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余命宣告されたΩ編
余命宣告されたΩ編
しおりを挟む――余命を宣告されたΩと・・・・
番になれないα・・・
となりにいるのがあなたで良かった。――
【第一章】
琥珀琉架は俯いていた。
琉架の余命は約一年と診断され悲しみで胸が張り裂けそうになっていた。
かかりつけの小鳥遊病院に一緒にきていた琉架の婚約者である日暮要は琉架の左手をぎゅっと握りしめ慰めようとしていた。
医師、小鳥遊はさらにこう告げる。
「余命宣告といっても君たちの行いで変わるかもしれない、それだけは胸の内にしまっておいてくださいね」そう医者は告げた。
家につくなり琉架は身を寄せてきた。
この行いを俺はいつも可愛い、幸せと脳内で呟いていた。
「琉架、体調どう?」
「大丈夫、多分」
琉架は思いのほか大丈夫じゃないことを俺に告げた。琉架の大丈夫は大丈夫ないから。
「なにかあるなら話してくれる?」
「うん」
琉架を抱き上げ寝台に寝かせた。
今日は体調が思いのほか悪いようだ。
汗ばんだ顔と頬が赤い、さらには潤んだ瞳をしていた。
どこか遠くへ行ってしまいそうで正直怖い。
番解消の薬を投与して一年半、琉架の元からいなくなってしまった番と子ども。
琉架はなにを考えているのか不安になる。
「琉架、キスしよっか」そう言うとさらに顔を真っ赤にして「うん」と素直に答えた。
唇が重なり愛を確かめ合うようにキスを続けた。
「んっ」
「落ち着いた?」
「うん、要ありがとう」
琉架が不安になるのは当たり前だ。
番解消の薬を投与するということはΩにとって不安要素がたくさんあるということだ。
俺が少しでも減らして行けたらいいのだが。
αである俺はΩのことは分からない。
でもそれを理解していかないと余命宣告は実現になる。それだけは避けたい。。
「ん? どうした」
琉架が俺の指輪を触っていた。
「ふふっお揃い」
俺は顔に手をあて、神様ありがとうと脳内で呟いた。
「琉架のも見せて」
「うん」
琉架の番相手は小鳥遊璃亜武、彼と琉架は同級生だった。
今後一切会うことも番でいることも認められない。
そうしたのは全部璃亜武の番である小鳥遊稚里だ。
【運命の番】に惹かれ会った二人は番になり、本来好き同士の二人の仲を引き裂いた。
赤子は小鳥遊家のものになり琉架に残ったのは番解消の代償である余命宣告だけいつ死ぬかも分からないそして傍にいる俺だけだった。
琉架との出会いは高校生の時、父親から暴力を振るわれている頃に刺激的な出会いをした。
琉架の父親である、琥珀議員の元部下であった俺は琉架と初めての行為を終え、そこから頻繁に通うようになった。
俺的には推し活ぽいことをしていた。
これも紛れなく琥珀組が用意したレールだったのかもしれない。
自分だけのものにしたい、それだけが琉架を救うことの手助けになった。
だから琉架とは長い付き合いでかれこれ七年くらい。
琉架に手を差し伸べた、しかし琉架は俺の幸せがなんとかどうとか言ってたけど……ずっと不安な日々は俺も嫌だ。
だから「大人の本気を見せてやる」と言い琉架の左薬指には、月の光に照らされて煌めく指輪がはめられていた。
琉架も真似して俺の薬指に指輪をはめてくれた。
「俺たち、恋人から夫夫ふうふになったな」とお互い見つめ合いキスをして求め合った。
それから二年半
今は番解消で投与した薬に琉架は苦しめられている。
そして先生から「愛し合い行為をすることで二人の運命も変わってくるでしょう」と言われているのだ。
「琉架、おはよう」
「おはよう、要」
日課のおでこ擦り合わせは僕たちの大切な挨拶だ。
眩しい太陽の光が射し込み気持ちのいい風がカーテンを揺らしていた。
要はいつまでも優しい。
僕がずっと要の人生を奪っている。
左薬指を見て、それでも僕とずっといたいと彼は言ってくれた。
それだけで僕はよりどころを見つけそれにすがっている。
「おやおや、どうした?」
「べ、別に」と布団を被ると要は布団に潜り込んできた。
「ちょっ」
上半身のパジャマを持ち上げ突起したそれに口づけする。
「朝なんですけど」と言っても行為は終わらず口に含んだり転がしたり気分は上がってしまう。
「はぁ……はぁ……要……」
「ぶっそんな色っぽい顔しても説得力ありません」と言われてしまった。
「そ、そんなこと言っても……」
「琉架……」
そう呼ばれると唇を重ねた。
「んっ」
ずるい、こうやって僕のやってほしいことばかりを要はしてくる。
嬉しいのバレてそう。
「ぶふっ舌絡めちゃって可愛い」やはりバレていた。
二人の世界に朝から入っていたら……。
「ごぉらあぁぁぁぁぁあああぁぁ……日暮てんめぇ何様のつもりだ!!!!」
!? ビックリしすぎて舌を噛んでしまった。
「いってぇ……」
「ごめんなさい」
「あはは、また怒られた、俺結構下やばめなんだけど」
「ふふっでも行かないと比嘉ひがさんきっとドア叩きますよ」
「だよなぁ、とりあえず怒られてくるわ」
「はい」
「体調悪かったら今日は瑠那るなのところいいからな」
「はい、でも気になるので様子見て行きます」
「了解、その時は事務所寄ってな」
「はい」
階段を降りていく音が聞こえ、ドアが閉まる音も聞こえた。
要、比嘉さんに怒られちゃってるのかな、下大変なことになってるからきっとりんちゃんになにか言われていそうだ。
ここはジャスミンという風俗店だ。
α専用Ωと遊べる店のオーナーである要と比嘉さん、二人ともαで比嘉さんには番の紅羽くれはさんがいて要には番ではないが一生一緒にいてくれると誓ってくれた僕がいる。
僕は元々βで番とか全然関係なかったんだけどある時にΩになってしまった。
話の続きは文学フリマ東京39または文学フリマ京都9、文学フリマ広島7にて!!
12月1日以降Booth、ラクマ、DLsiteにてご購入可能です!
定価でお求めの方はぜひ文学フリマを訪れてください!
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