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アーチャオ
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「立てるか?」と手を伸ばされたが
その手はとらずゆっくりと立ち上がるが痛みで意識が飛びそうだ。
「はぁ…はぁ……」
「君宦官? 名前は?」
「僕は……アーチャオだ」
「アーチャオ?」
「ああ」
もちろん偽名だ、ここで名を明かしてしまったら僕が妃でありながら男だということがバレてしまう。
といっても暁諾という名は知らない者が多いが。
「俺はこの鍛冶職人のリーダーである梓睿だ」
「リーダー? 若いのに」
「ああ、元々親の跡継ぎとかでなっただけだ」
「でも梓睿の技量は本物だ、天才と言ってもおかしくない」ともう1人出てきた。
「そうなのか」
「アーチャオ、その瞳……」
と覗き込もうとしたところ帝がこちらに来た。
「なんの騒ぎだ」
ルイハとシャクリが共にいた。
シャクリは相変わらず僕の様子を見て慌てていたが先に言葉を並べたのは帝だった。
こちらをちらっと見るも関係ないというように鍛冶職人の元に向かった。
「陛下……ご足労頂いたにもかかわらずこのようなことになってしまい申し訳ございません」と怒鳴った男は謝罪した。
「このようなとはなんだ?」
「はっ陛下に献上するはずの刀ですがこの者が」
「いっ」
左腕を捕まれ陛下の前でひれ伏すように数人で押さえつけた。
「この者が触れてしまい」
「陛下、心情を抑えてくださいね」
とすかさずルイハが申した。
「ああ」と一言いった、鍛冶屋の男はなにかと首を傾げていたが
「シャクリ、この者を湖陽に」
「御意」
シャクリが僕を支えた瞬間あまりの激痛に気を失ってしまった。
「アー……」
「ごほん」とルイハは咳払いし
「この者の懲罰はこちらで行う、献上する刀は」
「頂いていく」と帝が申したところ鍛冶屋は驚いていた。
さすがにここでゲス者が触ったものだという者はいないが全員が驚いてこの場は収まった。
「陛下は、あの刀でよいのでしょうか?」
「うーん、陛下のお心遣いに感謝するしか」
「梓睿はあの宦官が触ったもので良いというのか?」
「それは……でも」
あの金の瞳、もしかして
「でも、なんだ?」
「いや、陛下が決めたことだ我々が言うことではない、みな仕事に戻ろう」
「ういっす」
昔見た金の瞳の宦官、あの者は生きていたのかと驚いた。
もしアーチャオがその子だとするとルイハ様と陛下はグル?
それともルイハ様だけがこのことを知っているのか。
分からないがもう会うことはないだろう。
だってあの者は湖陽に連れて行かれたのだから。
?
湖陽殿ではなくなぜ湖陽と言った?
たしかあそこは第四位である暁諾様が住む宮なのに。
まさか……な。
「梓睿早くしろ!!」
「ああ」
その手はとらずゆっくりと立ち上がるが痛みで意識が飛びそうだ。
「はぁ…はぁ……」
「君宦官? 名前は?」
「僕は……アーチャオだ」
「アーチャオ?」
「ああ」
もちろん偽名だ、ここで名を明かしてしまったら僕が妃でありながら男だということがバレてしまう。
といっても暁諾という名は知らない者が多いが。
「俺はこの鍛冶職人のリーダーである梓睿だ」
「リーダー? 若いのに」
「ああ、元々親の跡継ぎとかでなっただけだ」
「でも梓睿の技量は本物だ、天才と言ってもおかしくない」ともう1人出てきた。
「そうなのか」
「アーチャオ、その瞳……」
と覗き込もうとしたところ帝がこちらに来た。
「なんの騒ぎだ」
ルイハとシャクリが共にいた。
シャクリは相変わらず僕の様子を見て慌てていたが先に言葉を並べたのは帝だった。
こちらをちらっと見るも関係ないというように鍛冶職人の元に向かった。
「陛下……ご足労頂いたにもかかわらずこのようなことになってしまい申し訳ございません」と怒鳴った男は謝罪した。
「このようなとはなんだ?」
「はっ陛下に献上するはずの刀ですがこの者が」
「いっ」
左腕を捕まれ陛下の前でひれ伏すように数人で押さえつけた。
「この者が触れてしまい」
「陛下、心情を抑えてくださいね」
とすかさずルイハが申した。
「ああ」と一言いった、鍛冶屋の男はなにかと首を傾げていたが
「シャクリ、この者を湖陽に」
「御意」
シャクリが僕を支えた瞬間あまりの激痛に気を失ってしまった。
「アー……」
「ごほん」とルイハは咳払いし
「この者の懲罰はこちらで行う、献上する刀は」
「頂いていく」と帝が申したところ鍛冶屋は驚いていた。
さすがにここでゲス者が触ったものだという者はいないが全員が驚いてこの場は収まった。
「陛下は、あの刀でよいのでしょうか?」
「うーん、陛下のお心遣いに感謝するしか」
「梓睿はあの宦官が触ったもので良いというのか?」
「それは……でも」
あの金の瞳、もしかして
「でも、なんだ?」
「いや、陛下が決めたことだ我々が言うことではない、みな仕事に戻ろう」
「ういっす」
昔見た金の瞳の宦官、あの者は生きていたのかと驚いた。
もしアーチャオがその子だとするとルイハ様と陛下はグル?
それともルイハ様だけがこのことを知っているのか。
分からないがもう会うことはないだろう。
だってあの者は湖陽に連れて行かれたのだから。
?
湖陽殿ではなくなぜ湖陽と言った?
たしかあそこは第四位である暁諾様が住む宮なのに。
まさか……な。
「梓睿早くしろ!!」
「ああ」
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