捨てられΩはどう生きる?

枝浬菰文庫

文字の大きさ
上 下
88 / 195
妊娠編

小鳥遊病院

しおりを挟む
紅羽さんが整理をつけてくれたお陰で病院に行くことにした。

「琉架触れても平気?」
「ひっく……要さんごめんなさい」
とすがりつくように泣いてきた。

俺も優しく抱きしめる。
「琉架、大丈夫、大丈夫だからね」

ゴンに先に電話し小鳥遊病院に向かった。

まさか琉架に好きな人がいたなんて俺も知らなかったし前触れもなくΩになって番が成立してしまうなんて考えもしなかった。

もし本当に番が成立してたなんてことがあればこの先、番になった人と一緒にいないとダメだよな、俺が傍にいる資格なんてないよな、、、。


あれ? でも琉架の好きな人って稚里くんの運命の番じゃなかったっけ??
あの稚里くんがこの状況を許すわけないよな、、、。


病院につき名前を言うと特別室に案内された。
もしかしてゴンの手配済みなのかそれだと助かる。

通されたのは医院長室だった。

へ? まじ。

ゴンがきた。
「要」
「ゴンこれってどういう扱い?」

「琥珀琉架、小鳥遊委員長の息子と知り合いで昔から知っていたみたい、カルテも残ってた」
「そ、そうだったんだ」


医院長がきた。

「初めまして、日暮要さんと、おかえりなさい琉架くん」
「璃亜武のお父さん……」

え!?

「話しは璃亜武から聞いてるよ、まずはΩになったかの検査をしてみよう」
「それと妊娠と番が成立したかもということもお願いできますか?」
「ああ、本当に君と会うのは久しぶりだね、もっと早く会いたかったよ」

「僕もです」
「琉架くんこちらへ」とゴンが連れて行った。
俺も付いていこうとしたが医院長に止められた。


「君と少し話がしたいのだがいいかな?」
「はい」


「琉架くんとはいつから知り合いなのかな?」
「琉架とは……彼が学生の頃から知り合いです」
「学生というと中学生?」
「いえ、高校生の時です」

「どこで知り合ったのかな?」
「あなたは、琉架のことどこまで知っているんですか?」

「逆質問か、いいだろ、琉架くんがここの運ばれてきたのは中学生の時でね、彼には無数の痣と暴行の痕諸々あったよ、何回かここで手術もしたしね、彼は虐待にあっていた、それも高校生に上がれば性虐○をされていた。君のその顔は知ってるという顔だね、ということは彼の父親についてもご存知ということかな?」

「はい」


「それなら話しは割愛させてもらって、琉架くんをどうやってあの父親から救出したのかな?」

「……私は琥珀議員の元部下です、琉架くんとは初めての性行為もしました、そこから彼が気になり始め最後の日ダメ元で取引を持ちかけました。 飽きたからいらないと、でも」

俺はぎゅっと拳を握った。

「でも助からないかもしれない、そんな状況に琉架はいました、大勢の男に嬲られ薬品もたくさん飲まされ体はめちゃくちゃでした、それでも琉架は目を覚ましてくれた、私が少しでもできることがあればしたい。そして彼を愛したい、この先もずっと彼と一緒にいます」


「そんなことがあったんだね、辛い思い出を語ってくれてありがとう」
「いえ」

「君みたいな子が琉架くんの傍にいてくれて良かったよ」
医院長は泣いていた、俺も涙が溢れてきた。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】相談する相手を、間違えました

ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。 自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・ *** 執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。 ただ、それだけです。 *** 他サイトにも、掲載しています。 てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。 *** エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。 ありがとうございました。 *** 閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。 ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*) *** 2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。

【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。

riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。 召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。 しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。 別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。 そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ? 最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる) ※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜

トマトふぁ之助
BL
 某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。  そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。  聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

釣った魚、逃した魚

円玉
BL
瘴気や魔獣の発生に対応するため定期的に行われる召喚の儀で、浄化と治癒の力を持つ神子として召喚された三倉貴史。 王の寵愛を受け後宮に迎え入れられたかに見えたが、後宮入りした後は「釣った魚」状態。 王には放置され、妃達には嫌がらせを受け、使用人達にも蔑ろにされる中、何とか穏便に後宮を去ろうとするが放置していながら縛り付けようとする王。 護衛騎士マクミランと共に逃亡計画を練る。 騎士×神子  攻目線 一見、神子が腹黒そうにみえるかもだけど、実際には全く悪くないです。 どうしても文字数が多くなってしまう癖が有るので『一話2500文字以下!』を目標にした練習作として書いてきたもの。 ムーンライト様でもアップしています。

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

処理中です...