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ロック王国物語編
Episode.19
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1階の応接間に行くと
従者であろう者が後ろに立ち
陛下がソファーに座っていた。
「お初にお目にかかります、私リッツ王国第四王子 ユーリ・リッツダムです、この度は私の屋敷に陛下自らご足労頂きありがとうございます」
「ああ、頭をあげて、この度はすまなかった」
「……」
「私の国でしかも私の目が届く者が君の姫を大事に至らしてしまい……なんとお詫びしたらよいか」
……。
シュバルツが後ろでカタカタと音を出していたので
「そのことなのですが姫に迎え入れる予定のΩでして」
「Ω?」
「ええ、アスベル陛下は城内にモアΩを姫候補にされていると城下町で聞きました、ですのでΩについてのお話は問題と思ったのですが……」
「ああ、私の可愛いヒスイもΩだ、ユーリ殿の姫もモアΩなのか?」
「いえ、私のマロンはモアΩではありません、ですがオスカル侯爵殿が投与した薬によって一時的モアになった様子でついさきほど番の儀式を行おうと思いましたがこのことをまだ兄弟達に話していないため番にはしておりません」
「そうか、そうなのか……本当に申し訳ないことをオスカルがしてしまったのだな」
「失礼、私会計士のザスールと申します」
と後ろに立っていた従者が名乗った。
「ザスールどうした?」
「失礼ながらユーリ殿、オスカルはマロン様の中に己の欲望を出されたのでしょうか」
「ええ、調べによると……」
「ザスールよ、モアになっていない時であれば問題ないのではないか?」
「すぐに取り出せばですが、停滞期間などは?」
「発言を失礼します、停滞期間については分かりかねます」
とシュバルツが声を発した。
「…陛下、一度この件はリッツ王国に戻り精密検査をされたほうがいいのではないでしょうか?」
「ああ、そうだな、私の城はダメなのか?」
「隣国の王子を城に招くにはまず第一王子、もしくは国王に許しがないと入城は許されないでしょ」
「では、マロン様だけでも」
「……身の安全が確保できない以上マロン様だけをお預かりするのも……」
「分かりました、それではすぐにでもリッツ王国に戻ります」
「ああ、そのほうがお互い良いかもしれない」
といいザスールと陛下は帰城した。
「シュバルツ、帰城する準備を早急に進めてくれ」
「御意」
「ニナ、君をここに置いていく」
「御意」
「君は唯一のβだからな、ヨハンたちも安心だろ」
「お言葉ですがβもΩのモアには反応してしまいます」
「彼らはまだモアはこない、それにモアになるためにはいくつかの段階を踏まないといけないと聞く」
「左様なのですね」
こちらをちらちらと見ていたヨハンたち
「ヨハンこちらに来なさい」
「はい、ご主人様」
「……マロンがそう呼べと?」
「あ、いえ……その王子ということを知ってしまったので」
とビクビクと震えていた。
これは私からではなくマロンから話をしたほうがいいかな。
「すまない、一度部屋に待機していてもらってもいいか?」
「は、はい」
私もマロンの様子を見に2階に上がった。
ベッドの上ですやすやと眠っている愛しいマロン。
優しく頭に手をのせ、撫でると目をあけた。
「ユーリ?」
「うん、具合はどうだ?」
「うん、だいぶ良くなったよ」
「無理は禁物だぞ」
「うん、ありがとう」
落ち着いている
「なぁマロン、少し話があるのだがいいか?」
「はい」
と言ったが、オスカルの名前を出してよいのか……。
「マロン、一緒にリッツ王国に帰城してくれないか?」
「僕がですか?」
「ああ」
「僕は……ユーリみたいになにも称号や身分などは持っていません、簡単に帰城など……」
「ああ、でも今だけ王子の友人として帰城してほしいんだ」
「Ωの分際でそれが許されるのでしょうか、僕は……」
口を抑えられた。
「それ以上言ったら怒るよ」
「……」
真剣な目に吸い込まれる。
「私は私の愛した者がΩだった、そんなことで見放したりはしない、それにマロンが私のことをそんな腑抜けなやつだったって思ってただけで寂しい」
「そ、そんなことない、ユーリは!! ユーリは奴隷だった僕に自由をくれた、僕は返しきれないほどの恩を頂いてるのに」
ユーリの手を無理に離して言葉を発した。
だってユーリは僕の僕だけの大切な人だもん。
「マロン、だから私は一生をかけてでも君を姫に迎え入れたい」
ベッドから降り片膝を立てマロンの手の甲へキスをした。
「ユーリは僕でいいの?」
「マロンがいいんだ、それ以上私を侮辱するとお仕置きしちゃうぞ」
マロンはぱぁああっと明るくなった。
私はすかさず口づけをした。
2人愛し合う口づけを……。
廊下からちらっと見ていたシュバルツ。
「怒られますよ」
「えーでもあの殿下がですよ、はぁあああー私は今感激のあまり涙が」
「出てませんけどね」
