捨てられΩはどう生きる?

枝浬菰文庫

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出産編

僕の大切な人

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だが要さんは動けずにいた。
どうして動いてくれないのか分からなかった。

「ごめん、琉架」その一言がとても遠く感じた。
この子を守れないの?

ぎゅっと琉璃を体に寄せると泣き出してしまった。

「うぎゃーうぎゃー」
「あーうるせぇな」
ベッドに近づいてきた。


嫌だ、逃げなきゃ……。

しかし要さんがそれを阻止した。


「それ以上琉架と琉璃に近づいたらいくら契約といえど最終手段に出ますよ」
「あー外にいた紅羽か」

紅羽さん? どうしてそこに紅羽さんが出てくるのか分からなかった。


「琥珀さんお待ちください」
そこに璃亜武が来た。



「なんだ?」
「稚里が望む琉架との番解消はすぐにでも始められます、ですが子どもは暫く琉架の元に置いてくださいとの約束ですよね」


「ああ、そうだったけか?」
ボリボリと頭をかいていた。


「んじゃぁお前らの番解消を見届けてから退散とするか」と言い近くにあった椅子に腰掛けていた。

「あと、病院での喫煙はおやめください」
「ふん、めんどくさいな」

タバコを消していた。

璃亜武がベッド脇まで来た。
「琉架、ごめん、琉璃が産まれてすぐにこんなことになって」
「ううん、琉璃を守れるのであれば大丈夫、ちょっと寂しくなっちゃうけど、でも僕は要さんと生きていくよ」
「うん、複雑だけど……」
「あはは」

琉璃を要さんに託して先生が僕の首に装置をかけた。
装置から少しずつ璃亜武から摂取した体液や血液と薬を混合させたものを僕の体に入れていくみたいだ。


怖い……。でもこの行いでみんなが幸せになるのであれば僕の命なんて、カケラみたいなものだ。

「琉架、生きて戻ってこいよ」
その言葉に大きく目を開いてしまった。
僕の傍には大切な人がいてくれる。


「はい、行ってきます」
笑顔でそう告げ僕は意識を失ってしまった。




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