短編集

枝浬菰

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陰間茶屋→完結

誰も救ってはくれない

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「そんなことが…でも竹野浦にもなにか事情があったんじゃないのか?」


「俺の弟君の声をつぶされたんです、竹野浦様に、その時主が追い出そうとしたら逆ギレされてしまい…」


「店をつぶすか…」


「はい」


「みんなが無事ならいいんです、俺だけが我慢すれば…」

頬一筋の涙がこぼれる


「でも…俺も借金返済して一度は外の世界歩いてみたかったから、多分あの方のもとにいったらそれはもう叶わない夢だと思います
こんな話益山様にしても仕方のないことですが、お話聞いてくださりありがとうございます、いつも優しい益山様が大好きでした」


「占埜…買取値はいくらなんだい?」


「え…? 借金といろいろ合わせたら1億です」


「なるほどな」


益山様が少し考えてる 希望なんてないけど少し期待してしまう



「失礼いたします、お時間です」

と羽瑠がきた


「あぁ、今日は無理を言ってすまなかったな羽瑠も占埜もありがとうな」


また頭に優しい手がのる
その手にすがりたい

でももうあきらめないと…


期日は明日…さようなら益山様

みんな…





「占埜元気ないね、大丈夫か?」

「ハチ、ありがとう大丈夫だよ…それよりもごめんねハチ、あなたを用心棒からときはらえなくて…たぶん俺についてきたらハチもなにかされちゃうだろうから
今日でお別れのほうがいいと思う
羽瑠にいっていいところの用心棒につかせるようどうにかするから」
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