短編集

枝浬菰

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ずっと笑っていてほしいから

※痴漢行為

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立ち上がり少年の脇を抜けようとしたら他の男の手が少年のお尻に伸びていた。
は!? 痴漢!!?


上目遣いでこちらを見ている少年と目があってしまい、おっさんと少年を駅のホームに引っ張り出した。

「おい!! なんだ」とおっさんが言っていたがどうにか脱出できた。


「あんた、少年に痴漢してただろ!!」
「は? そんなこと」

「どうしました?」と駅員が駆け寄る。
「駅員さん、この人少年に痴漢してました」

「!? 男の人にですか?」駅員も慌てていた。
少年は俺の腕をぎゅっと握り、まだ呼吸を荒くしていた。

「証拠におっさん勃起してるじゃないですか!!」
「こ…これは」
「もう言い逃れできませんよっ」

ぐらっと横の視線から少年が倒れた。
「!? っておいしっかりしろっ」
---------------
電車にゆらゆらと乗るのが好きで、休みの日はこうして乗った。
背が低くて勘違いされやすいのか痴漢に合うことも多く。

こんな朝早く、込み合った電車でまさか被害にあうとは思わなかった。
尻の隙間をゆっくりと上下に指が這い、尻を揉まれる。

それだけでも嫌なのに前の席の人に声をかけられた。
ヤバイ見つかる。


「席変わりましょうか?」
あれ? この声知ってる…。
直視できない。

「いえ、大丈夫」と断った。
おっさんの行為はエスカレートしていく。

なんで今日はゆったりとしたのを履いてきたのか後悔する。
背中との隙間に手が入り、ゆっくりと蕾に指が入る。
うっ…。


つぷっと中に何かが入れられた。
これは小型なバイブだ。
おっさんの考えていることが分からない。

カチっと音がなると静音で振動し始めた。
電車の轟音が少し鳴っている静音さえも消す。

やばい、勃つ。
ホームに駅が到着すると前の人が立ち上がりどこかに行ってしまう。

目があい、驚いた様子だけど、俺とおっさんをホームに出してくれた。
ぎゅっと握る手が温かい。

いろいろおっさんに言ってくれてる、祥真に似てるな…。
やばっそうだ、バイブ忘れてた。

カクっと膝から砕け落ち俺は睡魔に誘われた。
---------------
「じゃ、私は関係ないので、この少年のことはお願いします」
「はい」

朝からとんだ事件だ。
男が男を襲う時代になってしまったことがまず間違いだな。
もう11時を回っていた。

会社には連絡しておいたが、13時から営業訪問を予定しているので先輩の元に向かう。

資料に目を通し
「今日の契約を取れれば一先ず祥真は一人前だな」
と言われた。

「はい!」
真面目とやる気だけが俺の取り柄なので元気にそしてトイレの個室に入り
財布に入った写真を見る。
「頑張ってくるからな、瑠架」
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