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第一章:神の暇つぶし
77話ー【殺人事件の謎】宝の地図はバラ色です
しおりを挟む後ろから倒れた樹の手を蒼が取って起こすと、それぞれが探索結果の報告を始めた。
陽葵と綾華は、クローゼットとタンス、そしてベッドにも何も無かったことを伝えているため、聞き専だ。
「まずは俺から。俺は写真立てを調べたんだが、コレ、見てくれ」
蒼は例の写真立ての裏側を見せる。
「ここにさ、プレゼントとした時の奈津子の年齢と、その誕生日が書いてあるだろ?写真立てで写真以外の要素、これが初めてなんだよ……何かのヒントっぽくね?」
「んー……そうだね。メタいけど、わざわざ書いてあるってことは、何かのヒントだと思う……まぁ、今は分からないけどね」
「なら、保留かしら?」
「うん、それで良いと思う。よし蒼、それもポケットに入れといてね!!」
「またかよ……」
蒼が写真立てを閉じてポケットに入れると、次は樹が探索結果を報告する。
「じゃあ、次は僕だね。僕は二つあって、一つ目がコレ」
樹は例の遺書を先に見せた。
そして、それを読み上げる。
「愛する家族達へ。私は過ちを犯してしまった。それはもう、償うことが出来ないほど大きくて。自ら命を絶つ以外に他ない。まだ若い妻を置いて先に逝くことを許しておくれ。私の遺産は皆で分けてくれると嬉しい。由紀子達は家族も同然なのだから。西園寺俊夫。だって」
遺書の内容に四人は思わず苦笑いを浮かべる。
「これは……ひでぇな……」
「他殺の可能性が高い中でコレかぁ……凄いね……」
「それで、樹はコレをどう思ってるの?」
「ん?うん、僕はね。コレを偽造だと思ってるよ」
「やっぱりね……でもコレ、今のところは要素になり得ないわよね…………そー言えば樹は、二つあるって言っていたけれど、次は何かしら?」
「ちょっと待ってね。はい、コレ」
樹は遺書と二枚重ねした、例の信号機の紙を見せた。
それを見た三人は難しい顔をして、頭を悩ませる。
「「「信号機かな?」」」
「そう思うよね……僕もさ、そう思った。でもさ、信号機って赤と青逆なんだよね……」
「ん?そうだっけ?…………そうかも?」
「それでさ、僕、考えてみたんだけど……これと同じ色、心当たりあるんだよね……」
「「「マジ?」」」
「う、うん……それがさ……」
信号機以外の赤と黄と青。
それは四人が見た物であった。
そう、それは……
「庭に埋められていたバラの色なんだけど」
「「「……………………天才か?」」」
「つまりさ、この❌印って……所謂、宝のありかなんじゃないか?」
「赤いバラの下に何かがあるってこと?」
「多分……」
「今から行く?」
「いや……これは後でにしよう。まだ一つ、行ってないところがあるだろ?」
「そうだね」
「「「「俊夫の部屋に行こう」」」」
四人がこの部屋で得たヒントは三つ。
一つ、奈津子の誕生日とプレゼントを受け取った歳。
二つ、宝の地図。
三つ、偽装と思われる遺書。
四人が鬨の声をあげると、冬華が微笑む。
「それでは探偵の皆様。最後のお部屋にご案内致します」
そして五人は、奈津子の部屋から出たのであった。
―――
【死体の状態】
〇縄に首を吊られた状態
〇頭が膨張しており、顔が赤黒くなっている
〇首が伸びて黒くなってる
〇死斑が中毒性を示す赤色
※自殺に見立てた他殺。一酸化炭素中毒と青酸中毒での毒殺の可能性あり
【写真から見た現場】
〇部屋の窓が閉まっており密室状態
〇争った形跡もなく部屋は綺麗だ
〇パソコンと本が入っている本棚がある
【登場人物】
〇西園寺 奈津子(30歳)
▶︎被害者の妻
▶︎豪華な装いを着ている
〇西園寺 俊夫(32歳)
▶︎被害者
▶︎奈津子の夫
〇西条 由紀子(38歳)
▶︎中年女性のメイド
▶︎冬華の母
〇西条 冬華(18歳)
▶︎女子のメイド
▶︎冬華の娘
【探索エリア】
『外』
○家庭菜園場
▶︎ キャベツやトマトなどの野菜が植えられている
○花壇
▶︎ バラ(赤黄青)やラベンダーなどの花が植えられている
▶︎ 踏みつけられてボロボロなラベンダー
(愛がボロボロだから?)
○倉庫
▶︎使われて少なくなっている農薬
▶︎土が付着しているスコップ
▶︎様々な植物の種
▶︎肥料
『一階』
○調理室
▶︎冷蔵庫
・家庭菜園で採れた野菜
・魚
・肉
・調味料
▶︎水面台
▶︎食器
▶︎包丁(錆なし)
○ダイニングホール
▶︎大きなテーブル
▶︎三つしかない椅子(左奥だけ無い)
▶︎豪華な時計(6時45分13秒で止まっている)
▶︎シャンデリア
○談話室
▶︎カレンダー(7月)
▶︎本棚
・7月27日の新聞紙が見つかる
▶︎枯れたラベンダーの花瓶
(俊夫への愛が枯れた?)
○由紀子の部屋
▶︎ベッド
▶︎タンス
・下着
▶︎クローゼット
・メイド服
・私服
▶︎二つの写真立て
・冬華とのツーショット写真
・奈津子とのツーショット写真
(仲の良い人との写真?)
▶︎黄色いユリの花瓶と黄色いバラの花瓶
(俊夫への憎悪と、冬華か奈津子への思いやり?)
▶︎本棚(花図鑑)
・赤いバラは情熱や愛情
・黄色いバラは幸福や思いやり、嫉妬
・青いバラは可能性
・ラベンダーは幸せや期待、貴方を待っています
・黄色いユリは憎悪
○冬華の部屋
▶︎ベッド
▶︎タンス
・下着
▶︎クローゼット
・私服
・メイド服
▶︎本棚
・お料理系統の本
▶︎ぬいぐるみ
(由紀子から貰ったプレゼント)
▶︎由紀子とツーショットの写真立て
▶︎青いバラの花瓶
『二階』
○奈津子の部屋
▶︎ベッド
▶︎机の上
・遺書がある
▶︎机の引き出し
・紙が見つかる
赤―黄ー青
❌
▶︎黄色のバラの花瓶
▶︎クローゼット
・私服
▶︎タンス
・下着
▶︎俊夫とのツーショット写真の写真立て
・写真立ての裏には「22歳の誕生日おめでとう、奈津子。12/21」と書かれている
▶︎由紀子とのツーショット写真
『遺書』
愛する家族達へ。
私は過ちを犯してしまった。
それはもう、償うことが出来ないほど大きくて。
自ら命を絶つ以外に他ない。
まだ若い妻を置いて先に逝くことを許しておくれ。
私の遺産は皆で分けてくれると嬉しい。
由紀子達は家族も同然なのだから。
西園寺俊夫。
○俊夫の部屋
▶︎パソコン
▶︎本棚
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