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同棲編
琉架くん?
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お店に戻るとすごい形相の比嘉さんに事情を聞き、専用の鍵でりんちゃんの部屋に入るとそこには琉架くんがいた。
「琉架くん?」
「あ、しー今寝たところなんですよ」
と言いながら外に出た。
「琉架くん、もしかしなくてもだけど」
「あ、僕は傍にいただけですよ」
と返ってきたのでホッとした。
βでもΩの性欲処理はできる、でも琉架くんはそういうのはしてないとは思ったけどでも心配になった。
事務所にに入り比嘉さんに呼ばれたので部屋を変えて話をした。
今回はΩ狙いの客だったこと、最近そういうのが増えていて
αの中でも一夫多妻制度が多いらしい。
1人のΩを大切にするのではなく何人かのΩと番っていらなくなったら番を解消するとかなんともおぞましい話だ。
「そういうことだから、スタッフもだけど監視カメラとαの素性については細かく見ておいた方がいいかもな」
「そうだね」
「ここがそんなやっすい店にしたくないんだろ?」
「うん、Ωを守るってあの時決めたから」
「俺はその考えに同感したんだ、お前も裏切るなよ」
「うん、ありがとう」
「おう、あと琥珀琉架、俺はまだあいつをここに置くことは認めてないから、見張らせてもらうぞ」
「あーうん、本当は優しくしてほしいんだけどね」
「それには時間かかる」
「だよね、比嘉さんがオーナーの時に琥珀さんいろいろやらかしちゃってるから」
話は終わり戻った。
その日の夜
仕事が終わり3階の部屋に移動すると琉架くんがベッドにいなかった。
琉架くんがここに来て数週間は3階の部屋に入らないようにしていたのだが俺はまさかの瞬間を見てしまったのだ。
ガタっという物音に反応したのか琉架くんは部屋の隅っこにいた。
「え? 琉架くんどうした?」
手をのばし、肩を触ろうとすると バッと頭に腕をあげ自分を守る態勢に入ったのだ。
俺は一瞬で理解した。
この子はまだあの家にいると思っているのか、それとも暗闇が怖いのか、そのどちらでもない反応を彼はしたのだ。
「……琉架くん、日暮だよ、触っても平気かな?」
!? ビクリと動いた。
「はぁ……はぁ…日暮さん?」
「そうだよ」
きっと彼の中ではフラッシュバックのように繰り返されているのだろう。
つい最近まで起こっていた自分を苦しめる日常を
今すぐにでも抱きしめて大丈夫だよと言ってあげたい。
今はまだ逆効果だろう。
でも……。
難しい、どうしたらいいのか。
「えっと僕……」すくっと立ち上がりにへらと笑っていた。
その姿に俺は耐えられなかった。
彼の腕を引き寄せ抱きついた。
彼は俺の前ではずっと猫を被っているように笑顔でいた。
どうしてすぐに気づいてあげられなかったのか
どうしてもっと琉架くんの行動を気にしてあげられなかったのか
どうして彼にこんな思いをさせてしまったのか
そう思ってしまった。
抱きついている間も彼の心臓はドクドクと早かった。
怖いのか、緊張しているのか、俺にはわからない。
だから教えてほしい。
そんな勝手な感情を俺はまた彼に押しつけてしまっている。
「琉架くん、怖いことなんてないから、大丈夫だよ」
頭を撫でるもさっきよりも心臓は早い、このままどっか飛んでいきそうだ。
「琉架くん?」
「あ、しー今寝たところなんですよ」
と言いながら外に出た。
「琉架くん、もしかしなくてもだけど」
「あ、僕は傍にいただけですよ」
と返ってきたのでホッとした。
βでもΩの性欲処理はできる、でも琉架くんはそういうのはしてないとは思ったけどでも心配になった。
事務所にに入り比嘉さんに呼ばれたので部屋を変えて話をした。
今回はΩ狙いの客だったこと、最近そういうのが増えていて
αの中でも一夫多妻制度が多いらしい。
1人のΩを大切にするのではなく何人かのΩと番っていらなくなったら番を解消するとかなんともおぞましい話だ。
「そういうことだから、スタッフもだけど監視カメラとαの素性については細かく見ておいた方がいいかもな」
「そうだね」
「ここがそんなやっすい店にしたくないんだろ?」
「うん、Ωを守るってあの時決めたから」
「俺はその考えに同感したんだ、お前も裏切るなよ」
「うん、ありがとう」
「おう、あと琥珀琉架、俺はまだあいつをここに置くことは認めてないから、見張らせてもらうぞ」
「あーうん、本当は優しくしてほしいんだけどね」
「それには時間かかる」
「だよね、比嘉さんがオーナーの時に琥珀さんいろいろやらかしちゃってるから」
話は終わり戻った。
その日の夜
仕事が終わり3階の部屋に移動すると琉架くんがベッドにいなかった。
琉架くんがここに来て数週間は3階の部屋に入らないようにしていたのだが俺はまさかの瞬間を見てしまったのだ。
ガタっという物音に反応したのか琉架くんは部屋の隅っこにいた。
「え? 琉架くんどうした?」
手をのばし、肩を触ろうとすると バッと頭に腕をあげ自分を守る態勢に入ったのだ。
俺は一瞬で理解した。
この子はまだあの家にいると思っているのか、それとも暗闇が怖いのか、そのどちらでもない反応を彼はしたのだ。
「……琉架くん、日暮だよ、触っても平気かな?」
!? ビクリと動いた。
「はぁ……はぁ…日暮さん?」
「そうだよ」
きっと彼の中ではフラッシュバックのように繰り返されているのだろう。
つい最近まで起こっていた自分を苦しめる日常を
今すぐにでも抱きしめて大丈夫だよと言ってあげたい。
今はまだ逆効果だろう。
でも……。
難しい、どうしたらいいのか。
「えっと僕……」すくっと立ち上がりにへらと笑っていた。
その姿に俺は耐えられなかった。
彼の腕を引き寄せ抱きついた。
彼は俺の前ではずっと猫を被っているように笑顔でいた。
どうしてすぐに気づいてあげられなかったのか
どうしてもっと琉架くんの行動を気にしてあげられなかったのか
どうして彼にこんな思いをさせてしまったのか
そう思ってしまった。
抱きついている間も彼の心臓はドクドクと早かった。
怖いのか、緊張しているのか、俺にはわからない。
だから教えてほしい。
そんな勝手な感情を俺はまた彼に押しつけてしまっている。
「琉架くん、怖いことなんてないから、大丈夫だよ」
頭を撫でるもさっきよりも心臓は早い、このままどっか飛んでいきそうだ。
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