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小野寺拓巳の物語
大嫌いなあの人
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スカイツリーにつき
入場券などを購入した。
「ウィルさん、こちらのエレベーターから上に登りましょう」
「OK」
急に全ての会話が英語になった。
「ここでは英語にしよ、君とはいろいろと話したいから……というか君英語平気?」
「問題ありません」
ウィル様の英語かなり高度だ、一般市民や観光に訪れている外国人に分からないようにするためだろうな。
「小野寺くんって翔太さんのこと嫌いでしょ」と言ってきた。
え?
「えっと……どうしてですか?」
「だいたいの人は翔太さんの話になると目を輝かせたり少し赤くなったりみんな面白い特徴が見えるんだけど小野寺くんにはそれがないからそうなのかなと思って」
あー、たしかに俺には花咲さんのことなんてどうでもいい、むしろ話しを振らないでほしい。
絶対といっていいほど花咲さんの話が俺にはくる。
本当にうざい。
「なるほど、顔に出ていましたか、申し訳ない」
「どうして謝るんですか?」
「ウィルさんは花咲さんのこと大好きですよね」
「うん、俺にとって憧れの人だから、それに彼は国も救ってくれたからなにを言われても翔太さんの味方なんだ」
国を救う……。
そんな話しを俺は知らない。
でもそれとあれとでは話しが違う。
「そうなのですね、それは憧れてしまいますね」
笑顔で返事をしたつもりだった。
「小野寺くんにとっては嫌いな人なんだね、でも大丈夫だよ! 俺はそんな小野寺くんも好きだから」
……。
この方には嘘は通じないと悟った。
「では、この話しは終わりにして東京観光を楽しみましょう」
「うん、というか翔太さん俺の護衛よりも重大な任務ってなんなんだろうね」
「私は特になにも聞いていませんが、花咲さんはご存知の通り引っ張りだこなので」
「そうだね、彼はどこにいてもいつも忙しい……」
「ウィルさん?」
「さてと! 次は美味しい物でも食べるぞ!!」といいエレベーターに向かっていった。
不思議な人だ。
あの人のことをどこまで知っているのだろうか。
俺が目を瞑ってきたあの人の経歴をきっとウィル様は知っている。
大学を卒業して一般で岩崎隊に入隊した、異例の軍人。
それが俺だ。
優秀な成績と肉体・身体的な成績、どれも問題はなかった。
しかし花咲隊に入隊するにはもっと特化したなにかがないと入隊はできない。
だから俺は暗部部隊を離れた。
あの人の元で裕太の安否を知りたかったから。
ただそれだけのはずだった。
それだけだからきっと入隊できなかったのであろう。
花咲さんから言われた最後の言葉、【小野寺、君は優しすぎる、ここでは君の本領を発揮できないよ】という言葉だった。
分かってる、何事にも捕らわれない考えを持たないといけないということを……。
ウィル様の後をついていった。
俺はここにいるだけの存在。
入場券などを購入した。
「ウィルさん、こちらのエレベーターから上に登りましょう」
「OK」
急に全ての会話が英語になった。
「ここでは英語にしよ、君とはいろいろと話したいから……というか君英語平気?」
「問題ありません」
ウィル様の英語かなり高度だ、一般市民や観光に訪れている外国人に分からないようにするためだろうな。
「小野寺くんって翔太さんのこと嫌いでしょ」と言ってきた。
え?
「えっと……どうしてですか?」
「だいたいの人は翔太さんの話になると目を輝かせたり少し赤くなったりみんな面白い特徴が見えるんだけど小野寺くんにはそれがないからそうなのかなと思って」
あー、たしかに俺には花咲さんのことなんてどうでもいい、むしろ話しを振らないでほしい。
絶対といっていいほど花咲さんの話が俺にはくる。
本当にうざい。
「なるほど、顔に出ていましたか、申し訳ない」
「どうして謝るんですか?」
「ウィルさんは花咲さんのこと大好きですよね」
「うん、俺にとって憧れの人だから、それに彼は国も救ってくれたからなにを言われても翔太さんの味方なんだ」
国を救う……。
そんな話しを俺は知らない。
でもそれとあれとでは話しが違う。
「そうなのですね、それは憧れてしまいますね」
笑顔で返事をしたつもりだった。
「小野寺くんにとっては嫌いな人なんだね、でも大丈夫だよ! 俺はそんな小野寺くんも好きだから」
……。
この方には嘘は通じないと悟った。
「では、この話しは終わりにして東京観光を楽しみましょう」
「うん、というか翔太さん俺の護衛よりも重大な任務ってなんなんだろうね」
「私は特になにも聞いていませんが、花咲さんはご存知の通り引っ張りだこなので」
「そうだね、彼はどこにいてもいつも忙しい……」
「ウィルさん?」
「さてと! 次は美味しい物でも食べるぞ!!」といいエレベーターに向かっていった。
不思議な人だ。
あの人のことをどこまで知っているのだろうか。
俺が目を瞑ってきたあの人の経歴をきっとウィル様は知っている。
大学を卒業して一般で岩崎隊に入隊した、異例の軍人。
それが俺だ。
優秀な成績と肉体・身体的な成績、どれも問題はなかった。
しかし花咲隊に入隊するにはもっと特化したなにかがないと入隊はできない。
だから俺は暗部部隊を離れた。
あの人の元で裕太の安否を知りたかったから。
ただそれだけのはずだった。
それだけだからきっと入隊できなかったのであろう。
花咲さんから言われた最後の言葉、【小野寺、君は優しすぎる、ここでは君の本領を発揮できないよ】という言葉だった。
分かってる、何事にも捕らわれない考えを持たないといけないということを……。
ウィル様の後をついていった。
俺はここにいるだけの存在。
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