「五月蠅いな!!」
騎士のブラウンとシュバルツは帰城の準備にとりかかった。
従者であろう者が後ろに立ち
陛下がソファーに座っていた。
「お初にお目にかかります、私リッツ王国第四王子 ユーリ・リッツダムです、この度は私の屋敷に陛下自らご足労頂きありがとうございます」
「ああ、頭をあげて、この度はすまなかった」
「……」
「私の国でしかも私の目が届く者が君の姫を大事に至らしてしまい……なんとお詫びしたらよいか」
……。
シュバルツが後ろでカタカタと音を出していたので
「そのことなのですが姫に迎え入れる予定のΩでして」
「Ω?」
「ええ、アスベル陛下は城内にモアΩを姫候補にされていると城下町で聞きました、ですのでΩについてのお話は問題と思ったのですが……」
「ああ、私の可愛いヒスイもΩだ、ユーリ殿の姫もモアΩなのか?」
「いえ、私のマロンはモアΩではありません、ですがオスカル侯爵殿が投与した薬によって一時的モアになった様子でついさきほど番の儀式を行おうと思いましたがこのことをまだ兄弟達に話していないため番にはしておりません」
「そうか、そうなのか……本当に申し訳ないことをオスカルがしてしまったのだな」
「失礼、私会計士のザスールと申します」
と後ろに立っていた従者が名乗った。
「ザスールどうした?」
「失礼ながらユーリ殿、オスカルはマロン様の中に己の欲望を出されたのでしょうか」
「ええ、調べによると……」
「ザスールよ、モアになっていない時であれば問題ないのではないか?」
「すぐに取り出せばですが、停滞期間などは?」
「発言を失礼します、停滞期間については分かりかねます」
とシュバルツが声を発した。
「…陛下、一度この件はリッツ王国に戻り精密検査をされたほうがいいのではないでしょうか?」
「ああ、そうだな、私の城はダメなのか?」
「隣国の王子を城に招くにはまず第一王子、もしくは国王に許しがないと入城は許されないでしょ」
「では、マロン様だけでも」
「……身の安全が確保できない以上マロン様だけをお預かりするのも……」
「分かりました、それではすぐにでもリッツ王国に戻ります」
「ああ、そのほうがお互い良いかもしれない」
といいザスールと陛下は帰城した。
「シュバルツ、帰城する準備を早急に進めてくれ」
「御意」
「ニナ、君をここに置いていく」
「御意」
「君は唯一のβだからな、ヨハンたちも安心だろ」
「お言葉ですがβもΩのモアには反応してしまいます」
「彼らはまだモアはこない、それにモアになるためにはいくつかの段階を踏まないといけないと聞く」
「左様なのですね」
こちらをちらちらと見ていたヨハンたち
「ヨハンこちらに来なさい」
「はい、ご主人様」
「……マロンがそう呼べと?」
「あ、いえ……その王子ということを知ってしまったので」
とビクビクと震えていた。
これは私からではなくマロンから話をしたほうがいいかな。
「すまない、一度部屋に待機していてもらってもいいか?」
「は、はい」
私もマロンの様子を見に2階に上がった。
ベッドの上ですやすやと眠っている愛しいマロン。
優しく頭に手をのせ、撫でると目をあけた。
「ユーリ?」
「うん、具合はどうだ?」
「うん、だいぶ良くなったよ」
「無理は禁物だぞ」
「うん、ありがとう」
落ち着いている
「なぁマロン、少し話があるのだがいいか?」
「はい」
と言ったが、オスカルの名前を出してよいのか……。
「マロン、一緒にリッツ王国に帰城してくれないか?」
「僕がですか?」
「ああ」
「僕は……ユーリみたいになにも称号や身分などは持っていません、簡単に帰城など……」
「ああ、でも今だけ王子の友人として帰城してほしいんだ」
「Ωの分際でそれが許されるのでしょうか、僕は……」
口を抑えられた。
「それ以上言ったら怒るよ」
「……」
真剣な目に吸い込まれる。
「私は私の愛した者がΩだった、そんなことで見放したりはしない、それにマロンが私のことをそんな腑抜けなやつだったって思ってただけで寂しい」
「そ、そんなことない、ユーリは!! ユーリは奴隷だった僕に自由をくれた、僕は返しきれないほどの恩を頂いてるのに」
ユーリの手を無理に離して言葉を発した。
だってユーリは僕の僕だけの大切な人だもん。
「マロン、だから私は一生をかけてでも君を姫に迎え入れたい」
ベッドから降り片膝を立てマロンの手の甲へキスをした。
「ユーリは僕でいいの?」
「マロンがいいんだ、それ以上私を侮辱するとお仕置きしちゃうぞ」
マロンはぱぁああっと明るくなった。
私はすかさず口づけをした。
2人愛し合う口づけを……。
廊下からちらっと見ていたシュバルツ。
「怒られますよ」
「えーでもあの殿下がですよ、はぁあああー私は今感激のあまり涙が」
「出てませんけどね」
「五月蠅いな!!」
騎士のブラウンとシュバルツは帰城の準備にとりかかった。
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