小さな怪獸

枝浬菰

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過去編:小学校入学式

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小学校時代~1年生~

この日もお母さんに見て欲しくて言葉を投げかけていた

「お母さん見て!! 似合う?」
静香は洗濯物を干しているお母さんの元に駆け寄る。今日が入学式
「はぁー、今忙しいの後にしてくれる?」

「えー今日13時からだよーお父さんも来てくれるよね?」
「お父さんはいつも忙しいでしょ」


そう静香のお父さんは月に1~2度くらいしか帰ってこない仕事をしていた。


「だってこのいだお父さんと約束したもん、絶対来るもん」
「じゃぁお父さんが来てくれるなら私は行かなくていいのよね」
洗濯物を干しながらきっぱりと行かないこと伝えた。

「え!? お母さん来てくれないの?」
静香は悲しそうな顔をする。

「だって昨日からお父さんお父さんて言ってるじゃない」
「でもお父さん来るか分かんないんでしょ? お母さん来てよ」
「もう小学生なんだから1人で行けるでしょお母さん忙しいの」


静香はランドセルをおろし
「じゃぁ僕今日行かない」
「それはいけない、1人で行きなさい」
「ヤダ!!」


「どうしても言う事聞かないなら叩くわよ」
「ヤダ!なん…」
なんでと言いかけた時

バチン 頭に衝撃がかかった。

「痛い…う…うぇーん」

「黙れ、ダマレ……」

また叩く 叩かれるのが怖くなり一言も話さなくなった。
そして

入学式の時間になり静香は1人家を出た時、
隣の家では家族と写真を撮っている人がいた。


2週間前に引越ししてきた
油目良だった。
家も大きくて笑顔で溢れているという印象。
静香はぼーと見ていると

「もしかして君も1年生?」
と良が声をかけてきた。

静香は良の言葉を無視して学校の方に歩き始めた。

「良ちゃんどうしたの? 写真撮るわよ」
祖母が来て伝える。

「うん」(変な子)

そうこの頃はまだ良と静香は友達でも話し相手でもなかった。



入学式
校庭や門の前で写真を撮っている家族の間を抜け静香は1人日陰で休む。
桜がひらひらと舞い落ちる中
(いいな…… みんなお母さんとお父さんと一緒に撮ってる、どうして僕は一人なの?)


それから校舎ぐるぐる回っていたら
「君は1年生だねお名前なんていうの?」
校内を巡回していた先生が話かけてきてくれた。

「僕、大和静香」
「大和さんだね」
(男の格好なんて変わった趣味だな)

そうこの小学生時代の静香も美少年すぎて女の子と間違われてしまうほど可愛いかった。

「お母さんは今日来てる?」
静香は一瞬悲しそうな顔をしたが満面の笑顔で
「後でくる」と言った。

先生はなぜかハートの心臓に矢が刺さってしまった。
(落ち着け俺、この子可愛すぎる)
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