向日葵と先生と僕

枝浬菰

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不意打ち告白

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きっと小島先生がなにかやってくれたのかもしれない。
今度お礼を言いに行かないと。
といっても僕の存在を全否定されたのは少し胸が痛むけど。

仕方のないこと、ここで逆にうじうじしていたらダメだ。


次の日
朝当番の花壇に水やりをしていると廊下側の窓から
「先輩…おはよう」
「!?」

振り向くと昨日の男の人がいた。
「あ、…おはよう」

「先輩…って朝早いの?」
敬語じゃないよね、昨日のチンピラもだったけど

「うん、そうだよ」
僕に敬語、羨むなんてないか、僕はαより下の人間なんだから。

「えっと、名前なんていうの?」
「俺は松本翔平だよ」

「松本くんか、えっと僕は」
「知ってる2-Sの朝比奈陽向先輩…でしょ」

「あ、うんよく知ってるね」
「だって先輩…有名だもん」

「え? どんな?」
「美少年でαで、めっちゃ優秀で先生の代わりに授業とかえできちゃうって」
「へ…へぇーそんな噂あるんだ」

「うん」

なにか分からないけど、甘く言葉が発せられる。
「昨日は大丈夫だった?」

「え?」

「通報したの、俺なんだ」

「あ、そうだったんだ、大丈夫だよ、ありがとう」

「そっか、よかった」
「先輩…てさもしかして園芸部顧問と付き合ってるの?」

ドキっ  え? 見られた?

「俺あのマンションの向かいの家に住んでるんだけど、去年辺りから先輩見かけてた、先輩…の家かと思ってたんだけどさ先生の出入りのほうが多くてさもしこれが学校にバレたら…」

僕は咄嗟に松本くんの口を手で塞いでいた。

「むぐっ」

ぺろっと舌が掌を舐めたので引っ込めようとしたら
それを捕まれ指1本1本舐められる。
「ちょっ…」

「先輩…俺…」
「あ! 陽向!! おはよう」
3階の職員室から元気に手を振ってくる先生。

振り返さないと…。

でも正面の男の顔が熱く今にも発情期を迎えてしまいそう。

「あれ? 陽向?」

ぺこりと挨拶して僕は窓際によった。
窓際によることで先生からは見えなくなる構造になっているからだ。

「手離してください」
「いや、先輩…先輩…」
と何度も優しく呼びかけられる。

松本くんはまだ僕がΩってことを知らない。

知らないけど、こういう行為はドキドキしちゃう。

「先輩…俺…先輩…が好き」
ぼっと顔が爆発した。

顔真っ赤になってガタガタと震え、持っていたジョウロの水を松本くんにかけカバンを持ってクラスに駆け込んだ。

うわぁあああああ!! なに!! どうなってんだよ!!!

「あれ? おはよう陽向ってどうした?」
「顔真っ赤だぞ」

「ううぅ…なんでもない」
カバンで顔を隠した。

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