「おう」
後藤先輩に助言を頂き僕は次の日の昼休み裏庭に出向いた。
そろりと壁からとりあえず覗き込むと本郷先輩はびよーんと伸びる猫を抱き上げ見つめていた。
ね……猫は伸びる、液体という話も聞いたことはあるけどあれは伸びすぎだ。
そしてなにより可愛い。
先輩全然笑ってないけど何してるんだろう……。
ぶらんぶらんと横振りをしていた。
もう少し覗こうと体を出した途端猫は先輩の拘束から逃げた。
「あっ」まずい。
先輩はこちらを見ていた。
「あ、あのすみません、ぼ、僕も猫触ってみたくて」
「あーどうぞ」とさりげなく伝えた言葉は先輩の横ポジションをゲットしたのだった。
横にいるだけで緊張するんだけど、でも少し近づけたのはラッキーだ。
しかし僕はひそひそ声を耳にする。
「ちょっとなにあのチビ!! 先輩の顔を撮れないじゃないの」という声だ。
「え?」
後ろを向くと三年の先輩方が見ていた。
僕は思わず立ち上がろうとした時腕を引かれた、そしてバランスを崩し倒れそうになったが先輩の掌に受け止められた、それはまるでバスケットボールを片手で掴んだ時と同じ感覚みたいに。
「ノワール来たから静かにして」と
「あ、はい」
僕は横ポジションにいた。
礼も言えず先輩の横にただただ座っていた。
黒猫のノワールは先輩にすり寄っていた。
可愛い。
手を出そうとすると黒猫は後ろに引いた。
「違う、ダメだよ猫は警戒心が強いんだ、そんなことも知らないの?」
「え、あ、はい……」
どうしよう、思わず来ちゃったけど先輩の邪魔だったかも、やっぱ様子見てから話しかければよかったかもしれない。
下を向いていると先輩の顔が近づいていることに気がつかなくて顔を上げた瞬間に僕は後ろに手をついた。
「いっ……」
「あ、ごめん君すごくいい香りがしたから」と言われた僕はなぜか鼓動が止まらず立ち上がり校舎へと戻った。
?
やばい、心臓バクバクしている、いい香りって先輩のほうがいい香りしたんだけど、てか顔近くて思い出しただけでも顔が熱い。
クラスに戻ると授業がすぐに始まった。
でも鼓動と先輩に話しかけられたことといろいろ重なり授業に集中できなかった。
放課後
部活に向かって着替えをしていると右手首が痛いことに気がついた。
まさかな、あの時だよね。
「祐平どうした?」
「え、いや手首痛いなぁって思ったんだけど多分大丈夫」
「悪化したら悪いし先生に保健室行くって伝えてみたら」
「うん、そうだね」
もう少ししたら、大会があるのにそんなことを言ったらきっとレギュラーを下ろされるだろう、やっと勝ち取ったレギュラーを手首の痛みで先生に知られたくない。
「はぁ……」
でもみんなで勝ち取るのが理想で、僕の行いで試合に負けるなんて嫌だしな……。
先生を見つけ僕は駆け寄った。
「先生」
「なんだ?」
「あの、手首に痛みがあってその保健室に……」
「え、もしかしてあの時?」と声をかけてきたのは本郷先輩だった。
もちろんのこと先輩は自分のこと以外興味がないと部活いや全校生徒に知れ渡っているなのに先輩は僕に声をかけさらには心配をしてきたのだ」
「えっと……」
「ごめんね、先生俺がこの子を保健室連れて行ってきます」
「お、おう頼む」
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「ごめん、誰か代わりに出てくれる?」
「あ、分かった」
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