向日葵と先生と僕

枝浬菰

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夏が終わる

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沈黙する2人

「小島先生は陽向…朝比奈のこと知ってたんですか?」
「はい、彼よく保健室に来るんですよ、ずっと気になっててある時発情期がきました、もちろん朝に薬は飲んでいたと言っていて、もしかして誰かに恋をしているか? と尋ねたところyesと答えていた、発情期ってそういうのも関わってくるんですよ、辛いですよね」

「たしか先生はβですよね?」

「そうです、この学校特進科あるわりにβの教師多いですよね、なんというか惨めになったりしますよね」

「……そうですね、じゃぁもう朝比奈がΩってことも?」

「はい知ってます」
「でもたしか提出の書類にはαって」

「それも朝比奈のご家族に聞きました、彼はαとして育ててきた、結果はどうであれαと同じくらいのことができないとダメだとしつこく言われていたため学校でもそのような素振り一つ見せずやってきたんでしょうね」

「だからさっき引き取らないと言ってたんですね」
「はい、彼を守れるのは私たち教師だけなんだと思います、なので櫻井先生もできるかぎり彼に協力してあげてください」

「……わかりました」
今この状況を作り出してしまったのは間違いなく俺だ。

陽向の大切な向日葵を無くし、拠り所であったものを奪われた。
それも強制的に…もしこのことがバレたらもう俺の元に彼はこない。

ってことだよな、隠し通さないと。


夏が終わり秋がきた。
花壇にはコスモスが咲いていた。

朝から世話をしている陽向と目が合い、にこっと笑顔で返してくる。
初めて陽向を抱いた日
「なかったことにしてください」と彼は告げた。

「俺も事故ってことにしておくよ」

「はい」
と掛け布団を強く握ったのは俺が告白するタイミングだったのか。

また彼を傷つけてしまったのか。

それはわからない。
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先生に抱かれた。
愛しの先生に、優しく、どこか切なく。
なにを考えている顔なの?

僕のこと先生も好き?

生徒に手出さないって言ってたのウソじゃん、でも仕方ないよね、僕がΩだから。
自分をコントロールしないといけないのに。
大好きな向日葵を傷つけてしまったのは、先生だよね、知ってるよ、だって職員室から顔出す先生っていつも僕しか見てないよね、向日葵のこと全然考えてないよね、先生の心は傷ついているの?

向日葵が無くなって嬉しいの?

僕は先生との繋がりを無くされて寂しいよ。
もうすぐ夏が終わるね、秋はコスモスだよ、コスモスの花言葉って

【優美、純潔、調和、乙女の愛情、自然美、幼い恋心、恋の思い出、移り変わらぬ気持ち】
色によって変わるけど、先生はどれかな?

僕はきっと恋の思い出が強いかな。
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