暗部特殊部隊

枝浬菰文庫

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神永様の箱庭

私は誰だ?

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なぜ公園のベンチなんかに座っているのだろうか。

それに体に違和感がある。

特に下半身だ。

でもなにをしていたのか記憶がない。


携帯を取り出しメールを確認しているとカレンダーに旅行と記載があった。

訳が分からず自分の会社に向かうことにした。


「あれ? 社長ご旅行は?」
と声をかけられた。

私はそうだ、この会社の社長だ。

「旅行……」

「どうしたんですか? まさか時差ボケとかですか??」


「いや……楽しかった気がする」
「大丈夫ですか??」


「ああ……」
なぜだ、なぜなにも思い出せない。
私にとっては昨日会社を出た気がするのにみなにとっては数週間経っているようだ。


「悪い、私は何日旅行に行っていた?」

「えっと確か今日で5日目になります、たしか1ヶ月のお休みでしたよね??」

「……そんなにか」
浮かれていたのか分からない。

「社長? どうされたのですか?」


分からない。分からない。分からない。分からない。分からない。

ぐらっと私は倒れた。


みなの心配する声が遠くで聞こえた。


-----------------------------------
「そうなのです、ここ神永様の箱庭というのはとある契約をしないと記憶が消されてしまう施しがされています、契約をされていない方は記憶喪失にそして契約をされている方は特別な扱いをする、これが神永様の箱庭なのです。

まぁもちろん契約条件は高額にはなりますが一生を手に入れられるとしたら迷わず神永と契約をする者が多い。

そしてこの細工を作ったのは例のとある人物、もうそろそろ訪れるでしょう」
-----------------------------------

モニター室
「神永様、花咲様がお見えになっています」
「ああ、やっと来たか私の美しい花」

応接間に行くと花咲は腰掛けていた。

「やぁご足労いただき感謝するよ」
こちらを見るときの表情は少し怒っているようだった。


「神永、これはどういうことだ?」
資料を見せられた。

「ああ、これは自業自得だよ」

「……どうせあんたの仕業なんだろ?」

「酷いな、言ってるじゃないか、自業自得だって」

「検死による死因はAIDSだったが」
「あー彼のことかな? ラッキーセブン」

「ふざけているのか!!」
「ふざけてないけど、その顔もそそるね」

私は花咲の顔を撫でた。
が手で振り払われ。


「いい加減にしてください、あなたはいちを私の監視下にあること忘れないでくださいね」
「分かっていますよ」

「それでもう一つ裕太くんの状態を教えてください」

「ふふっ」

「なんです?」
「君がこちら側に来てくれたらこんな様子見なんてしなくてもよいのになぁ~って考えただけです」

「……それは……私にはどうしようもできないことなので答えは控えさせていただきます」

「残念、まぁまた議長殿の顔色を伺いながら楽しませてもらいましょうね」

「……」

なにも言わない花咲を見るのも私は好きなんだ。


美しく凜々しい顔は全部飲み込んでしまいたくなるほど。

「では一度裕太くんの様子を見させてください」

「はい、こちらに」
と案内した。


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