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第一章:神の暇つぶし
74話ー【殺人事件の謎】花言葉と犯人推理
しおりを挟む花言葉を知った三人は間抜けな声を出し、何かを熟考している。
「まずはさ、ボロボロに踏みつけられてたラベンダーなんだけど……ラベンダーって、幸せや期待、貴方のことを待っています。って言う……簡単に言うと、愛に関する花言葉じゃん?」
「うん、そうだね」
「てことはさ、ラベンダーがボロボロって……愛がボロボロってことなんじゃないか?」
「そうね……もっと言うなら、踏み付けられてボロボロなのだから、相手に愛情を踏み付けられて……って風にも取れないかしら?」
「まとめると、相手に愛情を踏み付けられて、相手への愛情もボロボロ。って感じかな?だとするとさ、ラベンダーを踏み付けたのは奈津子かな?」
「うん、そうだと思う。つまり、この事件の犯人は奈津子の可能性が高い」
「「「せやな」」」
犯人が奈津子だと推理した四人は、ある矛盾に気づく。
「ん?待てよ……じゃあさ、何でココに、黄色い百合があるんだ?」
「確かに……そういえば黄色いユリってさ、花言葉が憎悪だったよね?てことはさ単純に考えて、この部屋の持ち主の由紀子は、誰かに憎悪してることにならない?」
「次いでに黄色いバラがあるから、誰かに対する幸福や思いやり、嫉妬をしてる可能性もあるわね」
「あー……綾華、それなんだけどさ、俺の探索結果が大事かもしれない。こっち来て」
何かを考えていた蒼が他の三人に手招きすると、写真立ての方へと歩を進めた。
写真立ては、二つ並んである。
一つが、奈津子と由紀子のツーショット写真で。
もう一つが、冬華と由紀子のツーショット写真だ。
その二つの写真を持った蒼は、他の三人に見せるようにして説明を始める。
「この二つの写真なんだけどさ、どっちも仲が良さそうに見えないか?」
「「「確かに」」」
「どっちの写真も、皆笑顔ね……」
「めちゃくちゃ仲良しじゃん」
「んー……冬華さん、一応だけど、由紀子さんと奈津子さんって仲良いの?冬華さんは由紀子さんとの親子仲はどう?」
「え、えぇ、そうですね……お母さんと奥様は昔から仲良しだったと聞いていますし、私の方も親子中は良好です。まぁ!奥様より私の方がお母さんと仲良しですけどね!」
「「「「そ、そっかあ……」」」」
「コホンッ……とまあ、良好らしいからね。つまりはさこの写真って、まだ断定は出来ないけど、仲の良い人とのツーショット写真なんじゃない?まだ断定は出来ないけどね?」
蒼は写真を置いて床の絨毯に座ると、樹も床に座り、他の女子三人はベッドに座った。
「てことは……俊夫とは、あまり仲が良くなかった……そういうことになるよね」
「そうなるわね。あと、黄色いバラへの考察なのだけれど、今回は嫉妬じゃないと思うわね。って言うのも、仲が良い相手に嫉妬するかしら?そりゃあ、するかもしれないけれど、今回は殺人までに発展している。それに、花が一つにつき一人に対してだと考えるなら、俊夫に対して憎悪と嫉妬は無い筈……」
「つまり?」
「つまり、俊夫に愛を踏み躙られて怒った奈津子が殺害したのではなくて。冬華か奈津子に思いやりを抱いた由紀子が、何かしらの形で憎悪した俊夫を殺害した。この可能性があるってこと。プラスで言えば、談話室の枯れたラベンダーは、愛が枯れたってことじゃないかしら」
「んー…………少なからず、どっちが犯人かは断定出来ないかな。強いて言えば、冬華が犯人の可能性が今のところ無いことくらい」
「まぁそうだな、今のところは奈津子と由紀子の二択。もしかしたら共犯かもしれないけど」
「「「エグ……」」」
「まぁ、共犯でも分からなくは無いか……別に、無い話じゃない」
「そうだね。とりあえず、この部屋での収穫をまとめない?もう、見るものないじゃん?」
「OK、じゃあ俺が。一番大きいのが花の図鑑。次に、写真は仲の良い人とのツーショットである可能性。そして図鑑の花言葉から、奈津子と由紀子のどちらかが犯人である可能性、または、共犯である可能性が生じた。どちらにせよ、奈津子の俊夫への愛が絡んでいる。冬華は犯人である可能性が低い。こんな感じか?」
「そんな感じだと思う。今後の方針的としては、花と写真に注目しつつ、奈津子さんと由紀子さんが犯人である可能性が高いとして調査する……かな?」
「ここの部屋でのこともまとまったし、次に行くか」
五人は立ち上がり、拳を付き合わせてグータッチする。
「「「あいよ」」」
四人はこの情報を胸に秘めつつ、次のヒントへと歩を進めるのであった。
ーーー
【死体の状態】
〇縄に首を吊られた状態
〇頭が膨張しており、顔が赤黒くなっている
〇首が伸びて黒くなってる
〇死斑が中毒性を示す赤色
※自殺に見立てた他殺。一酸化炭素中毒と青酸中毒での毒殺の可能性あり
【写真から見た現場】
〇部屋の窓が閉まっており密室状態
〇争った形跡もなく部屋は綺麗だ
〇パソコンと本が入っている本棚がある
【登場人物】
〇西園寺 奈津子(30歳)
▶︎被害者の妻
▶︎豪華な装いを着ている
〇西園寺 俊夫(32歳)
▶︎被害者
▶︎奈津子の夫
〇西条 由紀子(38歳)
▶︎中年女性のメイド
▶︎冬華の母
〇西条 冬華(18歳)
▶︎女子のメイド
▶︎冬華の娘
【探索エリア】
『外』
○家庭菜園場
▶︎ キャベツやトマトなどの野菜が植えられている
○花壇
▶︎ バラ(赤黄青)やラベンダーなどの花が植えられている
▶︎ 踏みつけられてボロボロなラベンダー
(愛がボロボロだから?)
○倉庫
▶︎使われて少なくなっている農薬
▶︎土が付着しているスコップ
▶︎様々な植物の種
▶︎肥料
『一階』
○調理室
▶︎冷蔵庫
・家庭菜園で採れた野菜
・魚
・肉
・調味料
▶︎水面台
▶︎食器
▶︎包丁(錆なし)
○ダイニングホール
▶︎大きなテーブル
▶︎三つしかない椅子(左奥だけ無い)
▶︎豪華な時計(6時45分13秒で止まっている)
▶︎シャンデリア
○談話室
▶︎カレンダー(7月)
▶︎本棚
・7月27日の新聞紙が見つかる
▶︎枯れたラベンダーの花瓶
(俊夫への愛が枯れた?)
○由紀子の部屋
▶︎ベッド
▶︎タンス
・下着
▶︎クローゼット
・メイド服
・私服
▶︎二つの写真立て
・冬華とのツーショット写真
・奈津子とのツーショット写真
(仲の良い人との写真?)
▶︎黄色いユリの花瓶と黄色いバラの花瓶
(俊夫への憎悪と、冬華か奈津子への思いやり?)
▶︎本棚(花図鑑)
・赤いバラは情熱や愛情
・黄色いバラは幸福や思いやり、嫉妬
・青いバラは可能性
・ラベンダーは幸せや期待、貴方を待っています
・黄色いユリは憎悪
○冬華の部屋
『二階』
○奈津子の部屋
○俊夫の部屋
▶︎パソコン
▶︎本棚
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