遅発性Ω

枝浬菰

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第三章

3年後

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3歳になった、航平は少しずつだが言葉を覚えてきた。
最初に口にしたのが「しゅぎすぎちゃん」だったのが面白すぎた、少し嫉妬してしまう。

杉本さんのお子さんが13歳になり、名を祐樹ゆうきくんといい、2人で遊ぶことが多くなった。

きっと華さんと家に遊びにきたとき、杉本さんのことを杉ちゃんというので、覚えたのかもしれない。

航平が4歳になって、幼稚園に馴れてきたら、仕事に復帰しようと思う。
それまでは傍にいて見守ることに。

恭平さんは義父のいつきさんと仕事をしている。
羽衣家は昔からSPや護衛の仕事を主にしていて、語学が堪能な恭平さんは外交官を護衛する仕事を任せられていた。

危険な仕事でもあるが恭平さんにとっては家を継ぐことに思いを寄せているので俺の勝手な思い込みで恭平さんを揺さぶってはいけない。

土曜日
「お母さん、おもちゃ」
「うん」

おもちゃを渡された。
「ありがとう」
今は積み木を積み上げて遊んでいる。

俺には今悩み事がある。
それは、幼稚園に通う、保護者の方との付き合い方だ……。
Ωの男というだけで、言葉すらかけられない、その上、航平にも友達ができない……。

俺のせい…だよな……。

航平は大きく育ってくれてうれしい気持ちでいっぱいなはずなのに、胸が痛い。


「航平……ごめんね」
「ん?」
理解できていない顔がこちらを向いていた。

「ただいま」
「お父さんだ!!」
バタバタと玄関に走っていく。

「おかえりなさい!!」
「おお! 大きな声でお出迎えなんて嬉しいな」

と抱き上げた。

「いひひっ」
「おかえり、夕食の支度するから待ってて」
「おう、って航、具合悪い? 大丈夫か?」

「大丈夫だよ」

「お父さん!! お風呂入ろ!!」
「そうだな、先に入ってもいいか?」

「うん、お願いします」
航平と恭平さんはお風呂場に向かう。

体をさすりながら、「ダメだな、しっかりしないと」
と自分に言い聞かせた。

お風呂場
「はーい、目つぶって」
ザパーンとお湯がかかる。

「ぷはっ、洗えた」
「航平、偉いな」

「いひっ」
湯舟に浸かりながら
「ねぇ、お父さん」

「ん? どうした」
「最近、お母さんとお話してる?」

「話?」
「うん、なんかお母さん、1人ぼっちな感じがしたの」

「……1人ぼっちなのか?」
「うん」

ちゃぷちゃぷと水面を叩いていた。
「それはお母さんが言ったの?」
「ううん、でもおもちゃで遊んでるときにごめんねって言われて、なんだろうって思ったの」

「ごめんか……ちょっと話してみるよ」
「うん」

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