先輩に恋しました。

枝浬菰

文字の大きさ
上 下
12 / 20

好きだから……関わらないで

しおりを挟む
3日後先輩はケロっとした顔で仕事をしていた。

「もう大丈夫なんですか?」
「うん、ごめんね玲於くん、変なもの見せちゃって、でも気にしないで」
俺は安心できず悲しい顔をしてしまった。

それを見た先輩はいつもの笑顔で
「ごめん」
と言い残しどこかへ

先輩とぎくしゃくしてる…。
先輩を好き、でもあんなの見せられて救えない自分が嫌いだ。

先輩…先輩…。

------------------------------
10階の中庭に出てベンチに横たわった。
涼しい風と太陽と

はぁー怜於くんに悪いことしちゃったな…。まさかあの場にくるのが怜於くんだなんて思わないじゃんか、佐久間先輩の意図なのか、浩の命令だったのか、それは分からない。

「おはよ、どうした?」
「佐久間先輩」

「体もう平気なの?」
「あ、うん…」

体を起こし佐久間に席を譲った。

「ね、驚いたよね佐野がきて」
唐突に今考えていた話をされ少し慌てる。

「うん、これって誰の命令なんですか?」
「他人行儀じゃん」
というと

俺の上に乗っかってきた。
「ちょっここ会社ですよ」

「大丈夫、ここちょうど死角になって見えないベンチだから」
ベンチはたくさんありここだけは死角になって見えない。

「んっ」
キスをされた。

「悠真分かってると思うけど、全部浩の命令だよ、どこまでも俺たちの仲を引き裂きたいみたい、でも俺大学の時から悠真のことが好き、絶対に離さないし浩から取り返して見せるから」

…。
この気持ちを僕は知っている。
大学時代に告白され付き合いだしてお互いを好きになった。
いろんなところに行って、いろいろなことをしてホモとかゲイとかじゃなかったけど佐久間先輩のことが大好きで、一生懸命頑張って先輩の後を追って同じ会社に入ったりして僕も先輩が大好きだから……だからダメなんだ。

「先輩……」
僕は瞳を潤わせてこう告げる。

「浩がどこで見張ってるかわかんない、今も見られてるかもしれないし聞かれてるかもしれない……」
「え?」

目で問いかける。

僕は腕を伸ばし先輩の首にまわし引き寄せキスをした。
そして耳元で
「先輩……好き……だからお願い僕に関わらないで」
先輩をおしのけ立ち上がり自席に戻った。

ごめんなさい僕が先輩を好きになってしまったから……。

1人おいてけぼりにされた佐久間の元に1通のメールが届いた。

【殺す】と

さっと血の気が引くのを感じた。

これは浩からきたメールだ。
俺が罰を受けるのかそれとも悠真が罰を受けるのか俺の行動1つ1つで悠真の運命を変えてしまう。

「もう関わらないことか……無理だろ」
好きな相手を闇から救い出せないでどうするんだ。
佐野か…犠牲になってでも悠真をあいつから引き離さないと。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【 よくあるバイト 】完

霜月 雄之助
BL
若い時には 色んな稼ぎ方があった。 様々な男たちの物語。

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜

ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。 高校生×中学生。 1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

昭和から平成の性的イジメ

ポコたん
BL
バブル期に出てきたチーマーを舞台にしたイジメをテーマにした創作小説です。 内容は実際にあったとされる内容を小説にする為に色付けしています。私自身がチーマーだったり被害者だったわけではないので目撃者などに聞いた事を取り上げています。 実際に被害に遭われた方や目撃者の方がいましたら感想をお願いします。 全2話 チーマーとは 茶髪にしたりピアスをしたりしてゲームセンターやコンビニにグループ(チーム)でたむろしている不良少年。 [補説] 昭和末期から平成初期にかけて目立ち、通行人に因縁をつけて金銭を脅し取ることなどもあった。 東京渋谷センター街が発祥の地という。

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

孤独な戦い(4)

Phlogiston
BL
おしっこを我慢する遊びに耽る少年のお話。

保育士だっておしっこするもん!

こじらせた処女
BL
 男性保育士さんが漏らしている話。ただただ頭悪い小説です。 保育士の道に進み、とある保育園に勤めている尾北和樹は、新人で戸惑いながらも、やりがいを感じながら仕事をこなしていた。  しかし、男性保育士というものはまだまだ珍しく浸透していない。それでも和樹が通う園にはもう一人、男性保育士がいた。名前は多田木遼、2つ年上。  園児と一緒に用を足すな。ある日の朝礼で受けた注意は、尾北和樹に向けられたものだった。他の女性職員の前で言われて顔を真っ赤にする和樹に、気にしないように、と多田木はいうが、保護者からのクレームだ。信用問題に関わり、同性職員の多田木にも迷惑をかけてしまう、そう思い、その日から3階の隅にある職員トイレを使うようになった。  しかし、尾北は一日中トイレに行かなくても平気な多田木とは違い、3時間に一回行かないと限界を迎えてしまう体質。加えて激務だ。園児と一緒に済ませるから、今までなんとかやってこれたのだ。それからというものの、限界ギリギリで間に合う、なんて危ない状況が何度か見受けられた。    ある日の紅葉が色づく頃、事件は起こる。その日は何かとタイミングが掴めなくて、いつもよりさらに忙しかった。やっとトイレにいける、そう思ったところで、前を押さえた幼児に捕まってしまい…?

処理中です...