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伊都屋唯斗 過去編⑤

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九条とすれ違う、やけにいつも唯斗のことを気にしていた。

「あのさ」
「なに?」

「伊都屋見てない?」

「見てないよ」
と答えが返ってきた。

体育委員で体育倉庫の鍵を手に持っていた。

まさかと思い、急いで体育倉庫に向かった。

ドンドンと叩き中に唯斗がいないかを確認する。


------------------------------------------------------------------------------------
「あーお腹空いた」
昨日バイト先の弁当余ったから少し安く買い取らせてもらってモリモリ食べちゃったんだよな……。

朝ごはん食べてないし、腕取れないし……。
どうしよ。

と思っているとドアがガンガンとなった。

びっくりした。

「唯斗いる?」
と声が聞こえた。

蒼維だ。

「あ……蒼維」
と叫ぶが聞こえないのか何度かドアが叩かれる。

やっぱ腕がと頑張って引っ張ると取れたが
「いったーーー!!」

右手の腕辺りが青く腫れていた。

そのままドアに近づき、緊急用のボタンを押すと
鍵が開いた。


最新のドアでよかった。
蒼維に抱き着き、ちょっと涙が出た。

「唯斗、大丈夫?」

「大丈夫じゃない、腕痛い」

緊急用のボタンを押すと職員室に連絡が行き、数人の教師がきた。

「おい、どうした大丈夫か?」

「先生、なんで?」
「中の緊急用のボタン押しただろ」

「はい」

「あれ、職員室にも連絡が来るようになってて」
「どうしたの?」

「あ、なんか腕挟まった後、体育委員の人が鍵しめっちゃたみたいで」
と正直に話すと

「鍵返しに来たのって……。」
「九条くんですね」

「あってる?」
「はい」

犯人を先生の誘導によって答えてしまった。
蒼維はすごく怒っているのが空気から分かる。

「先生それよりも保健室に行ってもいいでしょうか?」
「あ、ああ! 大丈夫かそれ」

と先生も腕を見て慌てだす。
急いで保健室に急行した。


腕は内出血が起こっていたので包帯で巻いたが学校が終わったら病院に行くことを言われた。


担任が
「九条には先生から伝えておくから」
と言われた。

納得がいっていない蒼維はきっとクラス戻ったら言うんだろうな。

「蒼維、俺はもう大丈夫だからね」
というと
溜息をつき、保健室をあとにした。

今のため息はなに!!?
気になるじゃん。

クラスに戻ると授業中だったので制服を持ってトイレで着替えた。

お昼休みになり蒼維がクラスに来た。
「唯斗は?」

「あー悪いどっか行った」

「はぁー」

俺は昼になると誰もいない旧校舎の教室に向かう。
お昼ないし、みんなの見てるとお腹空くし……。

ちょうどいいところで戻ればさいいんだよ。
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