遅発性Ω

枝浬菰

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航平の物語

恭平さんと航平はどこか似ている

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夜帰宅する人で賑わう
桜並木の通りに面した一軒家で3人は暮らしていた。

「ぽっぽっぽー はと ぽっぽー」

「航平お歌上手だね」

家には俺と航平がお父さんの帰りを待っていた。

床に寝ころびながら歌を歌っている航平と
夕食の準備を進めている。

「お母さん、はとぽっぽの歌知ってる?」

「お母さんチューリップの曲しか分からないかもしれない」

「そうなんだ」
「どこで教えてもらったの?」
「幼稚園ではとさんがぽっぽーって鳴いてたの、そしたら園長先生がぽっぽっぽー はと ぽっぽーって言ったの」

「そうだったんだ」

航平の元に行きよしよしと頭を撫でる。
子供の髪の毛ってさらさらしてて気持ちいんだよね。

「ねぇ、お母さんちゅーしてもいい?」

「え? ちゅーするの?」
「うん、だってお父さんとよくしてたじゃん」

子供ってよく見てるな。

「だから僕もしたい」
と抱き着いてきた。

バランスが崩れ床に寝っ転がり航平に唇を奪われる瞬間。

「あぶっなー」と航平を抱きかかえた。

「あ、恭平さん」

「航平なにしてるんだ? もしかして航に惚れる日が来てしまうなんて」

「ちょっ何言ってるの?」

そう航平のお父さんである恭平さんが仕事から帰ってきた。


「おかえりなさい」
「おう、ただいま」

「お父さん、離して!! 惚れるってなに?」
「航平にはまだ早い」

「えー」
ぶすーと膨れてしまった。

「お父さんも帰ってきたし、夕ご飯にしましょ」
「じゃ俺着替えてくるわ」

「はい、航平お席について」

航平を席に座らせた瞬間頬との高さが一緒になりキスをされた。
「あ、ウフフされちゃった」

「お母さんの頬っぺた柔らかくて好き!!」

食卓で騒いでいたので恭平さんが慌てて戻ってきた。


「航平!! 抜け駆けは許さないぞ!!」
「こら、恭平さん子供相手に情けないですよ……わっ!?」
腕を掴まれキスをされた、しかも濃厚なほう。

「んっ」
「航平、これが大人なキスだ」

「お父さん!! 僕にもして!!」
「いいぞ」

と2人仲良くキス大会を始めたのでそのうちにテーブルにご飯を並べ始めた。


「ゲホゲホ、お父さん汚い」
「え!? 汚くないぞ」

「だって、ベロ入ってきた」
会話が面白くてついつい笑ってしまう。

「ふふっ」
その様子を2人に見られ恥ずかしがりながらクリームシチューをお皿に盛った。
「なんかこれ航のせ……むぐっ」

「せってなに?」
スプーンでシチューを口に入れながら質問してきた。

じとーと恭平さんを睨む。

「せはだな、せ……せい……むぐっ」

「航平、せはね、先生が作ったシチューに似てるねってお父さんは言いたかったんだよね」
全然話まとまってないけど、きっと航平は

「へぇー」だけで終わった、ふぅー。

きっと睨む。

まったく最近の恭平さんは航平と俺の取り合いしてるし……。
少し扱いに困ってしまう。
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